昨日の記事で、亡き母の味をsyunkonの山本ゆりさんに再現してもらったとお伝えしました。


少しだけ、私の母の話をさせてください。


母は、”押し付けがましい優しさ”を持っていた人でした。


「こうしたら喜ぶに違いない」
とサプライズを計画して相手に感謝の気持ちを強要し。
喜ばれないと
「せっかくこうしてあげたのに」
とがっかりする人でした。



私に対しても、私の趣味に合わない洋服、趣味に合わないパジャマ、趣味に合わない本。
いろいろ押し付けてきました。
「いらない」と断ると「せっかく買ってあげたのに!もう何にも買ってやらん!」と怒るんです。
それなのに、しばらく経ったらまた買ってくる。そしてケンカになる。その繰り返しでした。


実家は決して裕福じゃありません。
成人した私より、もっとお金を自分のために有意義に使って欲しいと思ってました。


母が病に倒れたのは、私が26歳で結婚して最初の年でした。余命8ヶ月と言われました。
新居は実家から新幹線の距離のため、そう頻繁には様子を見に行くこともできず。それでもなるべく長く仕事の休みを取り、時間とお金を工面して、できる限り母のそばへ帰りました。


そんなある日。翌日からまた仕事のため、実家から新居へ移動する準備をしていたら、母がニコニコしながら声をかけてきました。

「プレゼントがある」と。

私、怒っちゃったんです。

「なんでまた余分な物買うの!? プレゼントとかしないでって言ったじゃん!!!」って。

ただでさえ通院でお金がかかる時期。私だって、かなりの交通費をかけて会いに来てる。

それなのに、何を無駄遣いしてるんだと。
どうせ私がいらないものに違いないのに、と。


そんな言い方をしても、母は怒ることなくニコニコしたまま「いいから開けてみて」と言うんです。


その包み紙の中は、山本ゆりさんの「syunkonカフェごはん3」。


本屋でたまたま新刊で売っているのを見て「娘の好きな人のレシピ本だ」と気づいたらしく(そのころすでに1、2冊目は自分で買って持ってました)

「これなら喜ぶに違いない」とプレゼントしてくれたんです。


怒ってしまった手前、バツの悪い気持ちで「ありがとう」と言いました。



帰りの新幹線の中で、読みながら帰りました。



そして、母は4冊目が発売する前に亡くなりました。


syunkon3を開く時、たまにそのことを思い出し、


「なぜ母にもっと優しくしてあげられなかったのか」と切ない気持ちになります。


その優しさが少しだけ押し付けがましかったとしても、

母はいつだって、間違いなく、

私に喜んでほしかっただけなのに。





もう届かないけれど。


母さん、ごめんね。ありがとう。





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