『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)
監督脚本 ラース・フォン・トリアー
いやあ、きつい。ラストは涙がこみあげる。名作と言われてるわけだ。それをこれまで観たことなかった。どれだけ映画と無縁だったかが知れる。(^^;;
昨年12月に4Kデジタルリマスター版で新たに公開した。けど、私が見たのは以前のもの。
終始ハンディカメラで撮ってるような、ドキュメンタリータッチで進む。はしょる感じもノンフィクションみたいだ。またビョークがうまい。歌も演技も。
アメリカで警察官のビル(デヴィッド・モース)夫婦からトレーラーハウスを間借りしているチェコからの移民であるセルマ(ビョーク)は遺伝性弱視で失明の危機にあった。セルマには一人息子のジーン(ヴラディカ・コスティック)がいて、やはりやがては失明すると言われていて、手術を受けさせるべく昼も夜も働きお金を貯めている。
勤務する工場の同僚キャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は失明のことを知っていて何かと力になってくれ、セルマを好きなジェフ(ピーター・ストーメア)もまた献身的に見守るのだが、セルマは他人の世話になることを良しとしなかった。なので、ジーンの手術代を貯めていることを誰にも知らせず、給金はチェコの父に送金していると話していた。また、劇団でのミュージカルがセルマの唯一の楽しみだったが、目は確実に見えなくなっていっており継続が難しくなる。
そんなある日、ビルが妻のリンダ(カーラ・シーモア)の浪費癖がすごくてお金を貸してくれないかと相談しにくる。しかし貸すことはできない。でもビルが家庭の実情を話してくれたことで、せめてもと自分は本当は身寄りがいなくチェコの父に送金しているのは嘘でジーンの手術代に貯金しているんだと互いの秘密を共有することでその場をしのいだ。けれど、ビルはセルマが目が見えなくなっていることに気づき、隠していたお金を盗む。すぐにビルだと気づいたセルマは取り返しに行くが、そこでもみ合いになった上に、リンダもいることでとっさにビルは自分にいいように振る舞い、セルマを窃盗犯に仕立てあげ、さらに殺人犯にも仕立てることになる。首が回らなくなっているビルはセルマのお金を強く握りしめ、セルマに殺してくれと頼んだのだった。
セルマのトレーラーに出入りするビルを見ていたリンダはあっさり事のいきさつを誤解し、セルマはセルマでビルとの秘密の共有の約束を守り何も語らず死刑囚となってしまう。
セルマはビルを殺し、取り返せたお金で医者のところに頼みにいくのだが、セルマを助けたいキャシーとジェフは医者に渡したお金を返してもらい新たな弁護士を頼む。でも、セルマにとってはジーンの目の方が大切。結局再審は叶わず、キャシーが言うにはジーンの手術にあてたとのことなのだが、それが本当かはわからない。
絞首台に向かうセルマの恐怖心がものすごい臨場感をもって胸にせまってくる。恐怖の共体験だ。そして執行後も映す。すごい。逆理的に命の尊さが身に染み入る。
セルマがジーンを産んだ理由も胸がつまる。これは言葉で表せない母性と、やはり命の尊さだ。
おそらく、セルマの担当をしていた監視員が視聴者側である私たちの心情に近い。
すごく良かった。
★★★★★
こちらはリマスター版予告↓