大腸がんKRAS遺伝子変異ありで抗EGFR抗体薬の適応は? | がん治療の虚実

大腸がんKRAS遺伝子変異ありで抗EGFR抗体薬の適応は?

姉が 下行結腸癌末期で 薬は殆ど使ってきました。 遺伝子検査は 残念ながら変異型に付、分子標的薬が不使用でした。
今現在 フォルフォリ+アバスチンを2週に1度
投与しています。既に 14回投与
それも 耐性が出来マーカーが90台に上昇しています。本人は 一喜一憂しないと言ってますが。
家族としては どうすれば良いものか?と気に病んでいる状況です。 主治医は 造影CT結果 コドン13Aであれば 分子標的薬使用出来ると
言われていますが。臨床試験はどうなんでしょうか?  

回答します。
大腸癌では抗EGFR(上皮小体成長因子)抗体としてアービタックス、ベクティビックスが使われていますが、これは癌表面のEGFRという受容体をブロックし、がん細胞の内部に増殖する信号が伝わる事を抑制するために効いていると判断されます。

当初このEGFRが発現している大腸がんに適応がありましたが、どうも関係がなさそうで(理由は不明)、がん細胞のKRAS遺伝子変異の有無によって決まるとされています。

このKRAS遺伝子の変異があると細胞表面のEGFRをブロックしても,細胞内で持続的に細胞増殖シグナルが内部に送られ、抗EGFR抗体薬を使用しても無効となるため、使用すべきではないと言われていました。
ところが最近同じKRAS遺伝子変異の型でもコドン12,13のうちコドン13の場合は抗EGFR抗体薬の使用が多少なりとも有利に働いているのではないかという報告が出ています。

ただしこれは従来の臨床試験の後ろ向きの検討(エビデンスレベル4)であり、コドン13が本当に意義があるかどうかの証明のために前向き試験(エビデンスレベル2-3)が今から組まれると予想しています。

エビデンスとは(再挑戦)⑦まとめ1
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11050961397.html

今の段階ではコドン13なら効く場合もありそうだという程度の認識だと思ってください。

なお腫瘍マーカーは指数関数的な急激な上昇でもない限り、治療法を変更するほどの意義はありません。
また、がんの症状が悪化していなければ、多少腫瘍が増大しても同じ治療継続の場合も珍しくありません。