マックデリバリーしながら映画『ファウンダー』鑑賞✨ | ことのは徒然

ことのは徒然

日々の徒然に思いついたことを書き留めてます。

今年のGWは、娘の希望で、マックデリバリーを堪能しつつ、映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を鑑賞する会を開催爆  笑

 

こちらです

 ↓ ↓

 

マックデリバリーは置いておくとして、この映画、私は3回目なんですが、やっぱりモヤモヤしましたわぁ。

 

初めて観たときの衝撃と言ったら!

深夜で、後半眠くなってたんですが、あまりにびっくりの終わり方で、バッチリ目が覚めました。

え。本気ですか?

なんでこんな映画作ったんですか?

と。

 

(以下ネタバレあります)

 

マクドナルドの創業者の話ということだったから、キラッキラのアメリカンドリーム話かと思ったら、「創業者」なる人は、本当の意味での「最初の人」ではなかったという衝撃の事実! 

 

「創業者」レイ・クロックは、マクドナルド兄弟(「創業者」と区別するために、私は「創始者」と呼ぶことにします)が自力で開発したシステムを、(最初は悪気はなかったにせよ、)結果的に乗っ取り、当初の契約も金にモノを言わせて反故にし、再契約の際には、あろうことかロイヤリティ1%の項目の書面化を拒否。紳士協定(言葉だけの契約)を飲ませたうえで、まさかの「踏み倒し」っていう結末。踏み倒した金額。今の価値なら年間1億ドルですって!

 

おまけにレイの策略でマクドナルドの名前は商標登録されてしまい、マクドナルド兄弟はそれまで使っていた本名の「マクドナルド」を店名として使えなくなる始末。

ええー、本名なのに?目目

(あれ、そういえば、ちょっと前に日本でもそんな女優さんが問題になっていたような💧)

 

創始者のマクドナルド兄弟は、仕方なく店名を変えて営業を続けたけど、近くの競合店との競争に負けて3年で閉店したそうです。

 

マジかぁ。

その追い込み方の徹底ぶりは、いっそ清々しくすらあるけど、これ、映画化していい内容なのかしら、というのが、正直な感想。やり方がえげつなくて、素直に「すご〜い!」とは思えなかった。

 

どうしても映画製作者の意図が読めません。

 

エンドロールで「紳士協定で約束されたはずのロイヤリティが払われることはなかった」って敢えて流す感じからすると、創業者は悪者?っぽく見えちゃうんだけど、でも、そこで創業者本人の映像も流れて、「マクドナルド」っていう名前に目をつけた自分の眼力を自慢げに語ってたりするわけですよ。創始者を出し抜いて横取りした名前ですよ? この映画を観たら、とても功績には見えないんだけど、、、

 

ただ、本人映像OKということは、現マクドナルド側は、この映画の内容に異議はないということですよね?

 

えええぇ、、、そっかぁ、この数々の所業は、胸を張って自慢できることなのかぁ。時に非情になってでも、粘り強く目的遂行することの重要性を説いてる?

 

ううーん、でも。なんか、国民性の違いなのかなぁ。少なくとも、日本人はマクドナルド兄弟に同情的になってしまう気がするんだけど、そう感じるのは私だけ?

 

まあ、マクドナルド兄弟の方も良くない点はあるのよ。フランチャイズやるって契約しておきながら、自分たちの店のことしかやってない(ように描かれてる)し、レイの新しい提案も拒否ばかりで歩み寄る気配もなかったし、レイの暴走を放置してたし。

 

正直、どっちもどっちという感じはする。

ビジネスマンと職人さんがビジネス協定を結んで、折り合いがつかずにビジネスマンの一人勝ちっていうストーリー。

 

もしかして、タイトルの「ファウンダー」は、創業者と創始者の両方を指していて、両者をフラットに描いているつもりなのかしら? と思ったりもしたけど、原題は「The Founder」って、単数だった。ということは、やっぱり、レイ・クロックが主人公ですよね?

 

やっぱり、ビジネスで成功するためにはここまで徹底的にコトを進めるべき、っていう教訓なんだろうか?

 

でもねぇ、プライベートもなかなかのものなんです、この人。

奥さんはいわゆる「良き妻」で、夫レイがビジネスに全振りでほとんど家に帰らなくても寂しさに耐え、協力的にがんばってきた人なの。次から次に新しいビジネスに飛びつくレイが揶揄されたときなんか、仲間の前で堂々と夫を庇ったりしてね。なのに、レイは、他に好きな女性ができたからってあっさり奥さんを捨てちゃうんですよ。

 

別れるときに、「家も車も全部くれてやる!」って言ってるから、少しは妻に申し訳なく思ってるのかなぁ、と思いきや、ビジネス関係の譲渡は断固拒否。「1株たりとも譲らない!」と、弁護士に噛みつかんばかりに宣言するのよ。

 

このシーンの意図も理解に苦しむ。この執着の描写は、奥さん軽視っぽく見えてレイの印象を悪くするとしか思えないんだけど、描き方としては、なんか「創業者のビジネスに対する強い思い」というプラスの面として挟み込まれている風情なんだよね。感心するべきところなんだろうか?

 

確かにすごい人だと思うんですよ。

まずもって、ビジネスに対する熱量がハンパない。

そして、アイディアと行動力もすごい。

例えば、フランチャイズを始めた当初は、富裕層の友人たちに手軽な金儲けとして声をかけていくんだけど、金持ちの余興では、現場運営がゆるすぎて、ブランドイメージが保てないと見てとるや、「真面目」な「持たざる者」に目をつける。そして即行動!(映画では上流階級の会員制クラブのディナーと退役軍人会の食事会が対比的に描かれていて、レイの方向性の転換がわかりやすく描かれてました。そして、やっぱりアメリカの退役軍人会ってすごい存在感なんだな、と。異文化も垣間見られた感じ。)

 

で、その熱意とアイディアと行動力で、逆境から勝利の流れを引き寄せる。

 

印象的なのは、「店は繁殖してるのに赤字が募って行く」という状況に陥っていたときに、偶然に優秀なビジネスコンサルタントに出会うシーン。まあ、彼の入れ知恵で創始者のマクドナルド兄弟は壊滅的な打撃を受けたわけですが、あの出会いがなかったら、マクドナルドはここまで大きくなってなかっただろうし、私も今こうしてデリバリーのバーガーとか、この日本で食べられてなかったんだろうなぁと思うと、何だか複雑な気持ちになりながら、届けて頂いたマックフライポテトをほおばってました。

 

そんなこんなで3回も見たのにまだ私の中で落としどころが決まってない映画です。

 

国民性の違いや、私自身に圧倒的にビジネスマインドが欠けている点が、色々と腑に落としきれない原因なのかもしれないな、とは思ってます。

 

マクドナルド兄弟の結末については、もう、「やるせない」の一言に尽きるのですが、かわいそうと言ってしまうのは違うんですよね。だって、繁盛し始めた店をいったん閉めて、世の中にない全く新しいシステムを作り出そうという姿は最高に粋です。今のマクドナルドに採用されている、カウンターで注文をとって即座に客に出来立てを渡すシステムは彼らがゼロから生み出したものです。テニスコートに実寸の厨房のレイアウトを描きながら、スタッフと導線を確認しつつ、効率的なシステムを求めて試行錯誤するシーンは、何度見ても血湧き肉踊ります。いちばん好きなシーンかも。ゼロからイチを生み出せるって、もう羨望しかない。そして、惜しみなくその技術を開示してしまうところが、もう最高にかっこいい。

 

でも、彼らは発明した技術を広めるのには向いてなかった。というか、それを広めることの大きな価値を理解してなかった。だから、発明はできないけど「いいもの」を見出して広めるのがめちゃくちゃ上手い人に、いいところを持っていかれてしまった。それだけのこと。

 

世の中には、レイみたいな人がいてもいいし、マクドナルド兄弟みたいな人がいてもいいんだと思います。

 

ただ、個人的には、マクドナルド兄弟みたいな美意識をもった人たちが、等身大の幸せをつかめる道を確保してあげるくらいの大らかさはあってほしいなぁと思ってしまうのですが、それはやっぱり私が職人びいきだからなのでしょうか。