0.5ミリ | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『0.5ミリ』(2014)

原作は安藤桃子の小説。

監督脚本 安藤桃子

エグゼクティブプロデューサーが奥田瑛二、フードスタイリストが安藤和津で、主演が安藤サクラなので一家総出。芸能一家ですな。とか思って見始めたら、角替和枝に柄本明も出てて、やはり、ファミリーやんけ!てなった。

 

安藤サクラ、木内みどり、織本順吉、土屋希望、ベンガル、坂田利夫、津川雅彦、草笛光子、浅田美代子、角替和枝、柄本明、井上竜夫、東出昌大、他。

 

木内みどりの表情が素晴らしい。わりとアップめで撮るコマが多くて、同じく草笛光子ももちろんだが、津川雅彦には参った。なんともいえない表情と語感で台詞に説得力を持たせ放つ。その含みの大きさがただただすごい。ここでまた吉沢ファンを発揮してしまうのだが、吉沢亮が津川雅彦くらいの年齢になり、その時どのような芝居をするのか、それを私は見ることができないのだな…としんみりした。それくらい、役者の力、魂を津川雅彦に感じた。本当に素晴らしい。木内みどりと津川雅彦の演技をここまで堪能できただけでも良い作品。

 

介護ヘルパーの仕事をしているサワは、担当先の片岡家の娘雪子に寝たきりの実父昭三の最後の願いを聞いてくれないかと、添い寝をお願いされる。雪子は実母がよく着ていたワンピースを、自分も着ていたんだけど汚れてしまったから赤く染めたのと言いながらそれを着て添い寝してくれとサワに渡す。その夜、添い寝を始めると昭三はサワに手を出してきた。抵抗するうち石油ストーブから火の手が上がり、慌てて消化をするも燃え広がってしまう。雪子や雪子の学校へいっていない中学生くらいの子供マコトに知らせるべく階下へ急ぐが、そこにいたのは首を吊った雪子だった。

一通り警察での事情聴取が終わるとサワはその土地を離れることを決める。知らない街に降り立ったときコートを電車に忘れてきたことに気づくが遅い。どうしようかとフラフラ歩いていると、カラオケ店でごねてる酸素吸入器をつけた老人が目に止まる。とりあえず泊まるところも考えなければだしとその老人の知り合いを装い、一緒にカラオケルームに入り、歌って踊って飲んで食って、楽しい一夜を過ごす。別れしな老人は一万円を握らせ楽しかったと伝え寒そうなサワに自分のコートを与え去る。これを機に、サワは難のある男性老人を見つけては脅迫する形でおしかけヘルパーを始める。

どの老人にも共通するのは頑張っていた過去があること、だけど今は思い描いていた未来ほど幸せではなく、むしろ寂しい。本当は誰かと密に関わりたいのに虚勢を張って遠ざける。なけなしの男のプライドがそうさせるのだ。そんな心の穴にサワの献身的な行動や態度が滲み、老人たちの心を開かせ癒やしていく。

0.5ミリとは、人の心が動く数値を例えた度合いで、ちょっとのことが時には山を成し少しでも進み変化するということのよう。サワは0.5ミリずつ老人の心を動かしたのかもしれない。

 

最後はマコトと再会する。自分が生まれる前に別れた父親と一緒に粗末な海の家みたいなところに住んでいる。サワはそこにしばらく置いてもらうことにするのだが、そこで雪子の真意がわかる。

 

この映画は3時間17分もあって、見る前は長すぎるなぁそれだけの価値があるのかしらと思っていたんだけど、2時間を超える頃にはなるほど3時間はあっていいかもと思うようになった。しかし、最後のマコトの父の描き方がイマイチで、少なくとも17分は削れたろうと思った。惜しかったなぁ。

それまでサワの考えが台詞に出る場面がなかったのだけど、マコトとうどんを食べてるシーンで語るとこがあって、それが残念だったし、2人でそれぞれの事情で大声で泣くシーンがあって、それも余計な気がした。やはり受け手にサービスしてしまうのかな、こういう意図なんだけどこうした方がわかりやすいよね?と説明的になってしまう部分が出てしまって、そういうのが残念だった。言葉にできないものが心に残るほうが作品として良いと思うのだけどな。だから作家は受け手に少し冷たい方がいいように思う。もちろんまず話、そして構成がしっかりしてることが前提だけども。

 

★★★★(★)