今年は、池田晶子の学びもあり人間の強さを考える年ともなった。

先日、Eテレの[toi-toi(といとい)]という番組を見ていたら、文化人類学者の辻信一さんが、

「草食の弱者と言われるナマケモノは中南米のジャングルでしたたかに繁栄し、肉食でジャングルの強者といわれるジャガーは絶滅危惧種に指定され、滅びる寸前にある」という。

そして「強いものが生き残るという考え方は、動物の世界には全く当てはまらないのです。」

「そうした強者の論理や考え方を、我々人間は深く考えずに社会で刷り込まれ、そのまま使ってしまっている。それが、この世界を住みづらいものにしている大きな要因ではないか」と言われた。

「これからは『弱さ』(※無抵抗・無防備・非暴力)がキーワードになるのでは」とも語っていた。

 

私はこれを慎み深く生きることと受け取った。

また私はこうした事を聞き、明治から昭和初期に世界で東洋思想と禅を説いて回り、世界の思想界にも影響を与えた鈴木大拙の言葉を思い出した。



「愛と力」

愛は肯定である。

創造的肯定である。

愛は決して破壊と絶滅には向かわない。

なぜならば、それは力(強さ)とは異なって、一切を包容し、一切を赦すからである。

愛はその対象の中に入り、それとひとつになる。

しかるに、力はその特徴として、二元的、差別的であるから、自己に相対するものをことごとく粉砕し、しからずんば制服して、奴隷的従属物と化さねばやまぬ。

力は常に尊大で、独断的で、排他的である。

それに反して、愛はおのれを低くし、一切を包括する。


力は破壊を意味し、自己破壊をさえあえてする。

愛の創造性とは全く反対である。

愛は、死に、そして再び生き返る。

しかるに力は殺し、そして殺される。  

 

   ※鈴木大拙著『人間を深める道』より


大拙は「強さ=力」は必ず滅びるという。そして『愛』に勝る力はないと説く。

今、世界のリーダーは『愛』を忘れ、強さすなわち『力』を求めて奔走しているように見える。

そして、私も含めてだが多くの人がそれらの奇妙な露出にごまかされ、空虚な言葉に翻弄されながら、盲目的に追従し、生きているようにも見えてくる。

もう数時間で新しい年を迎える。

新年を迎えるにあたって、前述の辻信一さんの『弱さ』という言葉の転換、他者との関係に思いをはせ、慎まし深く生きることの大切を考えてみる。

また、大拙の人類にとって最も大切な普遍的言葉『愛』をあらためて心に留め、人間の本当の強さとは何かを考えながら、新しい年を迎えたいと思っている。

皆さん、今年一年ブログをお読みいただきありがとうございました。

良いお年をお迎えください。

 

 

《令和7年12月のフォローUPセミナー予定》

■第24期SMIビジネス塾 ◇日時令和8年1月20日(火)pm6:30-pm8:20 ◇今月のテーマこ「学ぶ楽しさをしる」◇会場 新潟ユニゾンプラザ4F小会議室
■第40期SMIモーニングアカデミー◇日時 令和8年1月17日(日)am6:30-am8:20 ◇今月のテーマ「論語は最高のマネジメントの書だ!」◇会場 (有)星山米店室2f会議室  


※ケースによっては内容の変更があります。ご容赦ください。

 

 

 

 

 

母が百歳で、11月27日に亡くなった。

老衰の大往生だった。

ここ数年、施設でお世話になっており、翌日11月28日の朝に母を引き取りに行った。

引き取りの車のそばで、母の世話をした施設の皆さんが、涙ぐみぐみながらに見送ってくださった。

介護長が話してくださった。

「お母さんは、いつも『ありがとう』と言っておられました。

お母さんに励まされた人も沢山いました。

亡くなる数日前も食事がとれない状態になったのに、それでも『ありがとう』と言おうとしていたんです。

皆さんから本当に愛されたお母さんでした。

皆、小杉さんがいなくなるのが本当に寂しいのです。

ありがとうございました。」

と言ってくださった。

あの気丈で強かった母は、こんなにも穏やかで周囲の人に気遣い、感謝ながらしながら、愛し、愛され生きていたことが伝わってきた。

母は本当に年を重ねるごとに穏やかになっていった。

妹は「お母さんは80を過ぎたころより仏になった」と言っていた。

そうした母のこともあり、このところ『老人的超越』という言葉が気になっている。

スウェーデンの社会学者ラルス・トルスタムが

「85歳を超える超高齢者になると、それまでの価値観が宇宙的、超越的なものに変わっていく」といい、その現象を『老人的超越」とした。

それは、時間と空間の壁がなくなり心が過去と未来を行き来する。

自己中心性がなくなりあるがままを受け入れて生きるようになる。

自分をよく見せようとする気持ちがなくなり、自然体で世界と調和するようになる、という。

それはまさに歳を重ねながら、悟りの世界に入っていくことだ。

近代思想に大きな影響を与えた小林秀雄は、本居宣長の言葉から引き

「悟りの世界に入るのに、聖書や仏の言葉はいらない。ただ、日々、常識を磨きながら、自分に正直に、淡々と生活を送れば良いのだ」といった。

孔子も「30にして立つ、40にして惑わず、50にして天命を知る。60にして耳したがう」といい、「70にして欲するところに従えども矩をこえず」と説いた。

二人の賢人共に、年齢の秘密を説きながら「老人的超越」を説いているように思える。

そうすると『老い』も悪くないな、と思えてくるから不思議である。

最後に母の『老い』の姿から学ばせてもらった。

 

 

 

《令和7年12月のフォローUPセミナー予定》

■第23期SMIビジネス塾 ◇日時令和7年12月16日(火)pm6:30-pm8:20 ◇今月のテーマこ「存在の謎Ⅱ」◇会場 新潟ユニゾンプラザ4F小会議室
■第39期SMIモーニングアカデミー◇日時 令和7年12月14日(日)am6:30-am8:20 ◇今月のテーマ「人生の意味」◇会場 (有)星山米店室2f会議室  


※ケースによっては内容の変更があります。ご容赦ください。

 

 

 先日、能登地震で被災した間垣地区に住む“しさのばあちゃん”のドキュメンタリーがNHKテレビで放映された。そのおばあちゃんの笑顔の可愛さに魅せられ画面にくぎづけとなった。

■“しさのばあちゃん”は人生の達人

こんな人が、小林秀雄が書いていた「この年になって、目立たず、名も知れず、生きている人にこそ、人生を達観した偉い人が沢山いるんだということが、やっとわかってきた」といった人物像なのだろうかと思った。

映像を観ながら、小林は『本当に偉い人』とはこの様な人のことをいうんだ、と言いたかっただろうなと確信した。

NHKが‟間垣の里のしさのおばあちゃん”として、地震の前、2022年11月よりフィルムに収めていた。

“しさのばあちゃん”は半農半漁の生活だ。家の前の畑で野菜を作って食べ、家の前の海で岩のりや魚をとって食べ生きている。

そしてニコニコと笑顔で「ここはすべてがいい。ハハハ・・・。海も山もあるし、友達もいるし、すべてがいいね。幸せだ。本当にいつも幸せだなと感謝している」が“しさのばあちゃん”口癖だ。

そんな穏やかな生活を2024年1月1日、1000年に一度の大地震が襲った。家は半壊で金沢に避難することを余儀なくされる。それでも週一度間垣の里に通い畑を耕した。「早く戻ってここで生活したいね」と語っていた。

 

ところが、その年の9月に今度は100年に一度の大洪水が襲う。家も畑もすべて失う。しかし、10月には金沢での避難所から地元の避難所へと移り、30分かけほとんど何もなくなった間垣の里に通うようになる。

そして畑を友達と再生し、海に再び岩のりを取りに行くようになる。そのような避難所からの不便な生活にあっても、“しさのばあちゃん”は、また、前述の言葉を繰り返す。

「この土地にいれば幸せだ。こんな幸せ者はいないと思っているよ」と。

老子の言葉に、

自分たちの食べ物をうまいとし
自分たちの衣服いいものだとし
自分たちの住まいに安んじ
自分たちの親族を楽しいとする


という言葉がある。

“しさのばあちゃん”は、まさにその老子の言葉を生きている。

■“しさのばあちゃん”の言葉に学ぶ
 

“しさのばあちゃん”は間垣の里から出ることなく生きてきた。

“しさのばあちゃん”の言葉から、この里で淡々と生活しながらも、人生の本質をつかみ豊かに生きていることが伝わってくる。

“しさのばあちゃん”の「その日、その日、一日を立てていけばよいのだ」「できないことばかりだけど、できることだけをしておりゃいいんじゃ、できないことはせんでいい」といった言葉はまさに人生の達人の言葉だ。

人は変えることのできない“他人”や、昨日という“過去”に後悔し、今日生きることを忘れ悩む。人はまだ来ない明日を憂え、今日を生きることを忘れる。“しさのばあちゃん”は、「その日その日と一日を立てていけばよい」と語りながら、今日を生きことに徹している。

人は変えることのできない「他人」や「過去」を変えようとして悩む。「できることだけしてりゃいいんじゃ。できないことはせんでいい」と語る“しさのばあちゃん”は、自分が変えられるものだけに集中し、今日を生きている。

こうした言葉は、私が人から悩みの相談を受けた時によく伝える言葉だ。そして自分にもよく言い聞かせる言葉だ。これらは私が何年も何年も学び続けてやっと手にした言葉だ。

“しさのばあちゃん”は、間垣の里の自然とともにあり、自然と調和し生きる中で、それを誰から学ぶことなく身につけた。

そのように人生を自分の力で考えつくってきたという自信が、全てを失ってもニコニコと魅力的な笑顔で、「私は幸せもんだ、こんな幸せもんはいない、感謝しなければ」と言わしめているのだろう。

年を重ね「則を越えず」の立場に立つ今、“しさのばあちゃん”のようにどんな状況になっても「オレは幸せだ」と言えるだろうかと問うてみる。

結局は、これからも学び続け自分を変え続けていくこと、そのためには昨日を後悔せず明日を憂いず今日を一日を生きることに徹していくしかないようだ。

“しさのばあちゃん”の笑顔と言葉にそんなことをあらためて考えさせてもらった。

 

感謝!
 

 
 《令和7年11月のフォローUPセミナー予定》
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■第39期SMIモーニングアカデミー◇日時 令和7年12月14日(日)am6:30-am8:20 ◇今月のテーマ「人生の意味」◇会場 (有)星山米店室2f会議室  


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