傷跡は消える? | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

最近は傷跡の修正治療が非常に多くなっています。
レーザーや手術など、現在では方法は多岐に渡ります。
以前はレーザーで傷跡を目立たなくするなんて言うと、専門医が集まる学会の場でさえも胡散臭いと思われがちでした。
フラクショナルレーザーが登場してからというもの、この考えは少しずつ変わろうとしています。
私も何度か学会で傷跡に対するレーザー治療の発表をさせていただきました。
現在では主にフラクショナル炭酸ガスレーザーのeCO2、ノーマルフラクショナルレーザーのラックス1540、ノンアブレイティブレーザーのスムースビーム、赤みを取るVビームなどを主とし、他にも癒着を剥がすための炭酸ガス注入装置カーボメッドや再生医療のPRP、外科的手術などを組み合わせ、それなりの結果を得ることができるようになってきました。

しかし、傷跡は消えるでしょうか。
答えは「No」です。場合によりかなり目立たなくすることはできても、一度生じた瘢痕というものを正常な皮膚には戻せません。
フラクショナルレーザーを実施すると、毛根などが残存している組織(?)の場合だと不思議なことに傷の中から正常な皮膚が発現することはありますが、基本的には構造の壊れた皮膚を正常なものに生まれ変わらせることはできません。
つまり傷跡を軽度にする、目立たなくすることはできても、「消す」ことはできません。
よく相談メールにて、何回治療すれば傷跡は消えますか?という質問を受けることがあるのですが、消すとなると、それは不可能とお答えするのが正直なところです。
以前も書いたとおりですが、どこまで治療するべきなのか、思案のしどころです。