私の娘ターリアは自慢ではないが、結構なんでも食べる。
お肉は全般大丈夫だし、野菜も私の彼以上に食べられる種類が多い。
魚介類も食べる、納豆も食べる。
どんな国籍の料理でもとりあえず食べる。
でも、ケーキなどはあまり食べない。
もちろんお菓子は食べるがそれほど大量ではない。
ハロウィンでせっかく集めたお菓子も、戸棚にしまうと忘れてしまい、翌年に発見されるという事件もあった
こんな娘なので、あまりごはん等で苦労をしたことがなかった。
彼の子供たちを家庭に迎え入れるまでは、、、、
アンディ(8歳)とエミリー(6歳)は、出会ったころはびっくりするほど超偏食だった。
イギリスでは子供にジャンクフードばかり食べさせる親もいる。サンドイッチの他にチョコレートバーやポテトチップスがランチの一部になっている家庭もある
こういう背景もあって、ある程度は見慣れた私ですら驚愕の食生活だった。
彼らがその当時食べていたものは、、、、
パスタ、できればソースなし
だった
これが毎日でもいいわけ。
茹でただけのパスタ。
そして、エミリーはいつも「牛乳のチーズをパスタにかけたい!」と言っていた。
私は「牛乳のチーズって普通のチーズのことだよね。まさか、ヤギのチーズとか羊のチーズとかはパスタには普通かけないよ~。」と笑っていた。
でもなんで「牛乳のチーズ」って何度も念を押すんだろう?と不思議だった
彼が説明してくれたのだが、この当時元妻さんが、1年ほどビーガン食を強いていたので、植物性のチーズを食べさせられていたアンディとエミリー。私は食べたことがないが、まずいらしい
それからは、間違ってもビーガンチーズが出ないように「牛乳のチーズ」と念を押すようになったらしい
ビーガン時代は、炭水化物ばかり食べていた。
パン、パスタ、お米、フライドポテト。
アンディが食べられる唯一の野菜は、茎ブロッコリーの茎の部分と生の人参、本当にそれだけ。エミリーに関してはゼロ。
子供が食べられそうなきゅうり、玉ねぎ、コーンなどもダメ。
コーンフレークなどは食べられる。チョコレートやお菓子は好き。
親戚のバーベキューでみんながホットドッグなどを食べているときに、ご飯にマーガリンをかけて(これはいつもの食べ方)それをホットドッグのパンにはさんで食べていた
フライドポテトも、エミリーは真っすぐにカットされたフライドポテトしか食べず、アンディは逆にくるくるにカールしたカーリーフライしか食べなかった。なので冷凍庫にはいつも2種類のチップスがストックされていた。
唯一、缶詰の加工食品は、食べられるものがいくつかあり、甘いトマトソースで煮たリング状やアルファベットの形のパスタやベイクドビーンズは大丈夫だった。その他、大豆でできたチキンナゲットそしてポテトチップス。味にもこだわりがあり、ポテトチップスも1種類の味しかそれぞれ食べなかった。
水もそのままでは飲めず、常にスカッシュという濃縮したフルーツ味のシロップに水を足してジュースにするという物を飲んでいた。
これらも決まった味しか飲まなかった。
これには科学甘味料が入っているので、元妻さんは「そんな体に悪いもの飲むなら無理して水なんて飲まなくてもいい。」というので子供たちはいつも一日中あまり何も飲まずに私たちの家に来た
フルーツなら子供なんだから食べるか?と思いきや、色々なフルーツ味のヨーグルトは食べられるが、アンディは青りんごのみ(それもこちらから勧めないと食べない)そしてエミリーはイチゴとゴールデンキウイのみ
こんなすごいレベルの偏食からスタート。
まず、私が彼と一緒に暮らし始めてから変えたこと。
それは、、、、家族用のテーブルとイスをそろえたこと。
別居当初の彼のアパートに次の家が見つかるまで一緒に住んだのだが、彼の家にはテーブルがなかった。
この記事で詳しく事情を説明している。
しかも、彼は子供たちのご飯(もちろんパスタ)を作って食べさせて、彼らが寝てから自分のごはんを作って食べていたから一緒にご飯を食べることさえほとんどなかった
なのでまずはこれを変えた。
IKEAでコンパクトに収納できる6人掛けのテーブルと折り畳みできる椅子そしてそれにつけるクッションを購入
その次は、
大人は色々なものを作って食べて、子供たちには「食べたかったらどうぞ。」くらいで勧めた。もちろん彼らが食べられるものは常に用意しておいた。
これは時間がかかったが、子供たちがパスタや炭水化物以外の物を目にする機会を増やして大成功だった。
そして娘のターリアが大人と同じく野菜やお肉を食べてるのを見てびっくりしていた
よく考えれば、彼らは元妻さんの独断で学校に行っていないし、それほど仲の良い友達もいない。
他の子供と一緒に食べる機会もなかったし、他の子供がどういった物を食べているのか観察する機会もほぼ皆無だった。
ターリアが色々なものを食べているの見て食に興味を出し始めた
そしてまだまだ全然食べられなくても、食卓を囲んで楽しい時間を過ごすという事を新たに発見した。
まだ、元妻さんが「ビーガン食が一番」と言っていたころから私たちは子供たちに鶏肉やソーセージ(フランクフルトではなく生のソーセージを調理したもの)などを少しずつ与え始めた
最初のうちは、食べたがらなかった。
しかも、肉や魚を食べるのはダメだと毎日のように元妻さんから教えられていたから最初のうちは抵抗がかなりあった。
そして毎回私達が子供たちに肉を出すと、元妻さんから後で長い文句のメールが着た
この頃は子供たちは痩せこけていて、色白でいつも疲れていた。20メートルも歩くとすぐに彼に抱っこしてとせがんでいた。
勿論疲れてくるとエミリーの癇癪を起こす頻度も増えてきた
彼女の癇癪を起こす事については以前に記事にした。
こうして元妻さんと子供たちの食生活について、口論していてたのだが、、、、、
ある日突然、
ビーガン食のせいで元妻さん自身の体調が悪くなりすぎてビーガン食が強制終了となった
これを機に子供たちはお肉を罪悪感なく食べられるようになった。
そこから少しずつ、少しずつ色々な物を食卓に並べ、味付けを少しずつかえて食べられるものを増やしていった。
今では、ニンジンやセロリや玉ねぎのみじん切りが入ったミートソースも拒絶せず食べられるようになった
私が2年前にラザニアを作ったときは、「ソース全部取ってパスタの部分だけ食べる。」と言っていたアンディとエミリーが今では同じものを私以上に食べる
最近では私が作ったインド料理ビリヤニにも興味をもって鶏肉を少し食べたり香辛料のかかったご飯も食べてみた
私達が勧めなくても「それちょっと食べてみる。」といって試食するようになった。
フライドポテトしか芋を好んで食べなかったのに、今ではローストポテトもマッシュポテトも食べられるようになった。
やはり子供たちは日々成長している
私が貢献できたのは、食を楽しくする、工夫するといったことだけど、彼のサポートもかなり重要だった。
実は彼も子供の頃はかなり偏食だった。
だから彼が一番アンディとエミリーの気持ちが分かっていた。
彼と彼の子供たちは、ただ単にこだわりが激しいのではなく、匂いや食感に敏感なのだ。
だからソーセージの皮の食感が気になるなので食べたくないといった事も起こる。
私の脳科学者の親友は、「もしアンディやエミリーが感覚処理に問題があるとすると、この食感は嫌だなと感じるのは本人の好みの問題ではなくて、これは食べても安全か?というもっと根本的な問いかけにつながるの。だからこの場合は生理的に受け付けない、拒絶してしまうの。」と教えてくれた。
食感のほかにも、アンディとエミリーは他の感覚器官が敏感だったりするので(これは程度は違えど父親の彼も同じ)、偏食も彼らの生まれながらにして備わっている体質的一部なんだろうと思う。
その他、一般的に子供が野菜を食べないのは、野菜によっては軽い毒性を持つものがあり、大人なら大丈夫だが子供は敏感だから食べない。こういった理由で子供の時は食べられなかったものが、大人になったら急に食べられたという話も親向けの子育て情報で読んだことがある。
私が体験した超偏食な子供たちに一番必要だったのは彼らの父親のようなよき理解者だと思う。
どうすれば偏食を改善できるかも勿論大事だけど、そもそもなぜ偏食なんだろうかと考える必要がある。
もしかしたら、感覚処理が一般の子供と異なるタイプかもしれないし(彼の子供たちの場合は多分これが一番の理由)、そういった問題がなくとも今焦らずとも時間をかければ自然と解決する問題かもしれない。
カロリーさえとっていれば、最低限のタンパク質やビタミンはプロテインパウダーやサプリで間に合う。
だから親ができることは、食育とか食文化に触れる機会を作ることだと思う。
残念ながら、彼が子供の時は両親が彼に嫌いなものを無理やり食べさせるという手法をとっていた。
そういう経験がある彼は、食べる事自体が苦痛だったらしいし、食卓を囲むということもあまり好きではなかったらしい。
彼が偏食を克服したのは、大人になって社会に出たから。出張が多かった彼の仕事。いやでも同僚と一緒にホテルで朝食を食べる。社会人なのに「あれもこれも食べれません。」だとさすがにまずいと思ったらしく、今まで食べたことがなかったものを口にしてみたらしい。そうしているうちに、色々なものが食べれるようになった
そして料理が実は上手なこと(彼は手先が器用)、母親の料理はただ単にまずかった事を大人になってから知って自分で色々と作るようのなった。それからは前よりもずっと食べれるものが増えた
私は餃子は基本手作りで、たまにターリアとエミリーが手伝ってくれる。アンディは基本的に細かい作業をやりたがらないので参加はしない。それでも出来立ての餃子は一口くらいは食べてみる。エミリーも同じだ。好きではないが、口にいれてみる。
私、ターリア、彼がおいしそうに食べてるのをみるとやはり一口食べてみようかなと思うらしい。
偏食は少ししか改善されていないのだが、食に対する抵抗がかなり減って二人ともオープンになったのがうれしい。
もちろん、元妻さんのビーガン食をやめたお陰で子供たちが抱いていた動物性食品に関する罪悪感もなくなった。
歴史で縄文時代、弥生時代となるように元妻さんは「ビーガン時代」があって次は「グルテンフリー時代」や「乳製品がダメ時代」「砂糖ダメ時代」なんかもある。
はっきり言って年表が作れるくらい、次から次へと変わっていく
それでも私たちは子供たちの食生活を豊かにしよう、楽しくしようと日々工夫をしている。
夕食時に、照明を暗くしてテーブルに置いてあるキャンドルに火をつけて「おしゃれなディナー」なんて言って子供たちが準備をするのもかわいい