【北村 亘氏著 「政令指定都市」 (中公新書)読了】 | 宮沢たかひと Powered by Ameba
 戦後の五大都市と管轄府県との間の確執に始まる「政令指定都市の多発」に至った事情がよくわかりました。結局、人口80万人以上という人口要件だけで旧自治省が政令指定都市を認可したものの、高度経済成長期には「憧れ」かつ「バラ色」であった政令指定都市も、少子高齢化時代と税収減少時代に入り、増えた事務権限と税収入減少の中で立ち行かなくなりつつあるということのようです。また、大阪都構想が生まれた理由も改めてよくわかりました。

 都道府県のような広域自治体と自立性の高い大都市間の政治的ガバナンスの難しさについては民主主義発祥の国イギリスで既に前例があり、West Lothian Questionというそうです。本来は、大都市が都道府県の中で占める面積比率と人口比率、昼夜間人口差、産業構造、経済力、交通網、エネルギー供給環境、観光資源の多寡、都道府県と政令指定都市間の権限移譲と税源移譲のあり方等に加え、国家ビジョンが加味されて政令指定都市の制度設計がなされるべきだったのでしょう。今後の検討課題として、大都市の範囲の定義、狭域単位の暴走(エゴ)、都会の限界集落の増加等を挙げています。

 私は、上記要件を検討した上で、解体あるいは再編成される政令指定都市があっていいと思いますし、同時に都道府県のあり方と道州制も再考察する時期に来ていると思います。

http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_2?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E6%94%BF%E4%BB%A4%E6%8C%87%E5%AE%9A%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%80%80%E5%8C%97%E6%9D%91