ガルデルマ社のヒアルロン酸注入セミナー | 美容外科開業医の独り言

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先日、このブログで同業医師向けに告知したガルデルマ社ヒアルロン酸のセミナー、GAIN(Galderma Aesthetic Injector Network) inspired セミナー が4月28日に開催されました。


我が国では2社のヒアルロン酸注入製剤が厚労省から認可されています。アラガンエステティックス(アッヴィ社)とガルデルマ社の製品です。ガルデルマ社の製品名はレスチレン。この製剤は歴史も古く、アレルギーなどの副作用の少ない、安全性が高い製品として有名ですが、日本ではマーケッティングが上手くいかず、その特徴を医師に伝えられないまま今に至っています。海外の学会では巨大な展示ブース、ワークショップ開催など精力的に行なっており、シンガポールなどで解剖のセミナーなども開催されています。私も何度か参加させて頂いています。ただ国内は今回のセミナーがガルデルマ社初と言っても良いほど。私自身ほぼ四半世紀の使用経験がある良い製品なので、これからはその長所など伝わっていくと良いなと思っています(もちろんもう一つの会社の製品群、ジュビダームシリーズもお気に入りで私は使っています)。

ヒアルロン酸注入製剤はその特徴を知り、患者状態によって使い分けていくことこそ大事です。どの会社が良い、悪いではなく、特性を熟知して使いこなすこと、そういった意味では医師個々に考えが違って当然であり、だからこそ技量の差が出せるのです。

特にレスチレンはその形状保持、馴染みやすさなどでは抜群の力を持ちますので、これを使わずしてヒアルロン酸注入を実施している医師はちょっと残念。

もちろん使いにくさも。シリンジから押し出す力は結構要します。しかしそれは形状保持力の裏返し。押し出しやすいとその凝集性で形を作ることになるので、面で支えることがやや難しくなります。最近主流となったカニューレによる注入のメリットを考えると、面で支えることは必須です。


話をセミナーに戻します。

前日は打ち合わせ。Sebastian Cotofana先生はご夫妻で参加です。

翌日の進行について注入の担当ドクターたちと共に。左から平田玲奈先生、田中亜希子先生、今泉明子先生、私、 Cotofana先生と奥様。

 

さて翌日。セミナー本番です。

 

私はmoderatorとして参加。


Cotofana先生が部位ごとの解剖学的解説をおこない、次いで日本人医師の注入動画と解説。私がここで、初心者、ベテランなどの聞きたいであろう質問、討論を織り交ぜつつ、進行していくという流れでした。基本的に進行は完全に任されていたので、何を質問するかはその場次第。それでも日本人医師、Cotofana先生共に完璧な答えでした。ありがとうございました。

ガルデルマ社の注入の基本はAART、これはAssessment, Anotomy,  Range, Treatmentの略です。決まりきった部位などはなく、しっかり診察して解剖を考え、適切な製剤を正しい治療で注入するという考え。施術者の能力を試される、安全面など含めて医師としては当然の事なのですが、しっかり勉強して患者様の満足度を高めるための概念です。もう一社とは全く異なる組み立てなのが面白いです。日本人はマニュアルのような注入手技が好きなので、ガルデルマ社の考えはやや難解ではありますが、私は大好きです。もちろん使用可能製剤が限定されるなど、日本ではまだまだ伝え切れない話もあるのですが、良い概念であると思います。

 参加者の学びになっていれば良いのですが、参加された皆さんはいかがでしたでしょうか。


最近は歳を取ったせいか、このような仕切りの仕事が多くなりました。美容医療の長年の流れを知り、それなりに経験を積んで、さらに海外事情にも通じているというのが私の取り柄らしいので、もう少しの間は業界のお役に立ちたいと思っています。


私自身も勉強になった会でした。