【今日の1冊】『いやいやえん』 | ことのは徒然

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日々の徒然に思いついたことを書き留めてます。

山脇百合子シリーズ第4弾。

 

今日ご紹介するのは

中川李枝子文/山脇百合子絵

『いやいやえん』



『ぐりとぐら』シリーズと並ぶ、姉妹コラボの代表作。

この作品のときは、まだご結婚前だったので「大村百合子」となってますね。

こちらは絵本ではなく、児童書なので、文章メインで、モノクロの挿絵が各ページに入っている感じです。

 

主人公の4歳のしげるは、わがままでやんちゃな男の子。ちゅーりっぷ保育園では、しかられてばっかり。作者の中川李枝子さんの保育士としての体験が詰め込まれている感じがひしひしと伝わってきます。とにかく、しげるも、まわりの子どもたちものびのび自由で、よくも悪くも子供らしい。リアルな誰かを想定しながら書いているんじゃないかな、って思うくらい生き生きしてます。

 

いくつかのエピソードから成り立っているのですが、タイトル作品の「いやいやえん」は、わがままなばかりで大人の言うことを聞かない子どもたちが送りこまれる「いやいやえん」に連れて行かれたしげるの話。「いやいや」ばかり言っている子たちの「園」ということなんでしょう。そこで厳しくしつけられるのかと思いきや、「いやいやえん」には、しげるのきらいな「きまり」や「お約束」はなく、何をしてもしかられない。ルールがないからみんなやりたい放題で、とうとうおもちゃたちまで愛想をつかして出ていってしまう始末。ルールのない自由が決して楽しいものではないということが伝わってきます。「めんどくさいきまりがあるのはなぜか」そんなことをふわりと教えてくれるお話です。

 

私が好きなのは「山のぼり」。好きというか、子供のころは妙に怖くて、怖いもの見たさで何度も読みました。てっぺんの色が、赤、黄、橙、黒、ピンクの5つの山を登るという行事。それぞれの山には色に合わせてりんご、ばなな、みかん、桃といった果物が実っているのですが、4番目の「黒」の山がクセモノなんです。ここでも約束を守れなかったしげる。さて、どんな体験をするのでしょうか。

 

子供にはきっと身につまされて共感してしまうお話ばかりだと思います。一方、保護者が読むと「子供ってやっぱりこういうもんだよね」って救われる気持ちになる。

 

で、そんなリアルな園児たちはおもしろいけど、内容はさらりと教育的。ただし、時代的なものがあって、今ではジェンダー的に絶対に書けない内容も含まれているので、もしかしたら不快に思われる方もいるのかもしれません。でもそこは大目に見つつ、楽しんでほしいと思います。

 

 

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