前回からの引き続きのエントリー第五回目です。
今回が本シリーズ最終回になります。
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●これまでのエントリーは以下からどうぞ。
☆第一話☆
☆第二話☆
☆第三話☆
☆第四回☆
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今回のテーマは『学校給食』。
学校給食は1947年1月にスタートしました。
大東亜戦争の終戦後、日本は未曾有の食糧難に見舞われており、疎開から東京に帰ってきた学童たちも栄養失調の状態でした。
その様子を見た国連救済復興機関の代表者がGHQのマッカーサーに速やかに学校給食を実施することを勧めています。
これがきっかけとなり、学校給食実施に向けてGHQと日本側が動き出すのですが、なんせ当時の日本は戦争ですべてを消費し、食糧がありません。
その時に手を差し伸べてくれたのがアメリカのララ(LARA Licensed Agencies for Relief in Asia)という団体。
LARAはアメリカのボランティア組織で、日本での給食のために食糧の一部を寄付してもらえることになったのです。
こうした援助のおかげで日本は学校給食を開始することができました。
学校給食は順調に運営され、子供たちも助かり、父兄にも好評でした。
まだ都市部でしか給食が実施されていなかったため、「この素晴らしい給食を全国の小学校に普及させよう」という動きが出ました。
当時の日本はまだアメリカの占領下にあったので、全国での給食実施をGHQに許可を得る必要がありました。
しかし、GHQの返答は「日本政府が今後ともこの完全給食を協力に推進する確約をしなければ許可しがたい」というものでした。
"完全給食"とはいわゆる小麦を使ったパン食や脱脂粉乳を使ったミルク給食などです。
つまりは「全国で給食やってもいいけど、ご飯とかの給食やり始めたらダメだからね。今後もちゃんとパンと牛乳を出す給食をやるってんなら許可してやるよ」というわけです。
なぜアメリカがこんな通達を出してきたのか。
この通達が出たのは1950年で日本は翌年のサンフランシスコ講和条約により、独立国としての地位を得ました。
そうするとGHQも日本から引き上げなければならない。
そうなるとせっかく始まったパンと牛乳の給食も日本が今後勝手に独自のものに変えだすかもしれない。
アメリカはこれを恐れていたのではないでしょうか。
アメリカの農産物の一大消費地になる得るこの日本に影響力を残しておきたい。
そういったアメリカの意図が見え隠れします。
日本はこのアメリカの通達に対して承諾の旨を伝えます。
これにより、その後の日本のパンと牛乳の給食は決定的なものとなりました。
"今後"を閣議で確約してしまったのです。
そして1951年、日本が独立を取り戻すと、今度はまた新たな問題が持ち上がります。
それまでは占領下ということで食糧の支援を受けていたのですが、その一部が打ち切りになってしまったのです。
これでは学校給食を実施するだけの食糧がなくなってしまう。
ちょうどその時、日本を救ったのは前回の記事で紹介した"PL 480法案"です。
その内容は、
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①アメリカは給食小麦粉を4か年に4分の1ずつ漸減して贈与する。
②日本政府は4年間にわたり、年間18万5千トンレベルの小麦給食を維持すること
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つまり、アメリカは日本側にPL480法による学校給食用の小麦援助をするかわりに、4年間は18万5千トンの小麦給食を維持することを求めてきたのです。
しかも
「そのうち初年度は10万トン無償であげるけど、足りない8万5千トンは自分でアメリカから買ってね。そんで次の年からはタダであげる分を毎年2万5千トンずつ減らしていくけど、18万5千トンに足りない分はちゃんと買ってね。これを必ず4年間続けること」
と言ってきたのです。
この4年間というのが絶妙です。
「4年も小麦給食を続けたらもう日本は後戻りできないだろう」という意図を感じます。
アメリカはすこぶる頭がいいですね。
今なお日本でパン中心の給食、ご飯にも牛乳がくっついてくる給食が実施されている裏にはこのような背景があります。
子供の時に覚えた味は大人になっても忘れません。
給食が日本の食の欧米化に拍車をかけたのです。
日本の食文化を教えるのも大事な食育。その食育に使われる"生きた教材"である給食にはやはりご飯が使われるべきなのではないでしょうか?
ご飯にはお茶を飲むというのが普通なのでは?
こうした話をするとまるでアメリカが悪者のように写ってしまいますが、アメリカは何も詐欺行為を働いたわけではありません。
もちろんそこには自国を富ませるという思惑が存在していたと思いますが、それはどの国も考えること。
そしてしかるべき手段を経てしかるべき議論を日本側と交渉の上、実施したのです。
問題は日本側にもあります。
アメリカの食糧に頼らざるを得ない部分もあったことは理解できますが、状況が変わってからもそれをそのまま継続していること。
また、前回の紹介してキッチンカーをはじめとするいわゆる"栄養改善運動"を推し進めた栄養や食に関わる人たちも、栄養素だけ見て欧米の食事の優れている点を賞賛し、日本食の欠点を批判し、それに加担した部分があります。
そして毎日食事をする日本国民全員が何の疑問も持たず、様々な背景から形作られた現代の日本人の食生活をただただ受け入れてしまっています。
私はこれは大きな問題だと思いますし、現代の食に関する問題(生活習慣病の蔓延、食料自給率の低下、食文化の崩壊など)のかなりの部分がここに起因していると思います。
食にかかわるものだからこそ。
今までの有識者たちがつくってきた"常識"にとらわれず、客観的な目で日本の食を考える必要があると感じます。
本シリーズを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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