こんにちは。幸せを運ぶ語りびと 中村美幸です。ご訪問下さり、ありがとうございます。

このブログでは、小児がんを患った長男(渓太郎)との闘病、別れを通して知った「幸せ」や「愛」、「命」「生きること」について綴らせていただいています。

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現在こちらのブログにて、著書『その心をいじめないで』の内容を無料公開させていただいております。(ページ順は不同となります)

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【コロナウイルスが蔓延していても、いなかったとしても天使の声は変わらないから…】

 

小さな幸せ……数えられますか? ――闘病生活

 

 四日後、渓太郎は「死なない『がん』」(当初、渓太郎が患った病気は、「予後の良い種類の「がん」だろう」との見解だったため、私は、まだ病名が明確になっていないその病気を「死なないがん」と名付けていました)と闘うため、自宅から高速道路で一時間ほど離れた「長野県立こども病院」に入院した。
 それは同時に、外部と隔離された「腫瘍科病棟」での、私の二十四時間付き添い看護生活が始まることを意味していた。また、それは取りも直さず、これまでまったく目を向けることのなかった「命」という真理と、真正面から向き合う日々の連続となった――。

 

 二重に仕切られた扉を過ぎると、そこが腫瘍科病棟だった。看護師に案内されるまま後ろをついて、すれ違う人など誰もいないのに小さくお辞儀をしながら歩を進める私は、これから身を置く「非日常」にたじろぐ、まさに新参者だった。

「渓太郎くんが入院するお部屋になります」

 入口から私の目に入ってきた個室は、仕切られたカーテン、その先の真ん中あたりにベッドが置かれ、奥には収納棚がついたテレビ台がある。そして、入口右手に小さな洗面台――。

(今日から、ココで歯磨きをするんだ……)

 すると、歯ブラシを手に鏡の前に立っている自分の後ろ姿が浮かんだ。

(ねえ、私、どんな顔してる?)

 生気を失った表情が見えた。急に不安の渦が巻き始めた。 

 ここに足を踏み入れた瞬間から、闘病生活が開始されたのだと実感した。その生活は、これまでの日常からはかけ離れた時間を刻み続ける。そして一分一秒の時間単位は、鉛のようにズシッと重く私にのしかかるだろう。

 戦闘もモードを「ON」にして、「死なない『がん』」と闘いに来た強い母――決して、頭の中で描いた虚像ではない。が、闘病生活のスタートラインに立った私に必要なのは、「闘争」ではなく「忍耐」だったのかもしれなかった。

(家に帰りたい。いつもの居間で、渓ちゃんと一緒にゴロンと寝転びたい)

 私の中で必死に追い求める当たり前と思っていた普通の生活は、もう叶わない。

 そう、涙が突き上げてくるほど遠く、手の届かない過去へと押しやられたのだった。

 

〈「闘病生活」の続きは、次回へ〉

 

これまでの公開頁は、以下よりご覧いただけます。

【選ばれて生きた500日もの「いのちの時間」】
【小さな幸せ……数えられますか?】

 

次回は【闘病生活】の続きをお届けしたいと思います。

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