死刑にいたる病 | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『死刑にいたる病』(2022)

原作は櫛木理宇の小説。

 

監督 白石和彌(『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』『サニー/32』『止められるか、俺たちを』『凪待ち』『ひとよ』『孤狼の血』シリーズ、他)

脚本 高田亮(『そこのみにて光輝く』『銀の匙』『きみはいい子』『オーバー・フェンス』『猫は抱くもの』『まともじゃないのは君も一緒』『ボクたちはみんな大人になれなかった』『さがす』、他)

 

阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、中山美穂、音尾琢磨、吉澤健、宮﨑優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、コージ・トクダ、大下ヒロト、神岡実希、川島鈴遥、大原由暉、岩井志麻子、他。

 

モラハラが激しい父親(鈴木卓爾)と、何も自分で決められない母親(中山美穂)を持ち、勉強しても結局入れたのはFラン大学で腐り気味の筧井雅也(岡田健史)。祖母が亡くなったことで東京から実家へ帰っていた時、榛村大和=はいむらやまと(阿部サダヲ)から手紙が届く。冤罪を訴える手紙だった。

榛村は24件の殺人(うち9件で立件起訴)で死刑判決を受けた死刑囚で、雅也が中学生の頃は地元でパン屋をやっていた。そのパン屋は中高生にも人気で、イートインコーナーではそこで勉強する子もいた。雅也もその一人で、榛村の明るさ優しさにはだいぶ力をもらい助けられていた。そういう誰からも信頼がおける榛村が捕まった時は驚いたし、手紙の宛先がなぜ自分なのか、面会に行くことにした。

榛村によると1件だけは自分の犯行ではないと言う。言われてみればこれまでのものと傾向が違う。対象者もやり口も腑に落ちない。真犯人がいるのか? 雅也は榛村の弁護士に会い記録を見せてもらったり、独自に調査したりして予想だにしなかったことが明らかになっていく。しかしそれらも実は…。

 

シリアルキラー。サイコパス。猟奇殺人。

つまるところ榛村の死刑実行までの暇つぶしのようなもので、外にいる人間をマインドコントロールしていき、どこまで事態が変わるかを楽しんでいるようだった。それは人の人生を狂わすことになり、実質塀の中にいながらにして殺人を犯してるようなもの。おそらくすべての殺人は計画的で死刑判決は想定内の結末。逃げおおせた一人も想定内だったと思える。看守さえも手なずけ、どんな状況下でも人を操ることを楽しんでる。榛村の生い立ちや育った環境の具体的エピソードはないが、断片で榛村の行動と嗜好の成り立ちは想像ができる。

面白かった。

 

岡田健史は現在水上恒司。この役はとてもハマってて、お芝居も良かった。

 

白石和彌作品、けっこう見てて我ながらびっくり。そのどれもがほとんど良かった。脚本家の高田亮も同じく。

 

拷問かと思うような拷問まがいのシーンは目を覆いたくなるものばかりで、映画館で観なくて良かったと思った。少し迷ってたから。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

制作 RIKIプロジェクト

配給 クロックワークス