ブルーベルベット | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ブルーベルベット』(1986/日本公開1987)

原題は『BlueVelvet』

 

監督・脚本 デヴィッド・リンチ

 

金物店を経営する父親が倒れ入院し、大学生のジェフリー・ボーモント(カイル・マクラクラン)は実家のあるランバートンに戻ってくる。その父親を見舞った帰り道で切り取られた人間の耳を発見し、ジェフリーは警察署に行き刑事ジョン・ウィリアムズ(ジョージ・ディッカーソン)にその耳を届ける。

その後どうなったのか気になったジェフリーはジョンの自宅まで出向き捜査について聞くが教えてくれるわけもなく。しかしその帰り、話を盗み聞いていたジョンの娘のサンディ(ローラ・ダーン)から犯人に関わる情報を得る。好奇心でいっぱいのジェフリーはサンディに協力してもらい、関係者と思われるクラブ歌手のドロシー・ヴァレンズ(イザベラ・ロッセリーニ)のアパートへ侵入するまでに至る。しかしそこへドロシーが男フランク・ブース(デニス・ホッパー)と帰宅。あわててクローゼットに隠れたものの、その扉の隙間から異常なほどベルベット生地に執着するフランクとドロシーのアブノーマルな秘め事を目撃する。フランクが帰った後ジェフリーに気づいたドロシー、ドロシーはフランクによって調教開発されていた。

以降、まるでドロシーに取り憑かれたようにジェフリーはドロシーの世界へ没入しつつ、フランクの組織に危険な目にあわされながら、夫と子供を取られてるドロシーの事情、切り取られた耳の秘密を知ることとなる。また、恋人のいるサンディとの新たな恋も芽生える…。




 

事件はちゃんと解決するし、サンディとの間には恋愛感情も生まれるのだが、おそらくジェフリーはドロシーを知ってしまったからその後の人生に影響するだろうな。多分、サンディでは物足りなくなる。だからといってフランクにはならないだろうけど。そんな未来も見える作品だった。

 

時代的に当時は衝撃作だったかもしれないが、今だとそうでもない。驚きもない。ただ、オープニングの色鮮やかな画や田舎街らしいのどかな雰囲気との、一般的に異常とされる性癖があらわになるシーン及びそれに関わるフランクやドロシーを始めとした者たちのダークな色合いの特殊な世界観との対比は面白かった。太陽が降り注ぐ昼日中とせいぜい外灯の闇の深い夜が人間の二面性を表しているのかもしれない。また、金物店で働く店員が二人組なこと(片方が障害を持っているので)、ジェフリーの母親と叔母の佇まいが普遍的な日常をうたっており、それも秘める嗜みとの対比となってるように思う。

 

ところで、フランクが行為に及ぶ時必ずマスクを着けて何かを吸うのだけど、過呼吸の対処法とは違うしドラッグの一種なのかなんなのかわからなかった。でも、次第に興奮していくのでそういう作用のあるモノなんだろう。

 

★★★(★)