「日本みたいになってしまう」 自殺報道に見る日本の悲劇 | 中村むねひら 「孤独社会」を超えて

中村むねひら 「孤独社会」を超えて

孤独な日々ですが、前を向いて生きていきたいと考えています。元東京ディズニーランドスーパーバイザーとして、元ホームレスとして、そして、精神障害1級(PTSD)、身体障害1級(四肢麻痺)の傷害者として、社会に貢献できる忌憚なき記事を残していきたいと思います。

 なぜ、文字数5200のロンドンからの有料記事の約4分の1を引用紹介しなくてはならないのでしょうか、その答えは「ryuchell(りゅうちぇる)さん自殺問題同様に日本のメディアは、すべきである報道を行えないから」です。

 

 ロンドン発のデジタル版とはいえ、この記事を掲載した朝日新聞には敬意を表したいと思います。

 

 厚生労働省の報道規制 001120417.pdf (mhlw.go.jp) とメディアの「忖度」に、官邸主導の恐さを抱いてしまいます。有名人の自殺に関する報道について以下の一文があります。

 

・自殺と自殺対策についての正しい情報を報道すること

 

 以下の引用文とは状況は違いますが、英国BBCのジャニーズ事務所性加害問題報道からも分かるように、「同様なことが起きないようにするための姿勢」が日本の大手メディアには欠けているといるとしか言いようがありません。

 

14歳の娘はなぜ亡くなったのか スマホとSNSに残された手がかり:朝日新聞デジタル (asahi.com)

2023年9月24日 ロンドン 藤原学思

※中略は入れていません。

 

 2017年11月、英ロンドン近郊に住むイアン・ラッセルさん(60)の三女、モリーさんは14歳で自ら命を絶った。

 それから1年以上が経った19年1月、ラッセルさんは初めて、娘の死を公にすることにした。

 

 なぜ、14歳の娘は死ななくてはならなかったのか。防ぐことはできなかったのか。どうしたら、同じような子どもたちを少なくできるのか。

 

 ロンドン近郊に住む映像ディレクター、イアン・ラッセルさん(60)は、答えを探し続けている。娘の死から6年近くの努力は、ひとつの法律として、まもなく実を結ぶ。

 

 英国で、ネット上の有害コンテンツから子どもたちを守る「オンライン安全法」が成立します。法制化を大きく後押ししたのは、14歳で亡くなった少女の父親です。

 

「いいね」を押した2100件の投稿

 死後2週間が経ち、警察から手書きのメモを渡された。そこでは、愛情深い家庭で育ったことがつづられる一方、「時々、すべてが手に負えなくなる」「なんで落ち込むのか、自分でもわからない」といった苦悩や、自傷行為をやめられないつらさが記されていた。

 

 モリーさんは亡くなるまでの半年で、1万6300件のインスタ投稿に「いいね」を押し、そのうち2100件が自死や自傷行為、うつ病に関する投稿だった。

 

 「外に看板として掲げられたら、絶対的に許されず、大きな反発をうむようなコンテンツです。それがなぜ、デジタル空間なら許されるのでしょう」

 

 ソーシャルメディア各社は「アルゴリズム」という仕組みによって、利用者の傾向に合わせたコンテンツを次々に「おすすめ」する。利用者に長時間、サービスを使ってもらうことが利益につながるためだ。

 

 「モリーはそうやって、暗いラビットホール(ウサギの巣穴)に落ちてしまったんです。

 

 「インスタグラムが娘を殺す手助けをしたことに、私は何の疑問も抱いていません」

 

 英公共放送BBCでそう訴える様子が流されると、その衝撃は英国のみならず、国外にも広がった。しばらくは毎日のように、報道が続いた。

 

 「声を上げなければ、安全なデジタル空間をつくるための変化は起きないか、遅くなると思ったんです。同じように有害なコンテンツに苦しむ若者のうち、たった1人だけでも誰かに相談できるよう、社会の意識を高めたいと」

 

 モリーさんの死から約5年後の22年秋、検視当局は死因を調べる「死因尋問」を終えた。モリーさんが当時、うつ状態になっており、「オンラインコンテンツの悪影響」に苦しんで亡くなったと結論づけた。

 

 英政府はモリーさんの死後、ネット上の有害コンテンツから子どもたちを守る「オンライン安全法案」の議論を加速させてきた。

 

 法案は、ソーシャルメディアを含むウェブサイトの運営者に対し、児童の性的搾取や虐待、自殺やテロ、薬物の関連といった有害なコンテンツが子どもたちの目に触れないような取り組みを求める。

 

 「彼らは『ユーザーの安全を第一に考える』と言います。でも、我々が感銘を受けるようなことはほとんどしていません。権力と資金を持つ世界的企業として、責任を果たしてくれると思っていたのですが」

 

 「ネット上の安全の必要性は、英国だけの話ではない。ノー・ワン・イズ・セーフ(安全でいられるひとはいない)。モリーの死から、みながそれを学ぶべきだと思います」。ラッセルさんはそう力を込めた。

<引用終了>

 

 厚生労働省によると、日本では昨年、小中高校生の514人が自殺によって亡くなったそうです。日航ジャンボ機墜落事故の死者数に近い数字ですが、大事故と異なり報道されることはありません。

 

若者の死因のトップは自殺という統計結果もあります。もちろん514人の内の何人がSNSの影響によるものなのかは分かりませんが、ここ数年、SNSがきっかけになり若い女性が殺傷されるという報道を見聞きすることが多くなりました。

 

本記事で書きたいことは一つです。それは・・・

浜矩子同志社大学大学院ビジネス研究科専門職学位課程教授

二大政党制の発祥地である英国では、長期政権になると「日本みたいになってしまう」として政権担当者自身が不安になるという。

 

 

参考

SNS上で自殺志願者を集める行為の規制に関する質問主意書 (shugiin.go.jp)

 

衆議院議員逢坂誠二君提出SNS上で自殺志願者を集める行為の規制に関する質問に対する答弁書 (shugiin.go.jp)

 

「りゅうちぇるさん自殺の本当の理由 SNS社会を生きるあなたに」 中村むねひら

 

このテーマは多くの専門家がいろいろな所で問題にしていることです。

 

 SNS 孤独 - Google 検索 してみると、数えきれないほどの論文や意見、アンケート結果などが検索されますが、「これだけは言える」ということは、SNS社会と孤独社会は「表と裏」、つまり、良い面も悪い面もあるということです。これが、SNSが苦手である私が出したこのテーマの結論です。

 

「SNS疲れ」という言葉もあります。恐らくあなたも、SNSは「毒にも薬にもなる」ことに気づかれているでしょう。

 

 SNSの最大のメリットは、地域や国家などの空間を越えて、多くの人たちとつながることができることでしょうか。

 

  一方で、最大のデメリットは、ビジネスや犯罪に利用される可能性の高さと私は捉えていますが、「監視されている不安」を常に抱いている人も多いと思います。

 

いずれにしても、利用者の個人差が大きく、おおざっぱに言えばデメリットよりメリットの方が大きいと個人的には考えています。

 

「SNS社会を生きるあなたに気を付けて欲しいこと」というタイトルのこの記事で、メンタルヘルスの専門家ではない私が書ける「簡単に」の部分はここまでです。お伝えしたいポイントはデメリットがあることを十分知った上で利用したほうがいいということです。

 

それでも、「別な見方をしたい」と思われたなら、続きをお読みください。

 

 SNSについては多様な見方があると思いますが、SNSがなかった1998年に公開されたジム・キャリー主演の『トゥルーマンショー』という映画があります。私には、一部のSNSの同様に、「個人のプライバシーをさらけだし、ドラマ化にして興味をあおる映画」に思えました。

 

 ジム・キャリー主演であり、コメディ風につくられていますが、人間は他人のプライバシーに立ち入り観察(注目)することに強い関心がある、ということをこの映画は教えてくれますが、この映画には、さらに2つの「考えさせられること」が含まれています。

 

1つ目は、「観察される社会も恐いが、観察されない(誰一人自分に注目しない)社会も恐い」ということ。

 

2つ目は「かなりの数の広告が、さりげなく、そしてストレートに入り込んでいる」ということです。

 

広告というものは本来、何かの広告であるということが認知されないように組み込まれるものですが、SNS社会は「広告の社会」そのものであると言っても過言ではないと思います。映画『ツゥルーマンショー』は、現代社会を見通していた映画であったのかもしれません。

 

「見たくもない広告」が有無を言わせず目に飛び込んでくるSNS、あなたの心を傷つけることになる可能性も十分ありますのでご注意を。

 

最後に、「SNSで人と人の心はつながるのか」という問題と、有名人の自殺後の「後追い自殺」の件を、後日noteすることをお約束しておきます。