『Enchantment』

マックスフィールド・パリッシュ

(1913年)

 

 

 

***2020年1月10日の日記***

 

 

来日中のメアリー先生が開催した

ワークショップのレッスンには、

すべて参加しました。

 

 

そして今期のワークショップが

終了したあとには、

 

メアリー先生のサロン・コンサートが

開かれることになっていました。

 

 

そのコンサートでは主に

メアリー先生が踊るのですが、

 

ワークショップの生徒の中でも

長く続けている人の何人かは、

 

舞台に出て

踊ることが出来ました。

 

そしてあの火の彼女も、

今回は出演するとのことでした。

 

 

レッスン後に出演する人だけ残って

リハーサルをやっていたので、

 

私もその様子を、

チラッとだけ見学させて

もらうことにしました。

 

 

メアリー先生のダンスを

生で観たのは、

 

その時が初めてでした。

 

 

それは、ほんの三分間くらいの

ダンスだったのですが。

 

 

私はその時、

 

「本物の芸術」を観た。

 

・・・と。

 

そう感じたのです。

 

 

その時のことは、

以前のブログでも書いていました。

 

 

*******

 

 

 

 

 

先生のその踊りを観ていたら、

すごく悲しい気持ちになってきて  

 

胸が痛くなる。。。というか、

涙が出そうな感じと言うか。 

 

自分がなんで悲しいのか

解らないのだけど、

すごく悲しいのです。

 

 

その踊りが終わったあと先生が、    

 

 

「これは悲しみの踊り。

 

(ダンカンが)

子供を失った時に作った

悲しみの踊りよ」    

 

 

・・・って。

 

 

なんだか。

 

それを聞いたら、

ものすご~~~~~く

感動してしまいました。 

 

 

だって。

 

何も聞いていなかったし、

何も知らないのに、

 

その踊りをみたら

私は悲しくなった。

 

これって。

 

先生が

「悲しみ」そのものを

踊っていたってことだよなぁ。

 

・・・って。。。  

 

 

メアリー先生、

やっぱりすごい。。。と。

 

照明も衣装も背景も何もないのに。

 

普通に踊っただけであれだけ

表現出来てしまうなんて。

 

 

ダンカン・ダンスって。

バレエとはまた違う。

 

テクニックだけじゃないなぁ。

 

・・・と思いました。

 

 

基礎はやっぱり必要なのだけど、

それだけでもダメみたい。

 

 

いくら上手に踊れても、

自分のエゴがあるうちは、

きっと表現出来ない。

 

 

例えば。

 

「春」を踊らなくてはいけないのに、

「私」を持ったまま踊ったら、 

 

その踊りは、

「春」にはならない。

 

「私はこれだけ上手に踊れる」

 

と思いながら踊ったら。

 

挑戦的だったり、攻撃的な踊りに

なってしまったりするかも。

 

それを観た人は、

そこから「春」は感じないだろう。    

 

 

踊りのテクニックの

上達のほかに。

 

やっぱり、

スピリチュアル的な面でも、

いろいろと深めていかないと

 

きっとこの踊りは

踊れないだろうなぁ。と。

 

先生の踊りを観て感じました。

 

 

*******

 

 

このリハを観た次の日にも、

レッスンがあったのですが。

 

その時、

メアリー先生から昨日観たダンスの

感想を訊ねられました。

 

「昨日のダンスを観て、

どうだった?」

 

・・・と。

 

 

私は感じたことをそのまま、

メアリー先生に伝えました。

 

上に書いたようなことを。

 

 

メアリー先生は

私の話を聞きながら、

 

驚いたような、

でも、嬉しそうな。

 

そんな表情を浮かべると、

 

火の彼女の方を向いて、

何かを言いたげな仕草を

していました。

 

 

あの時、

なんとなく感じたのです。

 

きっと、

メアリー先生と火の彼女も。

 

そういう話をしたことが

あるのだろうなぁ。

 

・・・とおやすみ

 

 

*******

 

 

サロン・コンサート当日は、

風の彼女と一緒に観に行きました。

 

彼女も私と同じく、

まだ「ベイビー」だったので。

 

今回のコンサートには、

出演していませんでした。

 

 

そのコンサートは、

今までレッスンを行っていた

スタジオで開かれましたが。

 

入ってみると、

 

そこに舞台が設置され、

客席も作られていて。

 

通いなれたはずの場所が

いつもとは全然違う

雰囲気になっていて、

 

なんだかとても、

ワクワクしましたニコニコ

 

 

席に着き、

ふと顔をあげると。

 

ギョッとしました驚き

 

 

なぜなら私のすぐ斜め前に、

作家の五木寛之さんが

座っていたからです。

 

のちのち聞きましたが。

 

五木寛之さんは、

メアリー先生のお知り合い

だったようです。

 

 

数か月前に、

知り合いに教えてもらって

観たテレビ番組。

 

『五木寛之・仏教の旅』

 

 

その中で、

五木寛之さんがガンジス川のほとりで

朗読していた、

 

ブッダのある言葉がありました。

 

 

あの時私は、

それを観て号泣していました。

 

 

五木さんが朗読していたそれは、

ブッダが亡くなる直前に

弟子のアーナンダに語ったと

言われているもので。

 

大パリニッバーナ経の中に

書かれているという、

あの言葉は。

 

 

アーナンダよ

 

王舎城は楽しい

鷲の峰という山は楽しい

マンゴー樹園は楽しい

 

 

アーナンダよ

 

樹々は美しい

この世は美しい

人の命は甘美である

 

 

・・・と。

 

 

五木さんのあの朗読を聴きながら

私は。

 

 

「あぁ、ブッダってやっぱり。

本当に悟った人だったんだ」

 

 

・・・と、そう感じました。

 

 

そしてその「理解」がおそらく。

 

私のハートを

開いたのだろうと思います。

 

 

だからあんなに、

泣けたのだと思います。

 

 

*******

 

 

「ブッダを認める」

 

・・・ということは私にとっては、

 

かなり、

大きな意味を持っていました。

 

 

私にとって、

ブッダを認めること。

 

・・・というのはつまりは、

「母」を理解することに

リンクしているからです。

 

 

そういうことに

ハッキリと気づいたのも。

 

もっとずっと

あとになってからでしたがおやすみ

 

 

「この世は苦しみ」と

言い続けたブッダが。

 

最後の最後に、

ああいう言葉を口にしたのなら。

 

やはりブッダは、

「本当に観た人なのだ」と。

 

私はそう感じました。

 

 

その「理解」が、

ブッダを認めることに繋がり。

 

しいては、

母を赦すことにも繋がり。

 

 

まぁ。

 

当時の私は、

そこまで自己分析は進んで

いませんでしたが。

 

それでも、

「感覚的」には何かを

掴んでいて。

 

 

そういうことがあったので。

 

そのキッカケと

多少なりとも絡んでいた

五木寛之さんという人が。

 

その時実際に、

自分のすぐ目の前にいる。

 

・・・という事実に。

 

そのシンクロに。

 

 

なんとも言えない、

感慨深さを覚えましたし。

 

すべてのことが本当に、

完璧に繋がっているようで。

 

 

あの時。

 

私はもう少しで、

五木寛之さんに声をかける

ところだったのですが。

 

すんでのところで、

躊躇しました。

 

 

今は、

ダンカン・ダンスを楽しみに

来ているところなのだろうから。

 

余計な話をするのは

やめよう。

 

・・・と。

 

そう思ったからです。

 

 

知らない人にいきなり

個人的な話をぶつけられても、

 

困るだろうし。とおやすみ

 

 

*******

 

 

そうしているうちに、

メアリー先生のダンスが

始まりました。

 

 

繰り広げられた数々のダンスは、

どれもみんな素晴らしかったのですが。

 

 

事前にいろいろと

聞いてしまったあとだと。

 

そういう知識が

先に入ってしまってからだと。

 

あのリハーサルで垣間見た時のような

感覚になることは、

 

逆になかなか

難しかったりもしました。

 

 

ダンスを観ている時に、

 

「感覚」ではなくて、

「頭」から入ってしまったからです。

 

 

・・・とはいえ。

 

それは素敵なステージだったことは、

確かですにっこり

 

 

メアリー先生もとても綺麗でしたし、

生徒の人達も楽しそうでした。

 

 

終演後はそのまま、

その場で関係者のパーティーが開かれ。

 

私や風の彼女。

 

そして他に出演していなかった

生徒たちもみんな、

 

メアリー先生に誘われ、

そのパーティーに出席することに

なりました。

 

 

つづく

 

 

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