だめだ、こりゃ。
彼は別に菜食主義者
じゃないのに、
最近キューリとか、野菜ばっかりの食生活らしい。
そして疲れ気味らしい。
私は 前回の訪問時のスッタモンダ
もあって、
肉
とか動物性蛋白質も食べるようにすすめた。
なのに積極的にそうしている気配がない。
だめだ、こりゃ。
それじゃ、精力もつかないでしょ。
がっかりした。
要するに、自分を改善して
真剣にこの事に協力する意欲がない、という事でしょう。
精神的に落ち込んでいるのか、覇気も感じられない。
これじゃーだめでしょう。
私も落ちこんだ。
この出会いは奇跡だと思ったのは やはり思い違いだった。
やっぱり次のサイクルはＩＵＩだ、と確信した。
これ以上、可能性の低い試みに
＄５００のフライトと貴重な有給休暇、
そして何よりも貴重なサイクルを費やせない。
母からの電話でも
“お付き合いしている人はどうなったの？” と聞かれたけど
“アテにならないものをアテにすることはできない…
次はまた病院で注入するわ。“ と答えた。
結局IUIで成功せず、いよいよＩＶＦをやるという時点で
まだ彼とつながっていれば もう一度
“パパになりたいかどうか
” 聞いてみよう。
ちなみにサイコセラピストの友人が言うには
たかだか４６歳ならまだ大丈夫なはず、
彼は潜在的に “Ｆｅａｒ”（恐れ）”
があるからできないそうだ。
彼の気持ちをどう解きほぐせばいいの？ との問いには
“私はあなたと一緒に幸せな家庭
を築きたいし
それができると思う”と彼に話し、
本当に彼もそれを望んでいるのかを再確認すること、
だそうだ… 
結局 ＩＶＦ？
日に日に私の考えも揺れる
のだけど、
“結局はＩＶＦをするのかな” という覚悟が
私の中でどんどん大きくなっている。
最初はＩＶＦ（体外受精）なんて考えられなかった。
高齢だけど何とかＩＵＩで成功するんでは？ と心のどこかで思っていた。
私のいとこも４３歳で自然な初産だったし。
でもホント、何事も思うようにはいかないものだ。
問題はあと何回ＩＵＩをやってからＩＶＦにするか？
ドナー精子はあと ５Ｖｉａｌｓ は手元にある。
Dr. Sと相談しなきゃ…
私の考えた 残りのゲームプランは：
１． あと１回誘発剤を使わない自然なＩＵＩ（子宮内注入による人工授精）
２． １回 排卵誘発剤を使ってのＩＵＩ（子宮内注入による人工授精）
３． ＩＶＦ（体外受精） 最高４回まで
ＩＶＦが最高４回までというのは、高いＩＶＦコストの８割がたを占める
採卵施術の部分を私の健康保険が９０％カバーするのは４回までだから。
その分自腹をきれば５回、６回…と好きなだけできるが、
そもそも私の保険が不妊治療全般で９０％カバーするのは
“４５歳まで”なので時間的リミットがある。
やはり自分のお給料で自費で不妊治療を続けるのは
現実的に難しい…
次のサイクルは？
今頃になってやっと高温期に入った。
前サイクルでトライし損ねたフレッシュ精子計画は
排卵時期が所詮ズレていたようだ。
今まで超規則的だったのに、ここにきて生理不順は困る…
やっぱり、近くに住んでいないパートナーと
自然に妊娠するのは難しいとつくづく感じた。
結婚している友人にも言われた。
一緒に住んでいても１年に１回くらいの確率でしか
妊娠しないので、焦ってはダメよ
と。
とにかく今は 彼をプッシュ
して更に追い込むのは
逆効果なので、おとなしく彼の出方をみよう。
もし彼の方でも何か考えているのであれば
ある程度の時間が必要だろう。
一体彼の本心はどうしたいと思ってるのか
このままいくと私は次のサイクルは
病院で２度目のＩＵＩ（人工授精）をやるんだろう。
もしまた彼のところにいっても、
同じ“カラ回り”が繰り返されるかもしれないし。
また排卵日予測がはずれるかもしれないし、
直前の高い飛行機代をまた支払わなければならない。
第一、彼はもうやりたくなくなってるかもしれない。
今回のことで彼は “ごめんね
” と申し訳なさそうに謝る始末。
謝ってまで再度トライする気持ちになれるのか、疑問だ。
彼にも、“結婚してても簡単でないことなんだよ” と強調はしたけれど…
もし彼も本当に子供
が欲しくて、それが私とでいいと思ってるのなら
ＩＶＦ（体外受精）が現実的だと思う。
でもそうするには結婚
してないと、
却ってとても面倒な手続きが必要となる。
彼には結婚する勇気がないんだろうと思う。
私の敬愛する８７歳のお稽古事の先生にもクギをさされた。
“あなた、いい人でも 結婚する気のない人といつまでも
ダラダラお付き合いしてはダメよ。白黒
つけなさい。“ と。
先生は古風だから、お手紙をしたためて気持ちを伝えなさい
というが、先生のように達筆でない私にはどうも…
この事ばかり考えてしまい、思考が堂々巡り…
映画やスポーツジムで気分を紛らわすしかない。
３度目の訪問の結果
心理的要因なのか
それとも身体的要因なのか
彼自身も苦悶しているのを感じる。
男の人の性的能力って
４０代半ばに突然ダメになることもあるんだろうか？
自分のならタダで沢山あげるよ、と言っていた手前
彼も申し訳なく思っている様子
男としてのプライドも傷つけてしまったようだ。
私も３日目を過ぎたら、諦めざるをえなくなった。
がっかり。 時すでに遅し…
ＩＵＩをキャンセルして、ラストミニットの高い料金で飛んできたのに
彼も気の毒だが、無駄にしてしまった貴重なサイクルが勿体無い。
彼も子供が欲しいとは言っていたので、
”気になるようだったら病院
で診てもらったら？
Andrology（男性病課）に行くんだよ” と言った。
”もし本当に子供
が欲しいんだったら
ＩＶＦ（体外受精）もできるんだよ” とも言ってみた。
“あ～、道のりは長いなあ…
” と私がつぶやいたら、
“出ないんだから 僕だって道のりは長い” と彼が言った。
帰りに空港
まで送ってくれる車内で、
今回の件で懲りて、もう二度とトライしたくないかと聞いてみたら
そんなことはないよ、と言っていたけど 本心はどうなんだろう
一応、今度はニューヨークに来るとは言っていたけど…
私も、また会いたいと自分の気持ちを伝えておいた。
ニューヨークに帰った翌日…
いつものように体温を測ったけど、もう高温期のはずがまだ低い。
周期が狂ったんだろうか
まったく何がどうなってるのか、体の仕組みは…
計算どうりにはいかない。
昼頃、綺麗に修正を施して 一緒に撮った週末の写真が
彼からＥメールされてきた。
“楽しかった” と書かれてあった。
かくして私の今サイクルのフレッシュ精子計画は
２WWを待つこともなく
あえなく不発に終わった…
３度目の訪問
心配なのは、土壇場になって彼の気が変わりはしないかということ。
あれよあれよという間に話が進んだので 心配だった…
殆ど毎晩話していたのでそんな気はしないけど 最後に会ってからもう約２ヶ月。
久しぶりに会うのはやっぱり少し緊張した。
また花束を持って空港に迎えに来てくれていた。
今回は初めて排卵のタイミングを見る検査キットをドラッグストアで買ってみた。
朝一番の尿で３日間検査してみたが、結果は全てネガティブだった。
後で説明書をよく読んでみると午前１１時から夜８時に検査するのがよいと書いてあった。
今度からはそうしよう… 失敗した。
今回の訪問は４日間だったのだが、３日目までにちゃんと
事を成し遂げないとダメというのが私の計算した予想だ。
時間はたっぷりある… と思っていたら大間違いだった。
男の人って何て繊細なんだろう
ちょっとプレッシャーを感じると、
出来ることも出来なくなってしまうらしい。
今までは問題なかった事なので、最初はわざとやっているのかと思った。
２日目の晩に 二人で彼の庭先にあるジャクジーに
星を見ながら入っている時に私はつい言ってしまった。
“あなたにはノルマがあるのよ…” と。
マズかった…
その言葉はますます彼にプレッシャーを与えてしまった…反省。
彼もわざとやっているのではないという事が段々わかってきた。
本人も思い通りにならない自分の体にショックを受けると同時に
かなり焦っているのが伝わってきた…
ＳＭＣミーティング４回目
先日、ＳＭＣ(Single Mother by Choice)のＮＹチャプターの
月次ミーティングに行った。 これで４度目だ。
いつもの面々、サラ や リサ がいた。
とっても感じがよくて、最近このグループに参加し始めて
わからないことだらけの私達に親切にいろいろと教えてくれるサラ。
彼女４０代前半だ。
皆ギリギリまで待ってこの選択をするので、自然と４０歳前後が多い。
サラはすでに６回ほど排卵誘発剤を使ったＩＵＩをして、
５回目に一度流産したと聞いていたが、
今回また心拍音を聞いた後で９週間目に流産したと
泣いて話してくれた。
ふつうは心拍音を聞いた後は流産の確率も低くなる。
私もとても悲しくなった。
今回の悲劇で彼女が度々流産しやすいのは
ＡＰＳ(Antiphospholipid Syndrome) が原因とわかったらしい。
これは自己免疫の抗体が血栓を起こして
赤ちゃんを殺してしまうんだそうだ。
だから何度も流産を繰り返してしまうらしい。
次回からは妊娠したら ベビーアスピリン81mgを毎日飲んで、
ヘパリンという物質を注射して、血液を薄める対応をするそうだ。
そして、ＡＰＳはＳＬＥの妊婦にも多く起きる症状なので、
私にも気をつけるようにと教えてくれた。
ＳＬＥでは流産する確率が１０％とも、何かで聞いた。
ＳＬＥで処方されている諸々の薬は、
同時に流産の確率も下げてくれるようだ。
私がＤｒ．Ｓｐ を選んだのは とってもエレガント
で、
私と同じ健康保険をもっているリサが
使っていたドクター（ＲＥ）をそのまま信じたから。
そのリサは、既に４回ナチュラルにＩＵＩをして、今月からは
排卵誘発剤注射を使ったＩＵＩを始めるそうだ。
リサいわく、コーネル大学病院ではＩＵＩをする日が週末に当たると、
病院の請求が Ｄｒ．Ｓｐ の名前でなく コーネルの施設からの発行となり、
保険のネットワーク外になるので保険でカバーされないから
注意するように教えてくれた。
かといって、週末にさしかかれば 機会を無駄にしたくないので
＄２５０を自腹で払う覚悟でＩＵＩに臨むしかないけど…
あ～、ホントにアメリカの保険のなんてややこしい事！
週末にさしかからないないことを祈るばかりだ。
ＳＭＣグループの皆は私がとうとうIUIを実行した
と聞いて応援してくれた。
計画変更
彼は子供用の顕微鏡のオモチャを買って
自分の精子を見てみたら、
何も見えなかったそうだ。
とてもがっかりしていたが、私は大爆笑してしまった。
明日にでも顕微鏡を返品すると言っていた。
アメリカでは皆何でも返品する。
“これで見えていたら、嬉しくてスキップ
して
ニューヨークに行ったのに！” と言っていた。
何でも、むかし美大の学生だったころ、色んな美術材料を使っていて
シンナーとかの影響を受けたかもしれない、と心配らしい。
小さな仕事が継ぎ目なくきていて、思ったように区切りがつかず、
ニューヨークに来る予定が怪しくなってきたそうだ。
ショック
私としてはこのパーフェクトタイミングな機会を逃したくはない。
私が彼の所に行くのなら問題ないとのことで、
直前だったけど急きょ私がフライトチケットを購入して行くことにした。
普通、２週間前に予定を立てれば＄１５０くらいで行けるところが、
＄５００以上もした… でも背に腹は変えられない。
冷凍精子Ｖｉａｌをひとつ購入するだけでも＄６００くらいかかるのだから…
少しずつ金銭感覚が麻痺してきている自分を感じる。
彼も “あと１ヶ月待てないの？”と聞いてきたが、私は
“待てない
” と答えた。
私にとっては こんなタイミングで 気が合う人と
こんなふうにもりあがって 子供を作ってもいいなんて状況、
すっかり諦めていたので 奇跡 に近いのだから。
今回は＄５００交通費を払ってでも私が出向いて
相手の気持ちが変わらぬうちにトライするべきだ。
それに、今月彼とのことを諦めて ドナー精子でＩＵＩをすれば
彼の気持ちは冷めると思う。
ドナーでのＩＵＩは私達の関係がうまくいかなくなったらやります、
と彼には言った。
“もうあなたが最後。 これがうまくいかなければ、私は心おきなく
シングルマザーになります。“ と言ったら、向こうは
“プレッシャーを感じる” と言い出したのでヤバイと思って謝った。
私達のこと、うまくいきますように…
思いがけない展開
他州の彼は私に シングルマザーになるのは止めたほうがいい と言う。
そりゃ、私だって好きでそうしたいのではない。
仕方が無い場合の最終選択肢だ。
シングルマザーって妊娠中も凄く孤独なんだって、と言ったら納得していた。
彼の知り合い夫婦は奥さんが妊娠中に旦那さんが
マッサージしてあげたりして、そういう関係が彼にも理想らしい。
私だって、そういうの憧れる。
それに、ＳＬＥと妊娠のことも少し調べたらしく、
“産んでからも大変なんでしょう？ ひとりじゃダメだよ。” とか言ってくれる。
“じゃあ、今度ニューヨークに来たら、一緒にシティ・ホールに行く？”
と私が言ったら、（婚姻届を出すこと）
“やっぱりそういう順序を大切にするの？” と聞くので、
私は正直書類にはこだわらないし、子供が出来たら考えればいい、と言った。
彼は、“結婚は当然考えるし、でないと子供を作る話なんかしない。”
とは言ったが…
私の夢は何かとしきりに聞くので、
“とにかく今は授かりたい” とバカ正直に答えてしまった私。
私よりもずっとロマンチストな彼は、
“えーっ、僕とずっと一緒にいたい、じゃないのー！？”
とがっかりしてしまった。
“私は今までいろんな人をお付き合いして、結婚話になったことも何回かあるけれど、
その人たちと残りの人生を一緒に過ごすことが想像できなかった。
でもあなたとなら、想像できる。“ と私が言ったら、彼も同じだと言った。
私達は今は距離があるし、お互い一人暮らしが長いから
当分はお互いが行き来する方法でもいいと思っている、
と私が言ったら、彼も基本的には同調した。
でも彼の仕事柄、今の土地に必ずしもいなくてはならない
事はないそうだ。
ここまで彼と話したからには、
今後 毎月排卵日辺りにお互いが行き来するんだろうか？
それとも、今月はドナーのＩＵＩにするとか、毎月話し合うんだろうか？
ＳＭＣを実践した人の中には、彼氏がいて彼氏も了承の上で
ドナー精子でＩＵＩをする人も多くいる。
結婚するのであれば、彼の精子に問題が無いかぎり
ドナー精子によるＩＵＩは勿論やらないが…
変な事だが、あまりに長い心の葛藤の末、私の中では
私の子供の生物学的父親 ＝ 私のパートナー
という本来は理想であり、普通であるこの図式が無くなってしまっている。
もうそれが現実的に無理と思い、意識の中でムリヤリその図式を抹殺してしまった。
今の私の図式は
私のパートナー ＝ 私と私の子供を深く愛してくれる人
に書き換えられている。
パーフェクトタイミング
先日他州の彼との電話で、精子と受精の話題が出た。
どこまで本気なのかは分からないけど、彼から
“子供作っちゃおうかー” というセリフまで出てきた。
彼は、顕微鏡を買って自分の精子がちゃんとしているか確かめたいと言う。
面白くて大笑いしてしまった。
以前に、“僕は養子でもいいと思っていて、
例えば黒人の子供を養子にしてもいいんだ“
なんて言っていたけど、やはり本音は
自分の遺伝子を受け継いだ子供が欲しいんだなと感じた。
数日後の電話で…
彼がもし仕事の都合が変わらなければ
ニューヨークに来ようかと考えている週末が
ちょうど私の次回の排卵日あたりだった
すごいタイミングだ。
私はもし彼が避妊をするのならば、今サイクルを無駄にしたくないので
ＩＵＩ（人口授精）にも行く覚悟だ。私の決意は固い。
彼は慎重な性格だと思うので、なかなか大胆な行動には出れないだろう…
もし私が今月からＩＵＩをやります、と言ったら
彼の行動が変わるかもしれない。
本当は前サイクルで既にＩＵＩを初めて決行したけど、
そのことは彼には言っていない。
次のサイクルから始めると言ってみよう。
はたして彼がどう出るか…
翌日の電話で…
私は彼に言った。
“実は今月からドナー精子注入をやろうと思っていて、
それがちょうどあなたがニューヨークに来る頃なの。
この前のＳＬＥ再発疑惑事件で確信したんだけど、
私はもうこれ以上待ちたくないんだ。”
さすがに彼は少しショックを受けたようだ。
“じゃあ、オレとのことは友達ってこと？” と言った。
私が “私はアナタでもいいと思ってるんだけど、
どこまで本気で言ってるのか、ハッキリしないし…” と言ったら
彼も私でいいと思っていると言い出して、話がどんどん肯定的になって
“じゃあ、子供を作りにいくんだね。” という会話になった。
びっくり まさかこんな展開になるとは…
私も念を押して ”避妊具持ってこなくていいからね。“ と言った。
私が “覚悟して来てネ！” と言ったら、向こうは少しビビッていた。
私が ＩＵＩを始める決意をした事を “崖から飛び降りる決意をしたんだ。”
と言ったら 彼は
“ひとりで飛び降りるのは簡単だけど、ふたりで飛び降りるのは難しいよ。”
と言った。
確かにそうかもしれない。
相変わらず彼は顕微鏡で自分の精子を見てみると意気込んでいた。
“これからしばらく僕は野菜中心の生活か～” と彼が冗談めいたので
“私は肉を沢山食べなきゃ。” と言ったら
“女の子が欲しいの？” と聞いてきた。
もちろん “そう！” と答えた
女は灰になるまで… その２
８７歳の私のお稽古事の先生は
最近覚えたばかりの出会い系サイトに夢中だ。
先生、そういうサイトの危険性を充分承知していないので
書かれてあるプロフィールを疑うことをしない。
先生は嬉しそうに、今はどんな青年
とメール交換しているかを、
私達生徒に報告（自慢）して、私達は時にはメールを読まされて
曖昧な表現とか言い回しとかを翻訳させられる。
ハラハラして
“先生、書いてあることを全部信じちゃダメですよ！”
“世の中には平気で嘘をつく人もたくさんいるんですから！”
と ついきつい口調で言ってしまう私。
先生は３０代にしか興味がないので、
４０代以上の人がメールをくれると、私達アラフォーの生徒に
いい人がいるのよ～、と紹介しようとする。
写真もなかなかいいのよ～、というので見てみたら、
とんでもないオヤジで、私達はムッとして
“先生、この人絶対４０代じゃありません、どうみても５０代です！
サバ読んでますよ～、ゼッタイ“
と反撃するハメになる。
先生は “そうかしら～” と明らかにどうでもいい感じで流す。
センセイ、オモシロすぎます… 