SLE & 不妊治療計画 を 告白 - 1
初めてのIUI の為の 生理開始日から10日目の超音波アポまで まだ数日ある。
久しぶりに 出張から帰った彼からゆっくりと電話で話した。
そしてとうとう打ち明けてしまった。
私の病気(
彼はさすがにアメリカに20年住んでいるだけあって、感覚も普通の日本人離れしたところがあると思う。
動揺しないで話を聞いてくれて、理解してくれた。 本当にいい人だと思った。
彼は“友達として”は子供を産むことを薦めてくれて応援してくれた。
そして“僕の精子では嫌?”と唐突に聞かれた。
どこまで本気なのか…
あまりの話の展開に即答はしなかった。 そんな言葉が出てくるとは予想しなかったので。
そうしたら、“ああ、やっぱりもっといい男を捜してるんだ” と責めるような口調で言われてしまった。
自分ではそんなつもりではないのだけど、本当はそうなのだろうか?
ドナーはどんな人なのか聞いてきたので、韓国人と白人のハーフで、あなたと同じで写真をやっていて左利きのアート系だと教えた。
彼の反応は “じゃあ子供はクオーターか。 俺のよりいいかも…”。
自信がないのだろうか?
彼は、アメリカでは珍しくない養子を迎えることにも抵抗がないと言っていた。
学生時代の恩師と今でもコンタクトしているが、その人が養子を育てていて、そのような状況に好感を持っているという。
ということは、もし私にドナー精子のIUIで子供ができて、私には自分の子でも彼には養子にあたるということでもOKと暗に言っているのだろうか…
有名人の誰に似ているか
初のIUI 準備アポまで、まだ1週間ほどある。 何となく気分が落ち着かない…
もうドナーを選んで購入した後だけど、
久しぶりに私が買ったスパーム、ドナーDのプロフィールサイトを見てみた。
在庫状況は もう一番高いIUI/Premium $645しか残っていなかった!
そしてこのドナーが有名人の誰に似ているか、という情報がアップデートされていた。
この情報は、私が彼のスパームを購入したときはまだなかったので興味津々で見てみた。
3人の名前があってどれも聞いたことのない名前。
イメージのリンクを見てみると、どれも結構濃い顔だった。
1. David Blaine http://images.google.com/images?hl=en&q=David+Blaine
2. 若いときの Ron Darling http://images.google.com/images?hl=en&q=Ron+Darling+(young
)
3. Taylor Kinney http://images.google.com/images?hl=en&q=Taylor+Kinney
この中では最後のTaylor Kinney が一番素敵だと思う。
Ron とTaylor は系統が似ていると思うけど、1番目の David はこの二人とはちょっと違う感じがする。
でも何となく想像していた感じに近かったので、納得した。
電話がとぎれるとき
ここ数日、毎日あった彼からの電話がない。
出張に行くと言っていたが、まだ出張中?
これで再来週あたりにやるであろう初めてのIUIを こころ おきなく できそうだ。
ここ1週間くらい、彼に話すか話さないかで ものすご~く 悩んで悩んで
悩み疲れ果てた。。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
そして考えるのが面倒になってきた…
生理がこない?
おとといあたりに来るはずの生理がまだ来ない。
私はとても規則的に来る人なので、一体どうしたんだ!
もしかして前回の排卵日あたりにあわよくば、と彼に会いに行ったから?
でもあの時は 私はひそかに望んでいても そうなりえない、 完全な防止策をもって事がなされたのでそんな筈はない…
もし妊娠してたら、今週やったマモグラム(X線の乳がん検査)はヤバイ。
受精して間もないほど、X線による悪影響は大きい。
不安になって、初めてドラッグストアで妊娠テストを買って、尿をかけてみた。
結果はNO! 妊娠してない。
なーんだ。 正直がっかりしたが、でもマモグラムをしてしまったことを考えるとホッとした。
そして、緊張が解けたからか、その数時間後に生理がきた。
そういえば、あの人気TVドラマ Sex and City でもそういうエピソードがあったなあ…
早速、病院の予約係に電話して、10日後の朝8時に第一回目の超音波アポをとった。
いよいよだ…
Knock Yourself Up
Knock yourself up
No man? No problem!
A tell-All Guide to Becoming a Single Mom
Louise Sloan 2007年
この本のタイトルKnock Yourself Up とは “自分で自分を妊娠させちゃえ!” という感じだろうか。
Knock ~ up は俗語で 〝性交する“、”女をはらませる“ の意味がある。
残念ながら英語の本で日本語訳はないけど、私と同じ試みをしたやはりNYCの女性の体験談がユーモラスに描かれている。 実際著者である彼女(Louise Sloan) は 私が所属している SMC (Single Mother by Choice) のメンバーで毎日さかんに飛び交うYahooのグループメールでも積極的に皆の意見交換や情報交換、質問へ答えている。 私が質問を投稿したときも、返事をくれた人のなかに彼女もいた。
本には、彼女が調べた多数の同じ経験者の様々なエピソードも盛り込まれていて、本当にいろんな意味で役に立つ。
面白くて読み終えるのが惜しかった。 巻末には、関連機関や書籍、医療用語などのお役立ち情報も満載されている。
SMCでは誰もが皆読む、バイブル的な本。
読んでいたら、SMCの妊娠や出産時の孤独についても書かれていて、ああ自分もそうなるのかなあと思い、つい涙腺の弱い私はナミダしてしまった。
私には出産時にサポートしてくれる友人はいるのだろうか?
母は来てくれるだろうけれど高齢だし、英語がわからない…
ドナー報告
母とスカイプで話した。 本当に便利で無料なツールでありがたい。
母に、私が選んだドナーの話をした。
最初はやはりピンと来なかったらしいが、今流行りの韓国ブームもあるからいいか~などと、それほどこだわってはいない様子だった。 私と同じで、女の子だったらいいね~と言っていた。
母の性格からすると1日ぐらいたってから、気掛かりだったり自分は本当は嫌だと電話してくるが、今回はそれもなかった。 案外問題なく心で受けとめてくれたようなので、ほっとした。
もしシングルマザーになって、いろいろな面で母や父に協力してもらうことになれば、アメリカに来てからこれまで17年間、あまり深いとは言えなかった両親との関係が新しい局面を迎える。
今まで話題にものぼりえなかった事柄を母と話したりすると、しみじみと胸が熱くなる。
準備完了 いよいよ…
ドクターSのナース、エリーに電話した。 “スパームを病院に送ったけど、次に何をすればいいの?”
“生理が始まったら予約課に電話して10日後に超音波検査を予約するのよ。”
そうか… 準備は整った。 あとはいよいよ実行するのみ。 最初は難しい薬を使わずにシンプルに自然にやってみよう。
今週中には生理がくるはずだ。
いちど不妊治療をはじめたら、胎児に悪影響を及ぼすX線を使うあらゆる検査はできない。 アメリカでは40歳以上の女性は毎年マモグラムという乳がん早期発見のためのX線検査をすることをすすめられている。
マモグラムは何ヶ月も前から予約をしておかないといけない。 幸い私の今年のマモグラム予約は明日だ。
不妊治療前にできるだけいろいろな検診をしておかなければ。
ちなみに2ヶ月前に、これも毎年やる子宮頸がん早期発見のための生体検査パプシミアーをやって、疑わしい結果が出たので簡単な手術で怪しい部分を小さな円錐状に切り取った。 子宮筋腫もあるようだけど、まだそこまで大きくないので問題ないらしい。
歯科医の定期健診にも行って歯のクリーニングもした。 虫歯なし。
ああ、本当に私は約2週間後にはDr. S のもとで最初の試みに挑むのか?
何だかSMC(Single Mothers by Choice) のミーティングに3年ぶりに行って以来、とんとん拍子にここまで進んできた。
私には本当に覚悟ができているんだろうか?
でも、覚悟云々で延期したらどんどんと私の卵子は劣化するし、だいいち、今だってもう既に時遅しなのかもしれない。
とにかく試さないことには判らない。 正直、簡単には妊娠しない気がする。
41歳という私の年齢では何度やっても妊娠しない確率の方が高いのだから。
案ずるより産むが易し、と信じたい。
まだ悩んでいるのは、3ヶ月間ほぼ毎晩電話で話して、2度会いに行った長距離恋愛の彼のこと。
とってもフィーリングが合って、いろんな意味で私達はバランスがとれているとお互いが感じている。
この年齢でこんなことは滅多にないので、というか今さらそんな出会いはあきらめていたので、この最後(?)のチャンスも大切にしたい。
勇気を出して彼には正直に話そう。 以前にわざとやってしまった、お互いのことを全く知らない状態での初デートでこの話題を出すのとは違う。 彼も私が子供を欲しがっていることは知っているし、彼も欲しがっている。
近いうちに折を見て話さなければ… 話の筋立てを考えると、私の LUPUS (SLE) の問題から入らなければならない。 LUPUS患者の間では、恋人にいつ話すかというのもひとつの大きなトピックなのだからプレッシャーだ。σ(^_^;)
もちろんそれで彼が離れていくのなら、かまわない。
スパーム発注
バンク比較のところでもふれたが、普通どのバンクも各ドナーごとに、3段階くらい処理別に値段の異なるVialを売っている。 1Vialには約1CCほどが入っていて1回分とされているが、質が悪かったりドクターの方針によっては1サイクルに2Vial使うことも多々あるらしい。
SMC のメンバーの話によると、バンクは毎年の値上げ率の高いらしく、毎年$50くらい平気で値上げするそうだ。
本当にお金儲け主義で、弱者の足元を見ているって感じだ。
ドナーDの場合はオープンドナー(子供が18歳になったらコンタクトしてもよい)なので、以下の価格だ。
- IUI/ART
$490 ß 残数たったの 1 Vial
- ICI/Premium $535 ß 残数 19 Vials
- IUI/Premium $645 ß 25 vial 以上残っている
ちなみにオープンドナーでない場合はIUI/ARTが $380、 ICI/Premiumが $425、IUI/Premium が$535
で、各レベルで$110もお安い。
注文しようと、バンクに電話する前にもう一度在庫状況を調べてみたら…… ショック!
昨日までは 1Vial 残っていた$490のものが売り切れていた。 そして$535の方も 19Vials 残っていたのが17Vials に 減っていた! こんなにどんどん減っていくのを目の当たりにすると、多めに買いたくなったり買い占めたりする人の心境がわかる。 将来、足らなくなって買い足そうとしたら品切れの可能性も高い。
バンクの人のセールスピッチによると、6Vials 購入すると1年間の保管料(約$500相当)が無料になるそうだ。 あと、Buy Back システムという制度があって、そのバンク内で保管されていて外に一度も出されていないVialが残った場合は元値の50%の金額で買い戻してくれるそうだ。
そんなにすんなりと妊娠するとは思えないが、もしVialが残ってしまって半額でも戻ってくればありがたい。
私は5Vials くらい購入するつもりだったので、一度に病院に送らなければ残った分はバンクに保管料を支払って保管してもらわなければならない。 保管料を$500くらい払うならば、もう1Vial購入して保管料を無料にしてもらった方が得策だと思った。
結局 6Vials 購入して、そのうち 3Vials をコーネル大学付属病院に最優先 Express で郵送手配した。 特殊な液体窒素入りの特別なタンクに入れて郵送されるので、送料だけでも$205もする。 受取る側の病院が午前中の配達しか許さない制約があるので、仕方なく一番高い郵送方法にせざるをえなかった。午後4時までに注文したので、明日の朝にはもう病院に到着する。 念に念を入れて、配送先に間違いのないように確認した。
コーネル大学付属病院の方でも保管料をとる。 最初の1ヶ月は無料だがあとは3ヶ月で$150かかる。
とうとう購入してしまった。 もう後戻りはできない。
しめて$3300ほどの出費…… はあ~、今月は苦しい。
どうか、また更に購入する必要がありませんように…
2度目の訪問
初対面の訪問がお互い楽しかったし、その後も引き続き毎晩電話で話していた。
私としては、プランB(おひとりさま不妊治療計画)の進行もあることから、ダメならダメで早くわかりたい、という気持ちもあった。 こればっかりは“縁”なので、どうなるかわからない。
1度目の訪問からたった2週間後の週末に、今度は自分でチケットを手配してまた彼に会いに行った。
まだドナー商品を購入する前だ。
ちょうどこの週末は私の排卵時期とも重なる……
こんなことを考えるのはオソロシイ事だろうか? でももしそうなって授かったら、それは“縁”があったということだと思う。
20代の若者同士ならともかく、お互いの年齢を考えても、そんなに事がうまくいくわけない。
万が一ベビーができたとしても、相手が望まなければ 結婚しなくても私は構わないし責任を追及するようなことはしない。 所詮、SMC(Single Mother by Choice) の覚悟ができている私ですから。
そんな思惑が頭の中を巡る中、彼の所に2度目の訪問をした。
今回は初回のように空港で緊張することもなく、ふたりの距離がとても近くなった。
が、彼はとっても慎重で、私が願ったような展開にはならず、ひとり心の中で描いていた賭けは失敗に終わった。
こういうとき凄腕の女の人ならやりそうな小細工を、私は出来ない性格だ…… 無念。
とにかく、フライトの出費は安くはなかったけど、とりあえず2度目の逢瀬も楽しい週末を過ごした。
懸念は、せっかく皆がリゾートとして訪れるような場所で、おしゃれなバーやレストランがたくさんあるのに一度もそのようなところに行こうとしないところ。 長年そこに住んでいるから自分は興味がないのはわかるが、私のようなデート相手がはるばるニューヨークから来ても全く連れていかないのはちょっと変、という気もする。 超リッチでもないが、決して貧乏ではないと思うので、もしかしてこの人はドケチなのかなあ、とも思ってしまった。 だから46歳にして未だに結婚したことがないのかも……
同意書
人生、崖から飛び降りることが時には必要。 飛び込んだ水が、氷水でないことを祈りつつ……
私には今がその時。
今日、ドナーDの精子バンクに電話したら、 Release Semen Agreement Form を提出しなければならないとのことで、Eメールでフォームが送られてきた。
これは自分のかかりつけの産婦人科ドクターから同意書にサインをしてもらうフォームだ。 要するに、誰でも買えるわけではなく、ちゃんと不妊治療中の人でないと買えないということ。
早速Dr. S のナースのエリーに電話したら、彼女は手馴れた感じで、そのForm をFax してくれれば必要な部分を書き込んでバンクに送ってくれるという。 その指示にすぐに従ったら、まもなく電話がかかってきて、“バンクにFaxしたから注文をいれられますよ” と言ってくれた。
さすがに早い対応! タイミングがとっても重要な治療なので、その辺はぬかりのない感じだ。
エリーはとっても若くて華奢で可愛い人だけど、案外頼もしいなあ……