その二人の笑顔は今までに見せたことの無い、幸せに満ちた笑顔であった。
そんな二人を微笑ましく見守る仲間たちは祝福の拍手を送っていた。
やがてオルガンが行進曲を奏で始めると、晴れて夫婦となったジョーとフランソワーズは腕を組み、ゆっくりと歩き出した。
その二人に続いて新婦の父親役であるギルモアと、証人となったフランソワーズの親友のカトリーヌがゆっくりと歩き出す…。
聖堂入り口に向かって腕を組んで退堂して行く新郎新婦を、列席者は皆、拍手を送り祝福した。
もちろん、ゼロゼロナンバーサイボーグの仲間たちも、二人を祝福し、拍手を送っていた。
「 …ったくよ、ジョーのやつ、あんな幸せそうな顔を見たのは初めてだぜ…。」
そうボヤくように呟くジェットの肩を、隣に立っていたグレートポンと叩く。
「 そうぼやくなよ、ジェット。何はともあれ、フランソワーズが幸せを掴んだ訳だ。こんなにめでたいことはないんだ。心から祝ってやろうや…。」
「ああ…そうだな…。」
皮肉っぽい笑みを浮かべると、ジェットは気を取り直し、幸せそうなジョーとフランソワーズの後ろ姿を見守った。
幸せを願いながらも、心のどこかで割り切れないことを悟っていた。
ジェットもまた、密かにフランソワーズに心を寄せていたのだ。フランソワーズがジョーに惹かれていることを知っていたので、諦めていたのだ。
フランソワーズさえ幸せになってくれれば、それで良いのだと、ジェットは自分に言い聞かせて来た。
だが、ジョーがフランソワーズにプロポーズをしたあの日、来るべき日が来たのだと悟った時、落胆してしまった自分が情けないとさえ思った。
(ふふふ…。俺としたことが)
自嘲気味に、ジェットは笑った。そうしながら、彼はあらためて思う。
そう…。心から二人の幸せを願おうと。
そして…。
聖堂の外で新郎新婦を祝うために、カトリーヌを初めとするフランソワーズの友人達、そしてゼロゼロナンバーサイボーグの仲間達が並んでいた。
新郎新婦が聖堂から姿を現すと、友人達や仲間達が一斉に拍手を送った。
友人達、そしてゼロゼロナンバーサイボーグの仲間達の祝福と、ライスシャワーを浴び、新郎新婦のジョーとフランソワーズの2人は幸福に包まれていた。その表情は仲間達から見ても今までに見たことの無い、本当に幸せそうな表情だった。
そんな2人を見守りながら、ジェットは思う。
ジョーとフランソワーズに幸多からん事を…。
そしてまた、フランソワーズに寄り添うジョーもまた、心から思い、誓う…。
この先何があろうと、フランソワーズを守り抜くと…。
Fin…