『デブリーズ』(製作2022/公開2023)
ndjc(New Directions in Japanese Cinema)
文化庁委託事業・若手映画作家育成プロジェクトの作品
監督・脚本 牧大我
映像制作会社を営む監督業の和田(山根和馬)、カメラマンの佐々木(森優作)、プロデューサーの青木(カトウシンスケ)はCM撮影のためスクラップ工場に来ていた。学生時代、SF映画を作りたいと夢に燃えてた頃を懐かしんでいると、上からゴミで出来た人形が落ちてくる。和田と佐々木はなんだろうと手にとり、2体落ちて来たところで忽然と姿を消す。
気づくと砂漠の広がる荒野に建てられた小屋の中にいた。そこにはスクラップで出来たヒト型をした生物が暮らしていた。言葉は通じない。どうやら異世界へ飛ばされたようだ。怪しみながらもスクラップ族と交流して、ワームホールを見つける。しかし、穴は小さく入ることが出来ない。ある日、佐々木のビデオカメラを見たスクラップ族のギター弾きがVHSのMVを見せ、同じように撮ってくれと頼む。和田はハッとして作品を撮り始める。その映像を、青山に送るべく、思い出のキーホルダーのついた記録メディアメモリケースにメッセージを刻みワームホールに落とす…。
突然姿を消した和田と佐々木はニュースにもなり、青山はスクラップ工場で二人を探し続けていた。そして「生キテイル仕上ゲロ」「SFエイガ」と刻まれたケースを見つける…。
面白かった。良かった。
「ゴミが落ちてきた」という台詞に、自分らの夢だった映画作りが出来てないという現状が重なっているのがいい。
ゴミでも夢を見る。ギター弾きは地球から移動してくるゴミの中からビデオテープを見つけ、音楽を始めている。ゴミの中から生まれるという再生能力、生物の可能性も感じられる。
『キン・ザ・ザ』の世界観を思い出した。
制作 キリシマ一九四五
★★★★