黒澤明監督の『生きる』を久しぶりに観た。この映画は『今を生きる』がテーマの映画でもある。

物語は、市役所の市民課の課長である渡辺が、胃がんで余命半年と知った時から始まる。生きているのか死んでいるのか分からないような生活を送っていた渡辺には、『ミイラ』という綽名があった。

そんな渡辺が、その余命をどう生きるべきかともがき苦しむ。

そしてその苦しみの中から、「そうだ、市民から要求されたが逃げてばかりでやり残していた仕事、『公園整備』という仕事をやりとげ死のう」と決意する。

その時から渡辺の『今を生きる』生活が始まる。

他の課との連携、助役や政治家の説得、整備を邪魔する暴力団との攻防、そうしたことを淡々とこなし、身を粉にしてやり切っていく。

そして、完成した公園で雪の降る中、ゴンドラの歌「命短し恋せよ乙女を・・・」をほほえみながら歌い、静かに笑顔で死を迎える。

もちろん黒沢だから、痛烈な社会風刺のドラマでもあるが、やはり人は何のために生きるかを考えさせてくれる秀逸な映画だと思う。

『なぜ生きる』かと迷った時には、また観たくなる。

◆子供は皆、今に生きている

最近、毎週聞いているNHKのラジオ番組、高橋源一郎の「飛ぶ教室」で面白い本を知った。大人の悩み相談に3歳から8歳くらいの子が応えるという内容だ。

その中に、子供は『今を生きる』ことの大切さをよく知っているんだな、と思った良い例があった。

【 お別れの日が来るのが怖くて、犬を飼うかどうか迷っている。犬を飼いたいけれど、いつかお別れすることを考えると、寂しすぎるので犬を飼うべきかやめた方がいいかと悩んでいる27歳の女性の、どうしたらいいでしょうという相談だ。】

「飼うべきか、飼わないべきか、今回お答えいただくお子さまは、リコさん7歳です。今、夏休みのただ中ですが宿題は終わっています。もうすぐのバレエの発表会ではキャンディーボンボンを踊る予定。パパがデザインの仕事をしているので、絵も得意です。さて、そんなリコさんに聞いてみましょう。リコさんいかがでしょうか?」

リコ 飼う!

「リコさん即答ですね」

リコ いつかお別れするって、どういうこと?

「いつかその犬が死んじゃうってことですね。それが寂しいと言って、トトロさんは心配しています。」

リコ 飼ったほうがいいでしょう。

「そうなんですか」

リコ だってさ、いつか死んじゃうと言っても、いつかだから死ぬまで飼えばいい。

「なるほど」

リコ だって思ってるだけでさ、死んじゃうときってすぐじゃないから、犬を飼ってるときはまだ死んでないんだから。

「そうですよね。一緒にいるときはまだ死んでない。そう確かに私たちも、やっぱりみんないつか死んじゃうはずなのに、それだからって何かをやめることはあんまりないですよね。誰かと一緒に暮らしたり、新しいことを始めたりもしますもんね。深い答えですね。」

リコ 何?もっと子供みたいに言うと思った。

「トトロさん、いかがでしょうか?犬は飼った方がいいそうです。保健所や動物愛護センターでも、犬がトトロさんを待っているかもしれません。というわけで、お子様の答えは、『死んじゃう時って、すぐじゃないから』です。

 

※小林エリカ著「お子様相談室ー大人の悩み、お子様たちに聞いてみました」より

子供は感性で『今を生きる』ことの大切さをよく知っている。

◆自分に「今を生きろ」と言い聞かせる

私も今いろいろなものを学び経験する中、『今を生きる』ことの大切さを感じる毎日だ。

しかし、学んでいても時には過去の後悔が頭をもたげてくることもある。また未来への不安が頭をよぎることもある。

そんな時を『今を生きる』ことの大切さを思い出す絶好の時と捉える。

そして自分に言い聞かせる。

「過去に生きるのはやめよ、今を生きろ!」

「未来に生きるのをやめよ、今を生きろ!」、と。

そうすると、不思議と心が落ち着いてくる。

それは、『今を生きる』という正しい心の姿勢に戻せたからであろうと思っている


 

 《令和8年3月のフォローUPセミナー予定》
■第24期SMIビジネス塾 ◇日時令和8年3月17日(火)pm6:30-pm8:20 ◇今月のテーマこ「言葉が風土を創る」◇会場 新潟ユニゾンプラザ4F小会議室
■第40期SMIモーニングアカデミー◇日時 令和8年3月8日(日)am6:30-am8:20 ◇今月のテーマ「言葉が人生を創っている」◇会場 (有)星山米店室2f会議室  

※ケースによっては内容の変更があります。ご容赦ください。

 

  最近、カウンセリングとはカウンセラーがクライアントと向き合っているときだけのものでなく、生活の中に地続きにあるものだと考えるようになってきた。

 先日、長年SMIビジネス塾に参加され建設会社を経営されているWさんにお会いした。その際に子育ての素晴らしい話をお聞きした。

 Wさんは親子の信頼関係をしっかり作ってこられた。20年ほど前から、その男の子のことはWさんより時々お聞きし、自己肯定感を持ち素直に育っているんだなといつも感じていた。

 そのお子さんは数年前に大学を卒業し、東京で働くようになった。

 数年してその上司が、「お前の両親に一度会ってみたい。どうしたらお前のように素直で明るく、勤勉で、新しいことに挑戦できる人間が育つのかを知りたい」と言ったというのだ。

 私にもその上司の気持ちがよく分かる。何度かその子に会って、同じようなことを感じていたからだ。

 その話を聞いたWさんが、そのお子さんに率直に聞いてみたという。「お前自身はなぜ、人にそんなふうに見てもらえるようになったと思う」と。

 そうしたら、下記のような応えが返ってきたという。

「お父さんもお母さんも僕が外から帰ったとき、テレビを見ていても必ずスイッチを切って僕の顔を見ながら『お帰り』と言ってくれた。また、問題にぶつかってくしゃくしゃして帰っても同じような態度で、ただひたすら僕の話を聴いてくれていた。それで俺は何度も救われたんだ。それが一番良かったかな」と、言ったという。

この話を聞かせていただきながら、ご両親の対応の仕方は正にカウンセリングではないかと思った。

 この爽やかな青年は、大学生の時に一度お父さんと一緒にSMIビジネス塾にも参加してくれた。年のいったベテランの経営者の集まりの中にあっても、全く臆することなく爽やかな笑顔で堂々と自分の意見を言っていたことを思い出す。

 今春3月にWBCの世界大会がある。日本チームは二連覇がかかっていて楽しみだ。そのWBC の先回の優勝監督栗山英樹氏を、コーチが「栗山さんはカンセングのできる監督なんです。それも選手の心を掌握できた大きな要素だったと思います」言っておられた。

それがチームが一つになった大きな理由だったのかと納得したものだった。

 現代のストレス社会にあって、今、カウンセリングは特定の人や特定の場所だけにあるのではなく、生活の中に地続きに繋がって必要とされてきているのではないかと思う。

 今、日本の多くのリーダーに求められるものは、人間性尊重のマネジメントもさることながら、人間愛を基本としたカウンセリング能力ではないかと、最近考えるようになってきた。

 

《令和8年2月のフォローUPセミナー予定》
■第24期SMIビジネス塾 ◇日時令和8年2月17日(火)pm6:30-pm8:20 ◇今月のテーマこ「理想を持ったリーダー」◇会場 新潟ユニゾンプラザ 4F小会議室
■第40期SMIモーニングアカデミー◇日時 令和8年2月8日(日)am6:30-am8:20 ◇今月のテーマ「北極星を抱いて生きる』」◇会場 (有)星山米店 2f会議室  

※ケースによっては内容の変更があります。ご容赦ください。

 

新年おめでとうございます。 SMIクライアントに於かれましては、新たな希望を持って新年を迎えられたことと存じます。
 
■ナマケモノは繁栄し、ジャングルの王者ジャガーは絶滅危惧種となった

さて、世界に目を転じてみますと、正月早々米国によるベネズエラへの攻撃があり、正に混迷の時代を象徴するかのような幕開けでした。私にはそのように『力』によって、目的を達成しようというものを見た時、必ず頭に浮かぶ言葉があります。
 

それは戦前、世界の思想界に大きな影響を与えたと言われ、西田幾多郎の盟友でもあった仏教学者の鈴木大拙の言葉です。

《愛と力》
愛は肯定である。創造的肯定である。愛は決して破壊と絶滅には向かわない。なぜならば、それは力(強さ)とは異なって、一切を包容し、一切を許すからである。愛はその対象の中に入り、それとひとつになる。・・・ 力は常に尊大で、独断的で、排他的である。それに反して、愛はおのれを低くし、一切を包括する。力は破壊を意味し、自己破壊をさえ敢えてする。愛の創造性とは全く反対である。愛は、死に、そして再び生き返る。しかるに力は殺し、そして殺される。

昨年末に、上述の大拙の言葉を思い出す場面が何度かありました。
 
NHKのEテレのtoitoi(といとい)という番組を見ていたら、文化人類学者の辻信一さんが、「草食の弱者と言われるナマケモノは中南米のジャングルでしたたかに繁栄し、肉食でジャングルの王者といわれるジャガーは絶滅危惧種に指定され、滅びる寸前にある」という。
 

そして「強いものが生き残るという考え方は、動物の世界には全く当てはまらないのです。そうした強者の論理や考え方を、人間は深く考えず、多くの人が無防備に刷り込まれ、そのまま使ってしまっているのです。それが、この世界を住みづらいものにしている大きな要因ではないでしょうか」と、問うていた。

■‟慎み深い”経営が最後は勝利する

私は上述の大拙の言葉『愛と力』を経営にあてはめ考えた時、「力による経営」と「愛による経営」があると考えるようになった。そして、「愛の経営」を実現するにはどうすれば良いのかを考え続けた。その結論として、リーダーの慎み深さにこそヒントがあるという結論に達した。

昨年末、新潟市のSMIビジネス塾に毎回参加されている建設関連の会社を経営されるS社長にお会いし、今年のテキストをお届けした。
その際に、「また、今年も大きく売り上げを伸ばさせて頂きました。・・・・・断っても、断ってもお客さまにお願いされる仕事も多く、本当にありがたい事です」また「しゃかりきになって営業をやっていた頃の事を思うと考えられないことです。本当に売ることをやめてよかった。今はお客様のことだけを考え仕事をさせてもらうことの大切さを実感しています」と言われた。

S社長はSMIを採用した頃より、売ろうとする事は一切やめた。そしてお客様の立場だけを考えた営業へと転換した。S社長は、高齢者の一人暮らしの人に対しては、24時間対応を目指し、いつでも連絡してくださいと伝え、真夜中であっても連絡も受けられるように枕元にスマホを置いておられる。
 

私は真摯に仕事に取り組まれる色々な話を聞きながら、前述の大拙の言葉を思い出していた。
 

そして、私の口より「S社長は、慎み深い経営(※愛の経営)をすることで成功されているんですね」という言葉が自然に出ていた。
 

そして今、この複雑で難しい時代にあって、‟慎み深さ”こそが経営に於いても大きな力になるということを、実感させてもらった。

■‟慎み深い”人として生きる
 

私は今、これからの時代、‟慎み深さ”こそが生き残る道につながることを確信している。
 

それは私の長年のビジネス経験と、5年前のある先生の一言で、その考えに至った。
 

5年ほど前に、産業カウンセラーの資格を取得し、その後講師の資格認定を得ようと学んでいる時、その担当の講師より「小杉さんは慎み深さが足りません。慎み深さを持たないとカウンセリングもできませんし、あらゆることに限界が出来てきます。」と言われたのだった。その言葉は私にとって大きなショックだった、しかし、その一言が、私を戒め、改めるきっかけとなった。

『慎み深さ』とは何かを改めて調べた。
【慎み深い】言動や態度が控えめで、謙虚、分別があり、度を越さず、品性を持って人と接し、自分を律している様子を意味する。また、自分を前に出さず、周りへの配慮や良識が感じられる落ち着いた人を指す、とある。
 

これは正にSMIのトータルパースンであり、論語の「仁」だと思った。
 

そうした意味を知るにつけ、ドラッカーは「経営はコミュニケーションだ!」と喝破したが、人とのコミュニケーションや対話においては「リーダーの慎み深さ」が決定的であり、大きな鍵となることを感じた。だから、結局は「愛の経営」が「力の経営」を制することになるのだ。
 

論語、ドラッカー、池田晶子(小林秀雄)、そしてカウンセリングを学びながら、多くの素晴らしい人たちに触れさせて頂き、私は今、声を大にして言いたい、『慎み深さ』にこそこの難しい時代を生き抜く多くのヒントがある、ということを。
 

末筆になりましたが、新年が皆さまにとって幸多き年となること祈っております。                                                  

 

   令和八年 初春

 

 

《令和8年1月のフォローUPセミナー予定》

■第24期SMIビジネス塾 ◇日時令和8年1月20日(火)pm6:30-pm8:20 ◇今月のテーマこ「学ぶ楽しさをしる」◇会場 新潟ユニゾンプラザ4F小会議室
■第40期SMIモーニングアカデミー◇日時 令和8年1月17日(日)am6:30-am8:20 ◇今月のテーマ「論語は最高のマネジメントの書だ!」◇会場 (有)星山米店室2f会議室  


※ケースによっては内容の変更があります。ご容赦ください。