9月27日(土)
『Walpurgisnacht』 ヴァルプルギスナハト
【 Walpurgisnacht session 1
①「Talk to Me Like the Rain And Let Me Listen /話してくれ、雨のように」
②「Hello from Bertha /バーサよりよろしく」
③「Love for Sale」
Tennessee Williams
テネシー・ウィリアムズ】
-IST零番館
18:00
【原作】テネシー・ウイリアムズ
【演出】中島郷・北岡亮輔
【出演】赤塚元・山本真規子・松岡73・末松智子・桐野幸・林祐介
【音楽】井之上望・田村綾・佐藤まさこ
【ensemble出演】島袋貞則・林祐介・森山瑛美子・辻まこと・西村昌広・及川きっこ・鷹矢恭司
紙一重 という言葉がある。
そこに込められた人間悲劇。
原作はテネシー・ウィリアムズ。
不勉強で申し訳ないが、作品は【ガラスの動物園】を映画で見た程度だが、胸に残る虚しさは哀しみによるものだった。
だからこそ作品の中に脈々と流れる哀愁は秀逸!
【生】を苦しみもがきながら必死に手を伸ばす仕種がシーンシーンに刻み込まれているのである。
物語は3作となっているが、3作目は舞台後ろに組まれたライブバーであったという事だが、その表現法が秀逸。
そうだったのか!
・・・・と、終演後気付かされるのだが、あまりにも自然。
受付を終えて会場に入ると既に暗く(いい感じで)、ライブバーが開店している。
前にベッドと乱れた夜具。
その後ろにライブバー。
ひとつのピアノ(?)の前に二人で連弾。
知らぬ間に歌手の 【佐藤まさこ】さんがジャジーに歌を歌っている。
低く囁くようにビブラートを響かせている事が 「大人ぢゃん!」 を彷彿させる。
そして流れるように②が始まる。
この女役の 【山本真規子】さんが老女役であるにも関わらず、20代の姿のままで凛々しく演じられ驚く。
ゆるりゆるりと、たおやかで静かな演技で積み上げられた時間がクライマックスに差し迫った瞬間、狂女へと変貌!そのメタモルフォーゼが怖かった!
そして暗転して、薄暗く照明が舞台に届く。中央のベッドに向かってずるずると足を引き摺り倒れ込む女が一人。【松岡73】さんである。体調を崩したと聞いていたのだが、まんまの役柄である。もしや・・・・・?本当に?と思わせるほどの疲れ具合を僕らに見せる。
しゃがれたブルースのような疲れきった声。
ファーストシーンからラストまで彼女は、わめき散らし、毒づき、自己顕示欲に寄りかかり、罵詈雑言をのたまう。
役者としてエネルギーの全てを込めなければならない役柄。
人を、社会を、憎悪の対象でしか見据えられない哀れな女、バーサ。
恐ろしいほどの熱風を舞台上から客席に向かって放たれた。
今、この時期だからこそ【73】さんの舞台に触れられて良かったと思う。
そうした毒に彩を添える女役の二人がまた見事!
ゴールディ役の 【末松智子】さんが献身になればなるほど冷めて、リーナ役の 【桐野幸】さんが無関心になればなるほど扇情的な衣装(エロティックなガードルとパンティ)が栄える!
そしてバーサの苦悩が浮き彫りになる。
二人の立場をキッチリ描く事によってバーサが引き立ったのだ。
いいものを見せて頂いた。
それにしても・・・・・・雰囲気作り・・・・・というか、お客をその世界観に引きずり込むアイテムとしてバーの音楽を使ったのは正解だと思った。
そういった勘が働いたことが特筆に価すると感じる。
また舞台ではなく、その廊下や階段の所に気をつけてヒモをかけてそれに下着をズラリとかけてあるオブジェチックな世界作りが良かった!
これは作り手が外界に発信する全てをやり尽くそうとした結果だろうが、その行為が素晴らしい。
これこそが舞台を作る姿勢なのだと、つくづく感じさせられた。
スタッフ、キャストの皆様、本当にお疲れ様でした。