20代のたるみ治療 | 美容外科開業医の独り言

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最近は毎日のように20代の女性がたるみを気にして来院されます。

他院で治療を受けたが即時効果はあったが長く持たなかった、たるみに効果ありという治療を受けたが何も効かなかったなどなど。

だから当院のウルセラでぐっと上げてほしいと。照射法が違うから効果あると思ってやって来ましたと言われることもしばしばです。

 

たるんでいないものは引き上げることができません。それは顔立ちです。ほうれい線の全てが「たるみ」ではありません。顔の形としてほうれい線がある人もいます。10代の頃は、顔はふっくらして形としてのくぼみは目立ちませんが、大人の顔になると様々な輪郭が現れます。20歳くらいから陰影が見えるようになりますが、これは本来の骨格や脂肪による形であって、「大人の顔」になっただけです。それが好きか嫌いか、これは本人の自由です。

 

顔の形の問題は機器や糸治療ではありません。手術やヒアルロン酸などによる治療が基本となります。たるんでいなくてもヒアルロン酸なら膨らませ、形態を変えることもできます。

 

ただ、機器や糸でも即時効果はあります。おそらく5〜6歳のお子さんに実施しても引き上がります。でも持続性はありません。

たるんでいれば新しいコラーゲンなどが生じて効果は続きますが、単なる腫れや過矯正の状態では効果が持続はしません。

 

もちろん20代後半からは徐々にたるみが生じますが、多くは顔の中央mobile zoneと言われる、目の下や頬から始まります。これには機器治療よりもヒアルロン酸が効果的です。

 

最近はSNSでインフルエンサーと呼ばれる人が美容治療を受けて効果があると宣伝します。それも20代そこそこ。これを見て心理的に治療を受けなきゃと思ってしまったという若い女性の多いこと。インフルエンサーによる化粧品の宣伝も美容クリニックの宣伝も、ビジネスという意味では同じです。駄目なことではありませんが、見る側は全てを真に受けて信じずにきちんと調べた方が良いかなと思います。そんなに追い詰められなくても、焦らなくても大丈夫です。20歳そこそこでハイフなんてしなくても将来老けません。ましてや高校生では不要です。

SNSでの医師の学術的ではない発言も目立ちます。ビジネスとしてはありなのでしょうが、私はその世界に入ることはできません。信じるのは自由ですが、それを見た患者さんが当院に虚偽と思われる治療を求められてもお断りしています。

 

「煽る」のはほどほどにしないと、目先は良くてもあとが大変です。

老兵は去れと言われそうですが。

 

20代のたるみ、これは本当にたるみなのか、大人の顔になった、顔立ちなのか、よく考えましょう。