刺繍が施された白いキャンブリックの

モーニング・ブラウス(マチネ)

 

 

 

【キャンブリック・シャツ】

 

 

The Wind Hath Blown My Plaid Away

 

The Elfin Knight Version A

 

・・・の歌詞の中に、

 

For thou must shape a sark to me

 

・・・という言葉が

出てきていて。

 

妖精の騎士が若い娘に、

 

「自分のためにシャツを作って」

 

・・・と言っていました。

 

 

より正確に言えば、

これは。

 

「お願い、作って」と

懇願している感じではなく。

 

「もし私と結婚したいのなら、

あなたは私にシャツを作らなければ

ならないんだよ?」

 

・・・と。

 

娘を諭しているように

見えます。

 

 

以前も書きましたが。

 

チャイルドによれば。

 

男性が女性に

シャツを縫うことを頼むことは。

 

「その女性に求愛すること」

 

・・・を意味していて。

 

女性がシャツを縫うことは、

 

「その求婚を受け入れた」

 

・・・ということを

意味するそうなので。

 

だとすると、

 

騎士が突然、

 

「シャツを作る話」

 

・・・を持ち出してきたワケも。

 

解りますよねおやすみ

 

 

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この、

 

The Wind Hath Blown My Plaid Away

 

・・・は、

1670年頃に世に出た

ものでしたが。

 

そこから約1世紀後の、

1780?年頃に出てきた、

 

The Humours of Love』の

歌詞の中では。

 

If you will bring me 

one Cambrick Shirt

 

・・・となっていて。

 

 

「もしあなたが、

私にキャンブリックのシャツを

持ってきてくれたなら」

 

・・・と、

 

以前はただの「シャツ」

だったものが、

 

「キャンブリックのシャツ」

 

・・・に、

変化していました。

 

 

ウィキペディアによると。

 

キャンブリックという布地は、

 

「最も上質で最も密度の高い

種類の布のひとつ」

 

・・・だそうです。

 

 

 

 

 

「バティステ」とも

呼ばれるこの生地は。

 

おそらく1677年以降に、

カンブレーの町(フランス北部)で

発明された布でした。

 

平織りの軽い生地で、

 

当初はリネンで

作られていたそうです。

 

 

18世紀になると、

この布のイギリスへの輸入は

禁止されました。

 

それは。

 

この布がとても高価だった。

ということもありましたが。

 

 

このころイギリスでは。

 

自国でも、

インド綿からこの種類の布地を

生産しようとしていたので、

 

そのための輸入禁止でも

あったようです。

 

 

自国で生産する

キャンブリック地は。

 

「スコッチ・キャンブリック」

 

・・・と呼ばれ。

 

 

1770年代以降になると、

 

「キャンブリック」

 

・・・という布や言葉は。

 

イギリスの中でも一般的に

なっていきました。

 

 

けれども、

それ以前はまだ。

 

「キャンブリック」を

知っている人は。

 

少なかったようです。

 

 

・・・ということは。

 

1780年頃の

The Humours of Love』の

歌詞の中に出てくる

 

Cambric Shirt」は。

 

この歌の出てきた年代や

当時の時代背景を考えると。

 

昔から歌い継がれていた歌詞。

 

・・・というよりかは、

この頃に付け足されたと

考えたほうが自然で。

 

これはきっと、

 

「スコッチ・キャンブリック」

 

・・・のことなのでしょうおやすみ

 

 

そう思うと。

 

The Humours of Love』の歌詞は。

 

その1世紀前の

The Wind Hath Blown My Plaid Away』に

影響を受けて、

 

それが多少、

アレンジされたヴァージョン。

 

・・・と考えることも

出来るのかもしれません。

 

 

ちなみに。

 

スコットランドの

ジョンおじさんは、そこを。

 

For you'll make to me a holland shirt

 

・・・と歌っていました。

 

この「オランダのシャツ」と

ただの「シャツ」の場合ですと。

 

どちらが元祖だったのかを

ハッキリさせるのは。

 

少し難しいです。

 

 

当時のスコットランドと

オランダの関係とか。

 

そういうものも見ていけば。

 

多少、見えてくるものも

あるのかもしれませんが。

 

 

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以前もここで少し触れた、

 

Gammer Gurton's Garland;

 Or, The Nursery Parnassus

 

・・・ですが。

 

 

 

 

この歌集が初めて出版されたのは、

1784年(もしくは1783年)で。

 

年代的にも、

The Humours of Love』が

掲載されていた、

 

Madden Ballads 2

(1780年?)

 

・・・が出版された頃と

近いようです。

 

 

そして、

 

Gammer Gurton's Garland

 

・・・の中にある、

 

THE CAMBRICK SHIRT.

 

・・・という歌。

 

 

これは、

チャイルド・バラッドの

『妖精の騎士』の

 

ヴァージョンGで。

 

現在の

『スカボロー・フェア』に

一番近いのでは?

 

・・・と言われている歌詞でしたが。

 

この歌が、

どこで見つけられたのかは

明記されていないのだそうです。

 

 

この歌集を編纂した

ジョセフ・リットソンは

ロンドンに住んでいたので、

 

そのあたりなのでは?

 

・・・とも言われていますが。

 

リットソンは、

ノーサンバーランドのほうでも

歌の収集をしていたようです。

 

 

Can you make me a cambrick shirt,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

Without any seam or needle work?

And you shall be a true lover of mine.

 

Can you wash it in yonder well,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

Where never sprung water nor rain ever fell?

And you shall be a true lover of mine.

 

Can you dry it on yonder thorn,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

Which never bore blossom since Adam was born?

And you shall be a true lover of mine.

 

Now you have asked me questions three,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

I hope you'll answer as many for me.

And you shall be a true lover of mine.

 

Can you find me an acre of land,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

Between the salt water and the sea sand?

And you shall be a true lover of mine.

 

'Can you plow it with a ram's horn,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

And sow it all over with one pepper corn?

And you shall be a true lover of mine.

 

'Can you reap it with a sickle of leather,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

And bind it up with a peacock's feather?

And you shall be a true lover of mine.

 

'When you have done, and finished your work,

Parsley, sage, rosemary and thyme,

Then come to me for your cambrick shirt.'

And you shall be a true lover of mine.


 

ここでは、

 

「キャンブリック・シャツ」は、

歌のタイトルにまで

なっていました。

 

そして、

そのリフレインでは。

 

今の私たちに

聴き馴染みのある

 

Parsley, sage, 

rosemary and thyme,

 

・・・が

出てきました。

 

 

ただ。

 

この歌も、

 

The Humours of Love』と

同じように。

 

妖精の騎士が出てきて

若い娘とどうの。

 

・・・のような、

物語の「背景」は。

 

やはりまったく、

描写されていません。

 

 

そして、

 

古いヴァージョンでは

見られていた、

 

mouse's hole

(ねずみの穴)

 

・・・のスタンザも、

 

もうこのあたりでは、

消えているようです。

 

 

でもこの、

 

mouse's hole

 

・・・って、

何なのでしょうね?うーん

 

 

より古い言葉なのでは?と

言われていた、

 

シェトランド諸島の

マーガレットおばさんは

そこを。

 

moose holl

 

・・・と歌っていましたが。

 

「moose」も

スコットランドの方言で。

 

「mouse」のことの

ようでした。

 

 

普通の英語ですと、

 

「moose」は、

「北米のヘラジカ」という

意味になるそうです。

 

 

*******

 

 

Gammer Gurton's Garland

 

・・・は、当時とても人気のあった

「童謡集」だったそうです。

 

 

童謡。

 

・・・ということなので、

子供向きに。と。

 

そこで多少の「編集」が

入ったのかもしれません。

 

 

そして。

 

この歌集に載っていた

 

THE CAMBRICK SHIRT.

 

・・・というヴァージョンが、

 

その後、長い間。

 

親(や学校の先生)から

子供達へと伝えられ。

 

広く歌われ続けて

きたのかもしれませんおやすみ

 

 

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【スカボロー・フェア聴き比べ】

 

 

Petra Berger

ペトラさん。

オランダの人で、
クロスオーバーの歌手

なのだそうです。


クラシックの。

クラシックのクロスオーバー
と聞くと、

サラ・ブライトマンが
浮かびますにっこり

 

ペトラも、
ミュージカル女優でも
あるみたいなので。

まさに。

サラみたいな感じなのかな?


Jan Vayne

ジャンさんも、
オランダ人。

ピアニストだそうです。


この『スカボロー・フェア』も、
すごく好きかも。


けど、

これを聴いていると、


ケルティック・ウーマン版の
ヘイリーの歌が。

 

頭に浮かんできたりします。

 

 

アレンジのベースが、

多分そこからなのでしょうね。


Petra Berger & Jan Vayne 

『Scarborough Fair』(2008)

 

 

 

My Dying Bride


だから~

歌詞を勝手に
変えないで~~赤ちゃん泣き


My Dying Bride 『Scarborough Fair』(2009)