じんせいのはじまりとおわり | 柚南みゆきのゆずないろ

今日はあたしの大切なパパの誕生日。


去年の誕生日は、奮発して春物のジャケットを贈った。


喜んでくれる顔だけを思い浮かべて。


けど、1度も着てくれないまま。


着てくれてる姿を見せてはくれなかった。



この1年はあまりに重い1年だったけど、あたしはなんとか生きてる。


眠る度に、夢の中に出てきてはいなくなっていく。


毎日毎日、眠るのがいやだった。


心から楽しいとか嬉しいとか、思える日が来るんだろうか。


人は、生きているからには必ず死ぬ。


人って、死んだら抜け殻になるんだね。


よく「まるで眠っているみたい」とかいう言葉があるけど。


全くそんな風に見えないもの。


魂の宿っていない肉体。


生きている、生きていた人間だったとは思えない、蝋人形のような物体。


触ると氷のように冷たくて、肌は白くなって、生き返ることはないんだってすぐにわかる。


あたしも死んだらこうなるんだなって知った。


あたしはそのことはこわくはないけど、そのあたしの姿を見た誰かがショックを受けるのはいやだな。


出来るだけきれいな死に方がいいな。


元気な時の姿を思い浮かべるけど、やっぱり最期の顔を忘れられないもの。