「これほど豊かになって、これほどしあわせにならなかった国はめずらしい」 | 中村むねひら 「孤独社会」を超えて

中村むねひら 「孤独社会」を超えて

孤独な日々ですが、前を向いて生きていきたいと考えています。元東京ディズニーランドスーパーバイザーとして、元ホームレスとして、そして、精神障害1級(PTSD)、身体障害1級(四肢麻痺)の傷害者として、社会に貢献できる忌憚なき記事を残していきたいと思います。

円が35年ぶりの安値とか。この国はもはや「豊かな国」ではないとも言われます。


2020年10月5日の朝日新聞「折々のことば」で紹介された一文です。2019年に亡くなられたドイツ文学者の池内紀(おさむ)氏の言葉ですが、人々が「儲ける」ことを最優先させたことから、と氏は警鐘を鳴らしていたようです。

 

故池内氏はゲーテの『ファウスト』も訳されていますが、経済学者であり同志社大学教授の浜矩子氏も、ファウストについて2011年8月7日の毎日新聞紙上で以下のように書かれています。

 

 取り上げられ方に対応して、ファウストに与えら。れる職業や履歴はさまざまに変化してきた。だが、ファウスト物語の中核テーマは常に変わらない。それは「悪魔との契約」である。見果てぬ夢の甘い誘惑で、悪魔はファウストを破壊的な契約へと引きずり込んでいく。

 悪魔の使命は一つしかない。人間から魂を奪って地獄行きの片道列車に取り込むことだ。その使命を果たすべく、悪魔は人間の望みをむやむやたらにかなえてくれる。願望実現の大盤振る舞いと引き換えに、人間は魂を悪魔に売り渡してしまう。巨万の富。あふれる才能。輝かしきキャリア。素晴らしい恋。そして永遠の若さ。

ファウスト物語の多くのバージョンで、ファウストは悪魔に永遠の若さをおねだりする。いくら知恵が深まり、賢さが高まり、見識が深まっても、若き血潮が萎えてしまえば何にもならない。いつも元気で、いつも活力に満ちていたい。そのためなら、魂などは喜んで悪魔に引き渡す。

<引用終了>

 

小泉政権時代に書かれた故加藤紘一元自民党幹事長のブログ「この国の形」から

 

1年ほど前のことだ。インド出張から帰国したばかりの友人が浮かぬ顔をしている。彼はバリバリの商社マンだが、現地でインテリ経済人に難しい質問をされたと言う。「日本人は、なぜみんな不幸そうな顔をしているのですか。一人当たりの国民所得は世界64億人のうちトップ1~2%に入る超リッチ。インドの約15倍の豊かさ。それなのに自殺者は多く、国民はいつも青い顔をしている。インドの人々は貧しいが、結構笑顔も多いでしょう。」

友人は答えに窮し、とりあえず「日本では政治家が良くないからね。」と言ったらしいが、「来月また出張する。今度は何と答えたらいいのだろう。」と真剣だった。

 この質問は難しい。私も多くの識者や選挙区の人々にぶつけてみたが、みんな当惑する。私にも確たる強い解答はないが、あえて言えば、我々日本人は、「足るを知る」(知足)の精神からあまりに離れすぎたのだと思う。自らを隣の人、同僚、親戚、同級生と比較し、自分の持っている車や住まいや子供の進学など、すべて比べ競争し、飽くことがない。「追いつき追い越せ」の精神で走り続け、追いついた後も何かに追いつこうとしている。SMAPの『世界で一つだけの花』がヒットしたのも、まだまだ自分だけの美しさを持った花と自信がもてないからだろう。

<引用終了>

 

加藤鮎子衆議院議員は、9月13日発足の第2次岸田第2次改造内閣で内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画)に就任し、初入閣しました。父は加藤紘一元幹事長