ロッキー・ホラー・ショー PARCO劇場 | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ロッキー・ホラー・ショー』(2022)PARCO劇場

脚本・作曲・作詞 リチャード・オブライエン

 

演出 河原雅彦

翻訳 高橋ヨシキ

 

訳詞・音楽監督 ROLLY

振付 MIKEY

 

古田新太、小池徹平、昆夏美、ISSA、峯岸みなみ、フランク莉奈、岡本健一、ROLLY、東京ゲゲゲイ=MARIE&MIKU&YUYU、TACCHI、GENTA、P→★、UFO、他

 

 

(写真は「感染対策に余念がないぞセブン」の開演前のパフォーマンス。この彼らはファントムとして劇中参加している。)

 

 

劇場のドリンク売りの娘(フランク莉奈)がアイキャッチとなり、ナレーター(岡本健一)の語りで始まる。

 

友人の結婚式参加の後、自分らもと結婚を決めたブラッド(小池徹平)ジャネット(昆夏美)。恩師であるUFO研究家スコット博士(岡本健一)に報告しに土砂降りの雨の夜、車を走らせる。しかし途中でタイヤがパンクしてしまう(この車がファントム役の人たちで作られている面白い演出)。途中に古い城を見かけたことを思い出し、そこへ電話を借りに行こうとブラッドとジャネットは古城を目指す。いざ着いてみるとなんだか怪しげ。せむしの執事リフラフ(ISSA)とサディスティックなメイドマジェンタ(フランク莉奈)に迎えられ、サイコメンヘラがかった女コロンビア(峯岸みなみ)、そしておかしなゲスト(ファントム=東京ゲゲゲイ、TACCHI、GENTA、P→★、UFOらが、今宵お披露目となる城主フランク・フルター博士(古田新太)の作り出す人造人間を待っていた。

でも、出来上がったのは理想から程遠いひ弱な体の人造人間ロッキー(ROLLY)。フランクはそこに筋肉美を持たせるためあれこれ手を加え、ようやく理想的なロッキー(武田真治)が出来上がる。そこへいかついバイク乗りエディ(岡本健一)が現れ、主役であるフランクとロッキーを食う形になる。実はエディもフランクによって改造された人間で、コロンビアの元恋人でもあった。ロッキーが出来上がった今、エディは用無し。しかも失敗作だ。怒ったフランクによって切り刻まれてしまう。

さて、いざ、ロッキーとの甘い初夜を迎えんとするフランクだったが……なんと、ジャネットの処女を奪い、ブラッドを誘惑! なんてことをやってたら、いつの間にかロッキーとジャネットが惹かれ合う仲に…! おまけに甥のエディを探してスコット博士も城にたどり着く。ブラッドとジャネット、スコット博士の関係性を勘ぐったフランクにより、ここからはもう酒池肉林、欲望のままの大騒動、フロアショーが始まる。そして最後には、フランク、リフラフ、マジェンダがトランシルバニア星雲のトランスセクシュアル星の異星人だと判明するのだが、リフラフとマジェンダの陰謀裏切りによりフランクは殺されてしまう…。ロッキー、コロンビアも犠牲になり…。

 

 

SEX&VIOLENCE、今で言うLGBTがてんこ盛り。性別なんてどうでもいい、欲望という本能に従う人間を描いてるわけで、もうカオス。でもそれら全てがコメディに転換され、ちょっぴり感傷的な部分もあり、一夜の夢物語となってる。

コアファンにより、映画も参加型が確立され、舞台も参加型で、基本御託を並べず楽しむ演目。ノリノリのロックミュージックでリズムを刻まずにいるなんて無理。ミュージカルを観に行くのではなく、空間を共有しショーを体感しに行く感じ。ライブコンサートと同じ。

とても楽しかった。

 

 

 

 

古田新太のフランクはイメージ出来なかったけど、良かった。足元がおぼつかなくて、もっとしなやかにリズムに乗って欲しかったけど、終わってみるとフランク古田ーでいいのかもしれないと思った。滑舌悪いのに声量あるし歌はうまいし、全ての小ネタが効くキャラクター性を持ってる。

その小ネタ、各キャストに合わせた炎上ネタ(自虐ネタ含)もあって、常日頃ネットやマスメディアの三文記事に踊らされている私たちをあざ笑うかのようで痛快だった。

最初はソニンのジャネットを観たいなぁなんて思ってたけど、昆夏美の思いっきりの良さもジャネット像を壊してなくて良かった。特に殴られて倒れるシーンが2回くらいあるのだけど、そのコケ方が派手でおかしかった。もちろん歌も芝居もうまい。

今回感激したのは小池徹平。コミカルな芝居がうまくて、歌もうまくて、愛らしい小池ブラッドサイコーだった。ハマり役。

コロンビア役の峯岸みなみも歌はうまい。体もちょうどいい。柔らかいし。でもキンキン声すぎて台詞が聞き取りにくかったのが残念。ジャネットも声は高いのだけど、聞き取れる。何がちがうのかなぁ、幅かなぁ。同じようなことがリフラフ役のISSAにも言えて、台詞になるととたんに軽さが出る。

みんな歌手だったりミュージカル俳優だったり、ダンサーだったり、歌唱は文句なしだった。楽曲を奏でるバンドは舞台上二階に配置。武田真治のサックスも、ROLLYのギターも岡本健一のギターもふんだんに披露。

前回のジャネット役ソニンと、前々回のブラッド役中村倫也も声付きカメオ出演。

 

カーテンコールで岡本健一がいない!という話になって、気づいたらリフラフになって出て来てたという、ファンサービスもあった。前々回の役柄。

 

笑いをとるところ、小ネタなど、日本の感覚に合わせている。ハリセン張るシーンもあったし、リンボーダンスさせる無茶振りシーンとかツッコミの間合いとか。大きくは変えてなくても小さい改変でこれだけ面白くできるのだなぁと感心した。この演目自体自由度が高いようだ。もしかしてアドリブもあったかも。

コロナ禍で声は出せないけど、音の出るグッズやライトでの参加、振り付けもあって、手拍子と拍手で意思表示、感情表現もできる。それでも、コロナ禍でなければ…という残念な気持ちは拭えないんだけども。

1986年日本版初演から(ROLLYフランクは1995年から4回。古田フランクは2011年から3回目)、演出家やキャストこそ変化はあれど、続いた演目なわけだと理由もわかる。時価で売られてるネタという感じ。

 

 

一応、今回で古田新太のフランクはおしまいとのこと。調べてみれば、ROLLY、古田新太、岡本健一が50代。武田真治も年内で50代に突入。次はいつやるのか、誰に変わるのか。次も行きたい。

小池徹平のミュージカルも追いたい。

 

開演前後や幕間のBGMがグラムロック。やっぱそうだよね。

 

ところでパンフレットが2000円もした割には…と受け取った時は思ったけど、今年のカレンダーにもなる作りだった。いや、見にくいってw

 

 

KAAT神奈川芸術劇場ホール:0113〜0116(公演中止)

大阪・森ノ宮ピロティホール:0121〜0123(一部中止、時間変更)

広島・上野学園ホール:0129、0130

北九州芸術劇場大ホール:0224〜0206

東京・PARCO劇場:0212〜0228

 

 

観劇日 20220221

 

 


 

 

うん十年前に映画を観たきりだったが、楽曲が好きでかなり聴き込んだ。観劇熱が高まった今に、このロックミュージカルを観る日がくるとは…個人的なことで申し訳ないが、その昔、この映画を教えてくれた亡き大切な友人に感謝。