美夕の徒然日記。

美夕の徒然日記。

鬼滅の刃最高!
炭治郎大好き!

やがて、八坂神社の大きな鳥居が灯火に照らされて見えてきた。


お琴は静かに鳥居をくぐる。


境内は祭礼を楽しむ人々で賑わい、提灯の灯が夜をやさしく照らしていた。



拝殿の前へ進み、鈴を鳴らす。


静かに手を合わせる。


願うことは、ただ一つ。


――どうか、きちんと謝る機会をください。


心の中でそう呟き、一礼して顔を上げる。


そして振り返った、その瞬間だった。


人波の向こう。


提灯の灯に照らされ、一人の青年が立っていた。


藍染の浴衣。


見慣れた凛とした立ち姿。


その眼差しが、お琴をまっすぐに見つめている。


――歳三だった。





「これは……。」


座敷へ戻ったお琴を見た父は、思わず言葉を失った。


「見違えたな……。」


娘の艶やかな姿に、思わず目を細める。


お琴は照れくさそうに微笑み、小さく頭を下げた。


やがておのぶ、彦五郎らに見送られ、お琴は一人、八坂神社へ向かう。




夕暮れはいつしか夜へと移り変わり、甲州街道には無数の提灯が灯り始めていた。


遠くから聞こえてくる祭囃子。


笛や太鼓の音に誘われるように、人々は笑顔で神社へ向かっていく。


沿道には露店が立ち並び、焼き団子の香ばしい匂いや甘い飴の香りが夜風に乗って漂う。


その賑わいの中、お琴は歩きながら、何気なく人混みに目を向けていた。


もしかしたら――


そんな小さな期待を抱きながら。


けれど、どれほど人波を見渡しても、その姿は見つからない。


やはり会えないのだろうか。


そんな思いが胸をよぎる。

実は、そのほんの少し前――。


歳三はふらりと佐藤家へ立ち寄っていた。


「祭りなんだから、その格好じゃ味気ないよ。」


そう言って、おのぶは以前から仕立てていた藍染の浴衣を取り出す。


「いや、別にこのままで――」


渋る歳三などお構いなしに、おのぶは浴衣を手渡した。


「せっかくなんだから。」


結局、半ば押し切られるように着替えさせられた歳三は、不満そうに襟元を整える。


「……似合ってるじゃないか。」


彦五郎の一言に、歳三は照れ隠しのように鼻を鳴らしただけだった。


やがて、


「じゃあ、行ってくらぁ。」


そう一言残し、歳三は一人、八坂神社へ向かって歩き出していく。


その背中を見送りながら、おのぶは静かに微笑んだ。


――そして、そのことを、お琴には何も告げなかった。


「お琴さん、ちょっとおいで。」


おのぶに呼ばれたお琴は、不思議そうな顔で奥の部屋へ案内される。


そこには、一枚の美しい藍染の浴衣が畳まれていた。


「これは……?」


「お祭りなんだから、着ていきな。」


優しく微笑むおのぶに、お琴は目を丸くする。


「でも……。」


「遠慮しなくていいよ。」


そう言われ、お琴は静かに袖を通した。


藍の色は夕空のように深く、しっとりと肌になじむ。


「よく似合う。」


おのぶは満足そうに頷くと、小箱を開け、紅を指先に取った。


「少しだけ。」


照れるお琴の唇へ、薄紅がそっと添えられる。


最後に、お琴は珊瑚の簪を髪へ挿し直した。


淡い灯りの中で珊瑚がやさしく揺れる。