http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E7%94%B0%E5%92%8C%E6%97%A5%E9%83%8E
僕の大好きな漫画家の中に 【藤田和日郎】 という先生がおられる。
好き嫌いはあるかもしれないが、
この方の漫画は、限りなく熱く胸に届く。
しかし、是非に触れて欲しい漫画家の一人である。
デビュー作でもあり、初めての連載作品である
【うしおととら】。
主人公である蒼月潮の、どこまでも真っ直ぐな心に少年漫画の王道を見る事が出来る。
逆境を乗り越える事で達成される人間の成長を描ききっている。
そのデビューの読み切りから僕は虜になっていた事を告白する。
太い線から流れ出す 『漢気(おとこぎ)』 は、類稀なる熱をはらんで僕らの脳を直撃した。
シャープで勢いがあって、どこまでもどこまでも深い話だ。
幾ら人間の暗い闇の部分を描いても、必ず明るい世界へ連れ戻してくれるのが藤田和日郎なのである。
この作品の中に自分の妻と子供を無残に妖に殺される 【鏢(ひょう)】 というダークなキャラクターが居る。
しかし、その恩讐すら吹っ飛ばす主人公の真っ直ぐさに僕は何度涙した事か!
そう、
漫画で涙が出る作品は、それこそ限られた数である。
僕は 【藤田和日郎】 の作品の中で何度泣かされた事か!
続いて長期連載された 【からくりサーカス (1997年~2006年)】 での見事な大団円を僕は鮮やかに思い出すことが出来る。
9年にも及ぶ連載に付随する様々な伏線は、全て盛り上げる為の布石。
・・・・・それが・・・・・たまらない!
その連載を終えてから藤田は新たな天地を青年誌へと向けた。
(今までは小学館の【週刊 少年サンデー】)
いや、しかし別段エロスを前面に出すというか、グロテスクであるとか、そのような事がある訳ではない。
そうなのだ。
今更そのような事をする必要もないほど、今までの作品で深い部分までをキッチリ描ききってきたのだから!
そうして2007年には 小学館の【週刊ビッグコミック・スピリッツ】 にて 【邪眼は月輪に飛ぶ 】 を短期集中連載した。
近代兵器を主軸に、邪眼を持つシロフクロウとの攻防を描く近未来パニックだ。
やはり藤田節が見事に咲き乱れ、健在であることを誇示した作品となった。
それから僅かに4ヵ月後に何と今度は、講談社の【週刊モーニング】23号 にて 【黒博物館 スプリンガルド 】 が連載開始となる。
これが、やはり!面白い!!
藤田氏が 【からくりサーカス】 にて得たであろう倫敦などの、おどろおどろしい物語を、ここで孵化させようというのだ。
まだの方は、漫画喫茶や近くで手に入るバックナンバーなどで観られた方がいい。
氏の持つイメージの奔流に触れることで得られるものがあるのではないかと思う。
何度も言う。
一度、【藤田和日郎】 に触れてみて欲しい。
その胸を熱くさせる王道のストーリーテラーを、あの手この手で僕らに示してくれる。
真っ暗い闇から照らし出される一条の光!
それが 【藤田和日郎】 の描く世界なのだ。