椿と幽霊の木 | もとろーむの徒然歳時記

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山が好き、花が好き、クラッシック音楽や絵画、演劇に歴史好き…気ままに書かせて頂いています。

 

この日華やかに咲き誇っていたのは

 

2本の大きな木いっぱいに

 

花咲いた赤と黄色のマンサクの花でした。

 

 

風に波打つように赤と黄色の色合いが

 

絶妙なコントラストを生み出して、大きな絵画のような迫力すら感じました。

 

 

 

そして馬酔木

 

美しいスズランのような花の色に見とれてしまいました。

 

 

 

見上げると青空には

 

幽霊の木

 

緑色だった実は茶色に変り、

 

寒さで見るからに堅そうな実をつけています。

 

春から初夏に咲き白いヒラヒラしたハンカチのような花からはとても想像できません。

 

こちらの幽霊も、どうやら季節もののようです。

 

 

 

 

白い侘助は

 

もうすでに盛りを過ぎ、落ち始めていました。

 

 

 

今年はほんの短い時間でしたが、

 

侘助の咲く姿を見られて良かったと思っています。

 

 

 

こちらは紅侘助。

 

半開一重の筒咲の一輪花。

 

その姿は控え目でありながら優雅さも感じさせてくれる花です。

 

 

 

白地に紅の縦絞りが入ったとても上品な椿です。

 

アキノヤマ です

 

Gamellia japonica ‘AKinoyama’とありました

 

日本の固有種でしょうね。

 

 

 

そしてこちらは検索すると太郎冠者とありました。

 

ピンク色の一重咲きの椿です。

 

学名を見ると

 

Camellia japonica x wabisuke cv. Taroukaja

 

cv.となっていますので、椿と侘助が自然交雑した園芸種ってことでしょうか?

 

侘助の一種とも書かれているものもありました。

 

いずれにしても、静かに語りかけてくるような優しい淡紅色の花です。

 

検索ついでに太郎冠者の別名に

 

ウラクツバキ(有楽椿)とありました。

 

 

 

終わってしまいましたが、NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」で、

 

染谷将太さんの素晴らしい演技力で話題を振りまいた

 

あの織田信長の弟で、織田長益という、

 

信長の嫡男の織田信忠に仕えていた武将がいたそうです。

 

本能寺の変の際には二条城御所に籠城し、信長の嫡男信忠は落命しますが、

 

長益は城から逃げて難を逃れたようです。

 

これに関しては色々と話もあるようですが、

 

438年前の出来事、事実は分からないですよね。

 

その後、長益は剃髪し織田有楽斎と名乗り

 

千利休の薫陶を受けられていたようですね。

 

その有楽斎が茶席でこの太郎冠者を愛用したことが、

 

名前の由来になったとありました。

 

すみません長くなりました。

 

 

この控えめで気品のある淡紅色の咲き姿が、

 

その後も長く茶人たちの間で愛されてきたのでしょう。

 

京都では有楽椿、関東では、太郎冠者の名で呼ばれているそうです。

 

 

 

アキノヤマと太郎冠者です。

 

椿は種類も多く、

 

花の少ない季節に青々とした葉に、美しい沢山の花を咲かせてくれます。

 

雪景色には紅が映え、花を終えた落椿は足元を彩ります。

 

しみじみもののあはれを感じさせてくれる花です。

 

 

 

 

私が30年前に買った、森淳司さん編の訳文 万葉集(笠間書店)の

 

第一巻 56番の歌に

 

椿をいくら見ていても見飽きない、いつまでも見ていたい。

 

そんな気持ちを詠んだ有名な歌があります。

 

 

河の上の つらつらつばき つらつらに 見れども飽かず 巨瀬の春野は

 

 

こんなに美しい花が万葉の昔からあって、

 

万葉人の心をとらえていた。

 

日本の椿はつくづく奥深い美しい花であり、

 

また、他の万葉集の歌に詠まれているように

 

人や自然や、礼儀、作法、簡素なもの、静寂の中にでも

 

美しさを感じる日本人のきめ細やかな感性はいいもんだと

 

改めて思っていました。