「政治経験」は本当に必要か? | 宮沢たかひと Powered by Ameba

国会の予算委員会質疑で、逐一官僚たちから入れ知恵をしてもらいながら返答している大臣をよく見ます。過去には、大臣就任挨拶で「私は素人ですが・・」と平気で述べた大臣がいました。最近も、大臣としての資質を問われ、女性防衛大臣が辞めざるを得ない状況になりました。日本の政治では、当選回数が多く大臣待機組に入っていれば、あるいは首相が指名すれば、専門的な知識が無くても大臣になれるようです。国民から言わせれば、大臣は自分の省庁の仕事内容に精通し、事前に質問通告してあることくらいについてはフリーで返答してもらいたいものです。それができないのであれば、そもそも大臣など受けるべきではありません。

 

このような実態を見ると、「政治経験とはいったい何だろう?」と考えさせられます。当選回数が多く、政治家としての経験年数が多いことが「政治経験豊富」という定義であれば、高齢であるほど良いということになります。メディアも「政治経験」という言葉をあまり考えずに使っているように思います。

 

さらに、「政治のプロ」とは何でしょうか?単に、選挙で当選回数を重ねている人たちのことを指しているのでしょうが、「選挙で当選すること」と、「政治家として活躍して業績を挙げること」とは、まったく別の資質と思います。

 

例えば、橋下徹さんは普通の弁護士でしたがテレビに出演していたこともあり、誘われて大阪府知事になり、その後大阪市長もやり、業績を残しました。一回も国会議員になったことがないのに、国政に影響を与え、総理大臣でさえ気を遣っていました。その他にも、政治経験の無い若い首長が見事に行政を切り回す一方で、高齢の政治経験豊富な首長がその立場を追われた事例もたくさんあります。つまり、「当選回数を重ねて政治経験豊富なこと」と「政治家としてよい仕事をすること」は全く別次元のことであり、使う能力も資質も別物なのです。

 

私の考える「政治のプロ」の定義は「国民の声を聞き、勉強し、議会においてロジカルに質疑と調整ができ、行政を担う専門官僚たちと対等以上に議論して納得させ、俯瞰的に政治を見渡して決断できる突破力を持ち、有権者を納得させることのできる人」です。これができるためには、優れた人格、勉強力と質疑力を持つ“優れた脳”が必要です。当選回数は関係ありません。当選回数が少なくても、これらのことが速やかにできる人物であればいいのです。さらに、IT & AI リテラシーと語学力があれば最高です。

 

今の民進党の代表選を見ればわかるように、「民進党は変わらなければいけない!」とお二人の代表候補は言っていますが、「どのような具体的手法とプロセスで民進党を変えるか」については何も語っていません。民主党から民進党に至るプロセスを見ていても、長年政治の世界にどっぷりと浸かってきた<政治経験豊富な政治家だけ>で政治を回そうとすると国民の意識からどんどん解離し、行き詰るのは目に見えています。

 

だからこそ国民は、民間の優秀かつ新鮮な人材を多数抱え、しっかりした政党ガバナンスと斬新な切り口で政治を切り回せる新しい政党を望んでいるのです。