7月20日(日)
ATLAS 「喪主もピアノが弾けたなら」
<ロクソドンタフェスティバル2008参加公演>
17:00
作/アサダタイキ 演出/酒井慎悟
《出演者》
一明一人(高級社)、冬月那瑠(演劇空間無限軌道)、板としあき(劇団新上舞)、松村幸哉、 酒井美樹(四畳半ヤング)、大沢めぐみ(シアターシンクタンク万化)、緒方晋(The Stone Age)、本木香吏(仏団観音びらき)

一体この感動をどのように語ればいいのか?
放心した。
舞台が終わった瞬間にとんでもないほどの波が僕に押し寄せた。
前回の公演もそうだったのだが、今回の公演も誰一人欠けてはならない舞台であった。
痒いところにまで手が届く脚本。広げた風呂敷を全て見事に畳み込む脚本。細かなところまでギャグのシチュエーションが詰め込まれている脚本。全ては脚本家であるアサダタイキさんの頭の中で行われているものを具現化する行為なのだ。
それにしても・・・・・・・出てくるキャラクター一人ひとりの細部にまできめ細かな設定がなされている事は登場人物のセリフから知って取れる。
脚本は小宇宙。
この言葉が当て嵌まる傑作は、そうそうにない。
非凡なる才能とチラシに書かれた言葉に嘘偽りはなかったコトをここに書き記す。
そして演出に至っては、非の打ち所がない。
はけては入るタイミングが絶妙!
またその着地点めがけてギャグを積み上げていって一気に落とす勾配がアトラクションクラス!
悪魔口調で言わせて貰うならば・・・・・・某遊園地の某アトラクションよ!見習うがいい!ここに貴様達の学ぶべき真の教科書がここにある!この公演のDVDは近日発表予定だ!(多分)ちんけなナビゲーターに教材として購入させるべきだ!(言い過ぎか?いや、某と書いたから構わないか!ドキッとした方は購入をお勧めする!)
すみません・・・・・・・言い過ぎ・・・・・・・・話が逸れました。
とにかく幾多の舞台を駆け抜け培ってきたものが、素晴らしき血肉となってこのような舞台へと結実できるのだ。
昇華、という言葉の体現であるコトをここに書き記す。
昨日の舞台を観てから寝て朝起きて、尚鮮やかに浮かび上がる数々のシーン。
何でこんなにあったかいんだろう?
何でこんな素敵な舞台を観れてない人が居るのだろう?
何で僕はもっと色んな人を誘えなかったのだろう?
悔やまれる。
このような極上なものを、心優しき友達に強く勧めなければならないのだ。
勿体無い。
しかし、楽日の当日は、満員御礼!
贅沢な舞台セットが空間の半分以上を支配しており、客席が詰め詰め状態だった。
後から後から押し寄せるお客様をさばくスタッフさんの苦労も分かる。
何にしろ、舞台が狭すぎるのかも知れない。
アトラスがこうしたコンパクトな舞台で芝居を打てるのも最後なのかも・・・・・という感覚がする。
もっと大きな小屋・・・・もしくはホール・・・・・・・
いやいや、それはまた別の話だ。
はじめ役の 【一明一人】さん。前回でのお姉キャラ全開だった鮮烈な印象を払拭していた。かしましいなりが全く消え、逞しくも凛々しく、そして父性への憧れを抱く男。その性格を鋼の心で演じきるだけでなく、血肉を通わせたのは間違いなく一明さんのお力だ。何をするにも間が絶妙。亡くなったガモさんの死化粧を施された惨状(ムチャクチャな化粧)を見て 『デビルマンの原作のシーンで、こんなん見たことある!』、このセリフがあっさりと心に沁み込むタイミングがヤバい。脚本も見事だが、それを体現する一明さんも見事すぎる。ますますファンになる。
スナックママ役の 【酒井美樹】さん。これまた毒の利いたツッコミを純粋に出来るキルマシーン。誰がボケようと、ボケまいと確実に相手を死に至らしめるツッコミキルマシーン!(笑)艶やかで鮮やかで、愛らしい。自身が持たれるスイーツなセンスが、このアトラスでは爆発しまくっている。酒井さんのいい部分が一番出ている気がします!
ピアノ講師・沖祐子役の 【大沢めぐみ】さん。その透明感はこのメンバーの中では突出している。そうした清楚さが男性恐怖症である外枠を易々と引き寄せている。その点でもキャスティングが成功と言っていい。それにしても彼女はいい。声が通るだけでなく、守ってあげたいという演技がクリアされているので、彼女の持つ背景から何からを感じる事ができるのだ。素敵だ。
茂木欣一役の 【緒方晋】さん。三日前までセリフが入らなかったと言われていたが、ひとつひとつのシーンがクリアで、言葉が僕らに突き刺さるのだ。何て愛しいんだろう。緒方さんが喋るだけでリアルが生まれる。そうした事実を目の当たりにするだけで作品の空気感が生まれている奇蹟。今回の不安定でありながら、シチュエーションコメディに必要なロジックを全力投球にて熱演。その姿の清々しいという不可思議なロジック。素敵過ぎる!
北原雅彦役の 【板としあき】さん。チンピラあがりでありながらも、その世界から抜け切れていないコワモテ。上半身タンクトップに宿る自由業の魂。左腕に刻まれた数々の火傷、根性焼きが痛々しく、目を背けたくなるようなリアルなもの。(客出しの後、板さんの腕に何もなかったコトにビックリして、触って確かめてしまうリアルさ)またその根性焼きがよく似合う空気をまとっておられた。声の出し方から仕種までバリバリの筋者。前回の役から更に進化したような役柄。その姿に惚れ惚れ。
川上つよし役の 【松村幸哉】さん。健康グッズの社長。その存在感の愛しさが、この作品の質を上げている。ほっとけない。素の松村さんにも同じ空気感がある。それを更にグレードアップさせた芝居だった。よそよそしくドギマギしている、その温かさにニンマリしてしまうのだ。ラスト、拒食症であるコトをカミングアウトするシーン、憑き物が落ちたような表情を僕は忘れる事ができない。アメリカのアニメ番組に出てきてもおかしくない(すみません)抜群の表情。アトラスでキャラクターグッズを作りましょう!(笑)キャラデザインは任せてください(爆)
葬儀社 社長役の 【冬月那瑠】さん。その憎めない好々爺の如き顔面に塗られた白は、まさに地蔵!地蔵以外の何物でもない。その毅然とした地蔵ぶりに心が揺り動かされる。時折の、あたふたさが愛らしい。失礼を承知で言わせて頂くが、あれだけのふくよかなボディをされているのに凶暴性がなく、反対にプーさんのような、ほんわかオーラをまとわれるのは素晴らしい。肉球が付いていてもおかしくはない風貌!(本当に失礼、すみません!)終演後、あれだけ舞台で汗をかいても白のメイクが流れないのをお話させて頂くと、1回目の公演は落ちかけたが、それからは大丈夫だったとの事!冬月マジック発生か?
そしてこの舞台のセットである。
前回公演も驚いたが、この完成度はヤバい。
当日、僕の席の隣には 【特攻舞台Baku-団】の 『hige』 さんがおられお話をさせてもらったが、セット技術の素晴らしさに開演前、二人で舌を巻いた。
『住めるじゃん!』
そう、舞台セットではなく、住む事をも前提に出来るほどの完成度。
舞台監督・舞台美術 【青野守浩】さん。
その類まれなる世界観が見事に結実した舞台セットだった!
ありがたき幸せ!
それからチラシだ。
最近の舞台チラシの中では間違いなくベスト1。
斜めに構えられた構図が抜群!
しかも登場人物が何とも晴れやかで心が和む。
スチール・ビデオ撮影 【堀川高志】さんとパンフレットに書かれているが、この方だろうか?
心から拍手をしたい。
とにもかくにも、素敵な時間を過ごさせて頂いた。
次回公演も、抜群に楽しみなチーム。
見逃した方は、残念。
しかし、NEXTの舞台をよどみなくお奨めできる劇団。
次回公演、是非に皆様ご検討下さいます様に!
スタッフ、キャストの皆様、お疲れ様でした!!