◆5月の課題◆ヨシタケシンスケ・又吉直樹『その本は』 | ことのは徒然

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日々の徒然に思いついたことを書き留めてます。

毎月1冊本を読み、エッセイを書いて講評し合う「ふみサロ」。
実は今回は、途中まで書いていたのですが時間切れで課題提出できませんでした。


急な仕事が入っちゃったし、仕方ないかぁ、って思ってたんですが、他のみなさんが逃げずに書いているのを目の当たりにして、このまま書かずに終わるのはダメだな、と思い、こっそり仕上げて、ひっそりUPしますてへぺろ

5月の課題本は
ヨシタケシンスケ・又吉直樹『その本は』



エッセイはここから

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これって『千夜一夜物語』のオマージュ?
読み始めてすぐ、そう思いました。
千夜一夜物語では、王様に話をするのは妻だけど、この本は、妻じゃなくて、なんかへんてこりんな2人がへんてこりんなお話を王様に語って聞かせる。世界中から集めてきたというテイで。

そう、実は全部、ぐうたらな2人がでっちあげたデタラメのお話。

でもね。
その話を聞いて、王様が満足して最期を迎えられたのだとしたら、それってすごいことじゃないですか?
本ってそういうもの。
楽しんでナンボでしょ?
そんな作り手の声が聞こえてくる。

その思いは、装丁にも遺憾なく発揮されている。

「この本の装丁だけどさ、せっかくだから全体を古めかしく見せようよ。」
「全ページ紙焼けしてたら、それっぽくない?」
「おー、いいね、いいね。」
「ところどころシミとか汚れがあるとリアルだよね」
「えー、やっちゃう? 汚しちゃう?」

そんな会話があったかどうかはわからないけど、全ページ紙焼け印刷されてます。
で、ワタクシ、なんとシミも発見!
「あれ? 私、何かこぼしたっけ?」
って思うくらいリアルなシミ。裏まで染みてるの。
笑う。

もしかして他にもあるかもー、って探したら、
汚れた手で触ってしまった指紋の跡とか。
テープが貼りついちゃってるところとか。
あと、ペンの試し書きしてあるところもあった。
おいおい、本をメモ用紙代わりに使うなや笑い泣き

こんなところにこだわれる余裕がかっこいい。

作り手が楽しんでるのが伝わってくる。
だからこっちまで楽しくなる。

書籍制作なんて、スケジュールに追われて、楽しいより大変なことのほうが多いはず。でも、関わっている人たちが「いいものを作りたい」って思いで、あれやこれやの困難を乗り越えて、ここにこうしてこの本がしれっとあるんだなあ、と思うと、なんかもうそれだけで感動してしまう。


ああ、私。
やっぱりみんなでモノを作るのが好きなんです。
なんにもないところからスタートして、
たくさんの人が知恵を出し合って形にする。
これは人間にしかできない。

こんな非効率的で愉快なこと、
絶対にAIにはできない。
だから、どんなハッタリでもいい。
ニンゲンの能力を最大限に発揮して、
王様を楽しませ続けようではありませんか。