肥厚性瘢痕 | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
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週末は仙台に日帰り出張。シミ治療&ピコ秒レーザーについての講演でした。

生憎の雨。でも駅に隣接したホテルが講演会場。

 

 

少人数制のセミナーで、活発な質疑応答でした。楽しかったです。

 

 

そのまま帰るのも勿体無いので、駅ナカで牛タン定食。ほとんど雨にも濡れず、駅だけで完結した仙台出張でした。

 

さて、本題。

私は形成外科医であるため、当院では傷跡の治療も実施しています。

最近、肥厚性瘢痕という言葉が誤解されているような気がしています。

肥厚性瘢痕とは、ざっくり言うと、傷跡が広がってしまい、赤く盛り上がっているような状態を言います。

 

美容外科領域において肥厚性瘢痕を主訴として来院される患者様を実際に診察してみると、多くは肥厚性瘢痕ではなく単なる瘢痕です。白くて盛り上がっているのは肥厚性瘢痕ではありません。いえ、それ以上に光の当たり方で見えるかどうかのような微妙な傷跡まで肥厚性瘢痕とおっしゃる患者様も多いのです。

さらには上まぶたの手術後の傷跡を気にして来院される患者様もいますが、白くて目立つのではなく、目を閉じた時に線状にくぼんでいる状態を肥厚性瘢痕と言われることもしばしばです(盛り上がってもいない!)。これはそもそも瘢痕が目立っているのではなく、眼輪筋などとの癒着によってくぼんでいるのであり、瘢痕の治療をしても全く改善しません。

 

美容外科手術後の目立つ傷跡を全て肥厚性瘢痕と思い込んでいる患者様が増えていますし、医師でさえもそのように説明し、体質だから自分の責任ではないと患者様を突き放してしまうこともあるようです。

ケロイドや肥厚性瘢痕と言ってしまえば、傷跡が汚くても体質であるという一言で患者に責任を転嫁できるというのは、ちょっと考えものです。

 

肥厚性瘢痕の多くはケロイドと異なり、手術によって切り取り、丁寧に縫合することで改善可能です。この辺りは専門的な話となりますし、異論もあるかと思いますので、軽く触れるにとどめます。

またステロイドの注射やVビーム(赤色に効くレーザー)によって非外科的に治療することもあります。

 

あなたの傷跡、本当に肥厚性瘢痕でしょうか??