12人のイカれたワークショップ | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『12人のイカれたワークショップ』(2021)

役者のワークショップドキュメンタリー+課題作品

 

監督 田口清隆黒崎淳

脚本(課題映画「しずかな卒業式」) 吹原幸太(『ファイナルファンタジーXⅣ光のお父さん』他)

プロデューサー 島野伸一

 

河中奎人(かわなかふみと)、上條つかさ、千々岩北斗(ちじいわほくと)、波多野美希、中野杏莉、安保匠、カンナ、相馬絵美、大村織、甲川創、青山真利子、栗橋勇、青柳尊哉、他。

 

田口清隆監督主催の役者のワークショップ(をインタビュー含めたドキュメンタリーで追い)〜一本の映画を撮るという企画のもと、出演者オーディションを行い、48人の応募者の中から12人を選出。ほぼみんな多少の経験者である中(とはいえ本業とは言えない)、河中奎人だけが未経験であり、一応課題映画では主人公に立てられていて、ドキュメンタリーでもフィーチャーされていて、その成長ぶりがわずかながらうかがえるようになっている。という作品。

2018年夏のオーディションから12月の課題映画撮影までが2時間足らずに凝縮され、最後は役者として今後やっていく覚悟を問われる。

 

課題映画「しずかな卒業式」は、舞台が中学校で、出演者は教師やその関係者。卒業式の日、各クラスで担任らがそれぞれ祝辞を述べてると、耳障りなチャイムが鳴った拍子に生徒たちが消える。どういうことか校長室へ駆け込めば、教頭の青山や体育教師の安保が銃や鉄パイプで襲いかかってくる。父親の代からこの中学校の用務員をしている栗橋が、30年前にこの中学で殺戮事件があり、上位存在という実体不明なモノにより起こっている現象だと言う。栗橋が示す謎を解くヒントをもとに、河中千々岩上條は協力しあい解決へと歩みを進めるが…。

 

上位存在が何であるのか、脚本にない設定は頭に体に入れられているのか、ハプニングにとっさに応えられるのか、この映画、作品の意味をどう捉えているのか。田口監督の評価も妥当と思えて、本人たちが目指すものとの落差、役者としての才能や素質があらわになってしまうけっこう残酷な作品だった。そういう意味では面白かった。

で、基本、声がうるさい。舞台用の発声があるように映像用の発声もあるんじゃないの? 音声調節してこれなのかな。臨場感を狙ってるのかもしれないけど耳障りだった。系統がホラーだからって叫べばいいのかよ、と。でもってそのわりに鉄パイプがボール紙だし、河中の振り回すアクション下手くそだし、照明なってないし。それもこれも結局ワークショップドキュメンタリーなら有りなのかと思わせるんで、企画は成功だし、作品の主旨からブレてもいない。という…。

 

ここに出てる12人のうち10人が役者でありたいと思ったみたいだけど、考え込んでしまった一人、千々岩北斗、彼が一番、普通に演技がうまかったし、言ってることもなるほどだった。ただ、主役向きではなく脇で使えるタイプ。脇って難しいと思うんだけどね。目立たず中心を光らせることが出来るならなお。たぶん、千々岩には出来る。

女性ではカンナが面白そうと思った。二番手くらいでもいい味出せそう。(何様w

フィーチャーされてた河中奎人は確かに徐々に演技が乗ってきていた。でもそれは自分から生み出されるものではなく、周りの力で出されるものだった。たぶん、これからなんだろうけど、この映画が2018年に撮影されたものだから、2023年現在はどれだけ期待に応えられてるんだろう。

 

ナレーションも担当していたという青柳尊哉がサプライズで出てくる。青柳尊哉であり青柳尊哉ではない煽り役。当たり前だけど一切の迷いもブレもなく素も出ず一番うまかった。

 

★★★★

 

 

これを見て役者になりたいと思う人はホンモノだなぁと思う。私はもとよりなりたいと思わないけど、前半のワークショップなんか見てるだけで無理。つらい。

 

 

 

配給 Atemo