『うみべの女の子』(2021)
原作は浅野いにおの漫画。
監督・脚本 ウエダアツシ
石川瑠華、青木柚、前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴、宮﨑優、村上淳、高崎かなみ、西洋亮、円井わん、平井亜門、高橋里恩、他。
中学2年の佐藤小梅(石川瑠華)は想いを寄せる先輩の三崎(倉悠貴)にフェラを強要されたうえにふられる。気持ちが収集つかず、1年の時に告ってきたクラスメイトの磯辺(青木柚)と好き嫌い抜きの体の関係を持つようになる。何度もセックスをするうち、小梅の心の中は三崎より磯辺が占める割合が増えていく。だからといって今さらその気持ちをどう表現していいかわからない。一方磯辺には亡くなった兄と母への消化できない思いが残っており、次第に小梅に冷たく出るようになっていく…。
心の隙間を体で埋めようとする、性に目覚め始めた思春期の子供のいびつさが描かれている。
小梅は勉強が嫌いな設定で、それがこういう行動に出るのかとわかりやすい。一方の磯辺は勉強ができる一匹狼的なところがあり、抱えてる問題も大きく、まあまあ早熟な方で、それはそれでこういう行動にも出やすいだろうなといった感じ。小梅が磯辺を素直に好きになっていく過程と、磯辺が飽きていく過程が(言葉にできないが)説得力があっていい。もしかしたら同じ体験をしてる人も多いのでは? と思うくらいこの年頃の子に理解がいく。
"飽きていく"と言ったが、"想いがある"と見るのが正しいのかもしれない。あるからこそ離れようとしたのかもしれない。小梅にとって(おおかたの女子はそう)キスが特別なものだから、キスは許してこなかったし、磯辺もそれでいいと思っていたきらいがある。それが本気で言い合ったある時、磯辺は小梅にキスをしたくなるシーンがある。ギリギリでしなかったが、きっとキスしてしまったら想いが溢れてしまうかもと思ったのかもしれない。でも、このくらいの男子は「好き」と性欲の区別がつかない、というのが私のベースにあるから、希望的な"飽きていく"で。(原作未読)
三崎のクズっぷりも突き抜けてて捨てキャラ感がみごとだ。
また、友達の桂子(中田青渚)、翔太(前田旺志郎)がスタンダードな中学生像を思いっきりやってるのもバランスが取れてていい。
青木柚うまいな。そして石川瑠華がやっぱりかわいい。
★★★★
制作・配給 スタイルジャム