金魚妻(そこそこネタバレ) | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『金魚妻』(2022)Netflix Nシリーズドラマ全8話

原作は黒澤Rの漫画。

 

監督 並木道子(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『イチケイのカラス』他)

脚本 坪田文

 

タワーマンションに住む世間的には成功者である妻たちの恋だったり性愛だったり(つまりは不倫)を描いたドラマ。キーパーソン的な役割で風水師のメイ(峯村リエ)がいて、思い悩んでいそうな妻らにサラリと言葉をかけ、希望があれば占いをする。ツインレイという運命の人がいることを強調し、妻たちはその言葉に半ば背中を押され自分の道を歩んでいく。また、主人公はタイトルにある「金魚」の生態にも学び、自らの人生を動かしていく(①、⑧金魚妻)

 

7年前に偶然居合わせた少女を自分が犠牲になることで事故から救った美容師の平賀さくら(篠原涼子)は、後遺症が残りハサミが持てなくなってしまった。でも、夫の卓弥(安藤政信)の裁量でラグジュアリーなヘアサロンを展開し、さくらもハサミは持てなくても大好きな美容の仕事に携わることができていた。しかし、新規オープンする店舗の店長はさくらではなく、卓弥が浮気の相手にしているスタッフの寧々(川﨑珠莉)だった。

卓弥は他にも同じマンションに住む主婦ゆり葉(長谷川京子)とも不倫をしている。そして表向きはいい夫であり仕事上のパートナーでもあるが、さくらは卓弥に虐げられ暴力を振るわれていた。

夫に愛されていないと思っているさくらは、たまたま通りかかった金魚屋で豊田春斗(岩田剛典)と出会い恋に落ちる。卓弥のもとを逃げ、春斗と生活を始めるが粘着質の卓弥も放ってはおかない。いくつかの困難を乗り越え離婚までいきつくが、卓弥の本心を知った情に厚いさくらは離婚しておしまいにはできない。また、春斗がさくらを見初めた理由は別にあった…(でもこれ、序盤でわかる)。結局はハッピーエンドなんだけども。

このさくらと春斗の話がベースにあって、サイドストーリー的に他の妻たちの話が組み込まれている。

 

順不同だが、

卓弥の不倫相手のゆり葉は近々マンションを出て夫の母親と実家に同居することになる(⑦改装妻)。額に痣があること、マザコン気味の夫に2番扱いされていることが、ゆり葉の悲しみであり不倫に向く動機。さくらのことで卓弥とは疎遠ぎみになっている時、ちょうど実家の改装で入った同じ箇所に痣のある大工五条(深水元基)と通じ合う。けれど五条には妻子がいるし、ゆり葉も今の生活を捨てる気はない。このドラマの中で性愛が救いになってる一番寂しい女かもしれない。

心が安定した幸せを願い結婚した優香(中村静香)は、早く子供が欲しいのだが、夫実(長田成哉)はセックスに興味を示さない(②外注妻)。そんな時翻弄されるのが嫌で別れた元彼潤(久保田悠来)が現れ、一度限りと決めた夜を過ごすが、さくらが不倫の末マンションを出て行った噂とメイのツインレイの話に引っ張られていく。ツインレイというものが本当にあるのだとしたら、優香はしっかりと見つけたんだろう、な結末。

平賀の店に自社製品の営業をかける颯太(犬飼貴丈)は妻早矢(石井杏奈)とうまくいってない(④伴走妻)。幸せいっぱいで結婚し、タワマン3階ではあるが居を構え、陸上部だった早矢に誘われマラソンを始める。最初はついていけなかったが、どんどん夢中になり、サークルまで立ち上げ、早矢を置いてけぼりにするほどの趣味になった。しかし気づくと早矢はアルコールに溺れ無気力になっていた。互いになんとかしたいのにどうしたらいいのか、まず自分ありきで考えるので解決が見つからない。そんな時、颯太はサークルの合宿でアルコール依存の夫を持つメンバーからアドバイスをもらう。同じ頃、自暴自棄になってる早矢は誘われて卓弥の部屋に行っていた。手がかりを得た颯太は早矢のもとへ走り、互いを思いやる気持ちの大切さに気づく。

第三者に言い寄られてる妻にしか興奮できない性癖の太朗(藤森慎吾)は、いつも妻朔子(瀬戸さおり)の弁当を褒める後輩の津多(神田譲)に手料理をふるまう代わりにお供を願う(③弁当妻)。数回繰り返しているうちに津多にも朔子にも変化が訪れる。津多は朔子を欲しくなり、朔子は自分の料理をおいしそうに食べる津多の姿に欲情するようになっていく。

不倫の話題が出ると頭痛が起こる慈子(松本若菜)には赴任中の夫と小学生の息子がいる。ある日犬の散歩中に馬場(眞島秀和)という男に出会う(⑤、⑥頭痛妻)。夫と息子にしか懐かないという愛犬が馬場にも懐いた。それにどこか惹かれるところがあり、慈子は馬場に体を開いてしまう。しかし自分がやったこと、馬場のことを考えると頭痛がする。ある日息子に「ママの秘密を知ってる」と言われ、恐怖に駆られるが、真実は馬場こそが夫であり、その存在を息子は知っており、慈子の頭痛は夫の不倫の精神的ショックからの記憶障害によるものだったことが判明する。このドラマの中では唯一うまく元サヤに収まった関係ではないかな。

 

ラスト、妻たちの人生にスパイスを与えるのがメイの趣味だった節あってサイコホラーみたい。

 

各エピソードサブタイトル↓

①金魚妻

②外注妻

③弁当妻

④伴奏妻

⑤頭痛妻パート1

⑥頭痛妻パート2

⑦改装妻

⑧金魚妻

 

う〜ん…ベッドシーンというかいわゆる濡れ場がすごい。毎話ある。よくやったなぁと感心する。そこまでの表現が必要に思えないから。昔だと「よろめきドラマ」とか揶揄されてた部類じゃないかとさえ思うし、感覚としてはバブル期のドラマに似ている。タワマン住みなんてITバブルの賜物だろうけど。しかし、最終的にはみんなこのタワマンを出ていくんだよな。単身にしろ夫婦揃ってにしろ。ぎりぎり颯太と早矢はどうだろうといったとこか…でもおそらく出ていくな。タワマンの空虚さ、空洞感、ハリボテ感がハンパない。

 

フューチャーすべきは人を好きになる感情の表現のようで、そこはさくら、卓弥、春斗で充分描けていたし、女性の自立も(仕事に限らず生き方そのもの)描けていたから共感も得られるだろうし、各エピソードにイラつくほどの無理はなかったから、評価も高いんじゃないかと思うけど、私はだるかった。そもそも概要を見た時点で興味はなかったが、犬飼貴丈が見たくて見ることにしたのだ。

その犬飼貴丈、やはり役になりきるというか、溶け込み方がうまい。こういうの、藤原季節がうまい。④伴走妻ではイマイチな感じはあったが、そのようにしか芝居できなかったってのも透けて見えるので、脚本の雑さなのか演出の拙さなのか、それが原因ではないかと思う。だってちょいちょい本編に出てきた時はみごとに颯太キャラが生きていた。

 

★★★

 

 

長谷川京子の妖艶で不幸を背負う感じ、篠原涼子の健気な女性像、安藤政信の強がるしかできないとことん人間っぽい卓弥は良かった。