美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

美容外科・美容皮膚科は怖いとか、よく分からないなどと思っている人も多いはずです。しかし、女性の多くは美に対する興味をお持ちのはず。どんなものだか、ちょっとでも興味があれば読んでみて下さい。
時々マニアックに走りすぎて、こいつ何が言いたいんだと突っ込みたくなるかもしれませんが、お許し下さい。
美容医療はビジネスライクになりがちです。しかしそれだけではありません。美容医療を通じて人が幸せになれる、そう信じて仕事をしています。みんなが幸せになれば自身も幸せ・豊かになり、同業者に正しい情報を広く伝えればトラブルが減り、より良い美容医療が発展、さらに多くの人が幸せになる、それが願いです。

なお治療に関する相談などは、クリニックの公式サイトにて承っております。

最近、たるみに対するヒアルロン酸注入治療は非常にポピュラーになってきました。当院でも毎日多数の注入治療をおこなっています。

しかしながらこの美容医療業界全体で見ると、やや人工的な顔貌、いわゆるヒアル顔を呈する人も増えてきました。大量注入で、加齢による骨の萎縮を埋め、顔を支える靭帯をリフトアップする手法が開発され、以前よりも不自然さは減りましたが、何か違和感がある、そんな顔貌が見受けられます。知らない人が見たら何も問題ないけど、昔の顔を知っている人が見ると若くはなっていない、イメージが変わった印象、そんな人まで含めるとかなりの人がやや違和感を生じています。

これはなぜでしょうか。

骨の萎縮は近年加齢によって進むことが解明され、どこが窪んでいくのかは多くの美容ドクターが理解しています。そこを埋めつつ、またリフトアップもすれば、輪郭は若い頃のように整うはずです。そうセミナーでは習う医師も多いはずです。

しかしながらここには幾つかの盲点があります。

一つはよく知られたことですが、firmnessやfitnessの低下です。まずfirmness。皮膚は緩んでしまっており、これを引き締める必要があります。注入だけに頼ると、どんなに引き上げたとしてもぷよぷよした印象になります。特に高齢者ほど顕著です。これを防ぐには引き締め、つまりは機器治療が必須です。注入でECM(細胞外基質)を補充するのも良いですが、引き締めには至らないので少々力が落ちます。やはり皮膚を引き締める機器が最も良いと思います。先日のIMCAS Asia国際学会でも、私はソフウェーブの講演で強調しましたが、他のドクターも同じような話をされていました。

そしてfitness。皮膚や皮下脂肪は加齢とともにピタッと密着するようなフィット感がなくなります。ボディでも背中の肉のはみ出しで分かると思いますが、垂れるわけでもなく緩みます。これを改善しないと入れた注入剤が何ともゆるっとした感じになりますし、ボリュームでフィットさせようとするとパンパンになります。若い人は肌にハリがあるというより脂肪にハリがあるのです。これは加齢に伴い皮膚支帯retinacular cutisという支持靭帯の末梢、皮下脂肪の細かい線維の減少と緩みが生じて起こることが様々な研究で分かっています。これは糸(スレッド)、特にショートタイプを入れたり、機器のうち皮下に熱を与えるものを用いることで改善を図ります。サーマクールが最強で、デンシティやハイフでも効果が得られます。

そしてもう一つ、どうやっても改善できないのが、骨の萎縮による目、鼻、口などのポジションの移動です。いくら輪郭を埋めても位置は戻せません。下手に輪郭を整えると外と正面がグラマラスな感じになり、目鼻が寄ったような印象を与えることもあります。これの改善はできないので、医師の美的センス、バランス感覚で誤魔化していくことになります。ここで解剖学的知識が最も重要になります。あれ?何か変、というのはこういった誤魔化しができないことが原因だと思います。特に私個人としては窪みやラインを敢えて全て若い頃に戻さず、微妙な引き算をしてあげる事が大事だと思います。

ヒアルロン酸注入は良い治療ですが、大量投与だけに頼らず、時には引き算で、そして必ず機器治療を忘れずに組み合わせていく、こんな知識とセンスと経験が美容医療の醍醐味ではないでしょうか。

学会2日目。まずは早朝に起きてルンピニー公園までランニング。暑いですが、沢山の人が走っていました。いつも池にいる水トカゲには会えませんでしたが、ぐるっと周回してリフレッシュ。

 

さて学会。この日は講演1つとハンズオンセミナー。

最初はFotona社のスポンサードセッション。企業枠なので機器の名前も出して評価できます。最強のEr:YAGレーザーSP Dynamis proを用いたたるみ治療について。口腔粘膜からの引き上げを可能とする治療スムースリフトと皮膚側からの引き締めT runnerに関する実験の報告と臨床効果を解説しました。

企業セッションなのにかなりの聴衆。油断してました。


3人の演者。タイの先生と日本から荒尾先生。


 30分ほど休憩して、次はサテライトのセミナー。ジェイシス社の最新高周波機器デンシティについて講演しました。当院でも大人気で、満足度の高いたるみの治療機器です。3次元的に早期の引き締め効果が強く出るmono/bipolar tipの理論などを解説しました。この機器はかなり皆さん興味があるのか、私1人の講演、それも1時間もある内容なのに各国から多数の聴衆。そのため質疑応答は活発。テキパキ答えて、疲れるなと思ってた矢先にインド人英語での質問。またもや理解出来ず。ただ、業者の米国人も分からなかったそうですので、まあ良いか。アールのきついインド英語が学べるアプリとかないかなぁ。

 

そして夜は企業の接待で本格タイ料理レストランへ。辛いと唸ってたら扇風機を真横に置いてくれるサービス。そのため美味しく食べられました。



二次会はルーフトップバーへ。昨日と違って落ち着いた雰囲気。

 

さて学会3日目。この日は早朝から新しい機器開発の打ち合わせ。仲良しの韓国Oh先生、ニューヨークのJane Yoo先生、企業の皆さんと討論。面白い話になりそうです。

 

会場へ戻り、私が毎回楽しみにしているDr. Atchima Suwanchindaの注入合併症のセッションへ。マニアックで聴衆は多くはないのですが、当たり前の合併症ではない興味深い症例を並べてオープンに議論します。

そのあとは、学会でのお役目は終了したので、やっと企業ブース巡り。日本にはない機器も含めて物色。







午後からは束の間の休息に観光。

そして夜便で月曜朝に帰国して、午後からは診療でした。


次の海外出張は来月のバンコク再び。

 

 

 

先週後半は休診とさせて頂き、バンコクで開催されたIMCAS Asiaに参加してきました。アジア最大の美容医療の学会。学術団体主催ではなく商業的な部分もありますが、近年は科学的な内容に努めるようにと各種の制限もあり、基本的には通常の国際学会との差が少なくなってきています。

私自身は10数年前から参加しており、今回も新しい情報など求めて出席してきました。

 

今回もいくつかの講演をするので、Facultyのバッジを頂きました。参加費は無料です。結構お高いので助かります。

 

学会前日に到着して受付を済ませ、夜はバンコク在住の日本人の知り合い(医師ではありません)と会食。楽しい夜を過ごしました。

 

私、実は辛いものが苦手で汗をかくのですが、less spicyでとお願いして美味しく頂きました。

 

翌日、学会初日。この日は講演2つと座長1つのお仕事。

まず最初は高周波機器の仕組み、作用機序と新しい機器の臨床結果について講演。マニアックな話をさせて頂きました。最近、アジアではオタクな医師として機器の理論を解説する仕事依頼が多いのですが、最近高周波機器が多数登場する中で、機器の違いがきちんと理解されていないことが多くなりました。もう一度その基礎理論を理解しようということで若い医師でも理解できるよう詳細な解説をさせて頂きました。

演者、座長の皆さんと。知り合いが多くてお気楽。討論も盛り上がりました。

 

お次は座長のお仕事。ピコレーザーについてのセッションでした。

これは少し時間が押して、あまり討論できず残念。

座長を一緒に務めたシンガポールのDr. Yongと。

 

休む暇も(水を飲む時間も)なく、次の講演へ。skin rejuvenationのセッションで超音波たるみ治療機器のSOFWAVEについてお話をしました。この内容は同じユーザーの先生方から共感を得たことも多くて嬉しかったです。インド人のドクターが質問してきたのですが、あまりの巻き舌に理解不能。座長のタイ人ドクターは理解されていて、優しく教えてくれました。なんとか乗り切り、終了。

 

演者、座長の皆さんと。

 

怒涛の1日目で、すでにバテバテでした。

 

国際学会では友人たちとの再会も大きな目的です。新しい治療機器や注入剤の手技、安全性など情報交換をします。今回も沢山の有益な生の情報を得たので、当院での治療に還元します。

 

大韓皮膚科学会の前理事長でMy brother(笑)の韓国Oh先生、古くからの友人San Ju Lee先生、日本から林寛子先生と。

 

他にもフロアで知り合いと会っては立ち話、一日中喋っていた感じです。

台湾Shangli Lin先生と。

 

ベトナムNguyen Ngan Kim先生と。彼女は2年ほど前に当院で2日間ヒアルロン酸注入などの見学をしたのですが、久々の再会となりました。今やベトナムの芸能人御用達だそうです。

 

そして夜は私の好きな蟹カレーのお店、Somboonへ。

バンコクに来たら毎回必ず訪れるお店です。

このあとは今バンコクで最先端というルーフトップバーTichucaへ。予約不可のため入場まで結構並びました。

上から眺めた写真。巨大なクラゲのようなデザインが面白く、若い人たちが沢山。

 

ということで、しっかり働きしっかり遊んだ1日でした。

 

 

 

 

先週は表題の2つの学会に参加、講演をしました。

まずは木、金曜日。日本美容外科学会JSASが都内で開催されました。この会は非形成外科系のDr.中心の学会ですが、近年は形成外科医の参加も増えています。むしろ形成外科系のJSAPSよりも規模が大きく、レベルも高くなっている部分があります。

10数年前から呼んで頂き、毎年のように講演しています。全般的には、最初の頃はかなり疑問符のつく内容も多かったのですが、最近ではこちらの方が勉強になることも多く、より新しいものを取り入れてる感があります。ただ、講演者のレベルは幅があり、学術的裏付けなく経験だけで話している先生も多い印象ですので、その点はやや差し引いて話を聞かないとミスリードされてしまうリスクはあります。でもまあ最近の商業的な国際学会も全く同じなので、世の流れなのかもしれません。一方のJSAPSが時にお堅すぎで盛り上がりに欠けるので、昨今の美容医療業界の流れに遅れてしまうのではないかとも思います。

最近の美容医療はビジネス主義が横行して、患者様を単なる金儲けの「物」として扱っていたり、「集客」ばかりに焦点を当てて、技量の向上が置いてけぼりになっている傾向にあります。一方では純粋な医療としてだけでなく患者サービス、主観的満足までを包括した医療をしなければならない面もあり、価格競争力、宣伝などビジネスも考え、全てのバランスを高度に保たなければなりません。形成外科医は長い間大学人として勤務しているためなのか、これらが苦手な人が多い印象です(特に年配の世代)。バランスって大事だなといつも思います。

話は逸れましたが、この学会では初日に機器によるたるみ治療のシンポジウム座長と講演を行い、また韓国の医療機器についてのランチョンセミナー座長、イブニングセミナーでのHIFU機器講演、そして2日目のフォトナ社セミナーの座長を務めました。

 

 

各セッション演者の先生方と。

 

2日目は朝のセミナーだったので、そのままクリニックへ移動し診療。バタバタしましたが、休診は最小限にしました。

 

そして翌日土曜日は熊本で開催された日本抗加齢医学会へ参加。

 

 

この学会は医師のみならず様々な医療関係者がアンチエイジングについて学ぶ学会です。サプリメントなどの講演も多く、少し自身の体の内的アンチエイジングのお勉強。日曜の朝はシンポジウム。見た目のアンチエイジングのセッションでHIFUによるたるみ治療について講演させていただきました。

 

土曜の夜は久々に大学の先輩、同期、後輩と一緒に食事会。抗加齢医学会は形成外科、皮膚科のみならず各科の医師が集まります。せっかくの機会なので熊本在住の同窓生も一緒に、久々にこのような集いができて楽しかったです。

 

熊本の名店ステーキハウスバロンでの食事でした。

 

まだまだ怒涛の学会参加は続きます。。。。

 

 

 

 

学会2日目。この日は2つ講演と座長のお仕事。昨日と異なり、気合を入れて。

朝一番は学会場が厳重な警備体制に。カメラマンも沢山。台湾の新しい副総統が来賓としてスピーチされるのです。

蕭美琴氏。ネイティブな英語スピーチ。調べてみると母親は米国人だそうです。ちょっと話を聞いただけで聡明で意思の強いすごい人だと分かります。こんな政治家が日本にいたらと思わせるような素晴らしい人物でした。ちょっと惚れてしまいました。

 

さて学会本番。機器治療のセッションで座長と講演。座長は私とCarl Cheng。古くからの友人なので息も合い、お気楽でした。私の講演内容は高周波治療を使いこなすというもので、各種高周波の基礎理論を物理的視点から解説、それを臨床にどう活用するかを説明しました。実は高周波に関しては海外も含めて医学的な詳しい解説書籍がなく、レーザーと違って学ぶことが難しいのです。私自身は各社の特許の書類に目を通してやっと理解できたので、できるだけ平易に説明することを心がけました。

英語でこの手の話をするのは医学ではない専門用語が多すぎて大変なのですが、なんとか上手くまとまったかなと思います。

 

その後の質疑応答の時間は全体で15分程度。まあまあ盛り上がりました。

演者みんなで記念撮影。

 

演者の一人、インドのQureshi先生とは初対面だったので、スピーカー用のラウンジで一緒にランチボックスを食べながらdark colored skinの治療について根掘り葉掘り質問して教えてもらいました。発表では聞けない色々な話を伺えるので、こういう時間は大事です。

 

午後はスポンサードセミナーにて講演。Jeisys Medical社のLinearZ(日本名ウルトラセルZi)についてです。つい先日台湾で承認されたばかりのホットな話題でしたので、この機器の使いやすさや多機能、多目的であること、臨床結果について発表しました。

左からEdward Tseng先生、いつもながらミニスカートでキメるShindy Hu先生、私、オーストラリアのSullivan先生(Sullivan先生はキャンデラ社のニードルRFの講演)。

ShindyとSullivan先生とは昨年5月の香港でのキャンデラバーチャルセミナー収録以来の再会でした。

 

これで学会も終了。夕方なので、もう帰国便はなくその日はお泊まり。早朝便で帰国して診療となりました。

早朝便はEVA航空。毎回のお楽しみは機内食で出る鼎泰豊の小籠包。

おすすめです。

 

 

今回の学会でも沢山の友人と再会し、また新しい友人と出会いました。私の宝物であり、この人間関係から得た情報、知識が診療の質向上へとつながり、患者様へ還元されると思います。

 

この学会出発の前日夜、実は講演をもう一つこなしています。国内向けのWebセミナー。冷却痩身機器クールスカルプティングについて。

下島久美子先生、古山登隆先生と。

 

ちょっとハードに働きすぎですが、今週はまた学会です。。。。

 

 

先週は金曜を休診にして、台北で開催されたAMWC Asia2024に参加してきました。開催以来ずっと参加している学会です。

 

 

私の仲良しのChao-Chin Wang先生が実務を仕切っており、毎年講演を依頼されています。

学会前日はWang 先生主催のクローズドなパーティー。日本からもう1人ということで麻布ビューティークリニックの加藤聖子先生をお誘いして参加。場所は台北101の捌伍添第85TD。名前の通り85階にある素晴らしい眺望の中華料理店でした。美味しく、楽しく盛り上がりました。

 

ちょうどAMWC本部の創設者であるChris Luino の誕生日という事でみんなでお祝い。

帰り道、私が派手に転ぶというオチがありましたが、幸い怪我なく。

 

 

さて、学会初日。

この日は講演なく、お勉強。最近流行りのbiostimulator, コラーゲンブースターのセッションが大盛況。ここ数年、ヒアルロン酸をはじめとする注入剤への医師の関心が高く、どの会でも注入系のセッションは人気です。それに比較して機器などはメーカーの情報以上の内容を提供する医師が少なく、ややセッションの人気が低い状況となっています。

注入剤に関しては医師が自身の手技を公開したり、リスクマネージメントなど日々の診療に即役立つ内容です。企業のシンポジウムもいくつか開催されていたので、そちらも拝聴。新しいアイデアを吸収して帰国後早速実践しましたが、なかなか良い仕上がりで患者様も喜ばれていました。

国内で公開される注入手技は基本に忠実すぎたりメーカーの意図が多々反映されている方法だったり、大量注入が推奨されたり、逆に根拠のないリスクをわかっていない独自法だったりが多いのです。ゆえに私はもっぱら海外の手技を参考に日々の臨床で注入をしています。

 

一日お勉強した後はspeakers dinner。ここでは沢山の友人たちと再会をします。そして新しい出会いもあり、学会参加へのお誘いなどもあるのです(今回もいくつかの国からお声がけいただきました)。

私も今年の11月10、11日に東京で開催されるAMWC Japanの告知スピーチを坪内利江子先生と一緒にさせて頂きました。私は初年度からこの会のscientific committee(学術委員)に任命されているので、新たなスピーカーも含めて参加交渉をするのですが、皆さん日本へ行きたい、自腹でも良いよという声も多くて嬉しかったです。

 

酔いも進むと写真撮影大会。

もっとたくさん撮りましたが、こんな感じです。みんな気さくで、素晴らしい友人たちです。個人的に沢山質問もさせていただいたし、私の拙い知識、情報も提供させて頂き、お互いブラッシュアップ。

 

2日目の様子はまた次回。

 

 

先日、このブログで同業医師向けに告知したガルデルマ社ヒアルロン酸のセミナー、GAIN(Galderma Aesthetic Injector Network) inspired セミナー が4月28日に開催されました。


我が国では2社のヒアルロン酸注入製剤が厚労省から認可されています。アラガンエステティックス(アッヴィ社)とガルデルマ社の製品です。ガルデルマ社の製品名はレスチレン。この製剤は歴史も古く、アレルギーなどの副作用の少ない、安全性が高い製品として有名ですが、日本ではマーケッティングが上手くいかず、その特徴を医師に伝えられないまま今に至っています。海外の学会では巨大な展示ブース、ワークショップ開催など精力的に行なっており、シンガポールなどで解剖のセミナーなども開催されています。私も何度か参加させて頂いています。ただ国内は今回のセミナーがガルデルマ社初と言っても良いほど。私自身ほぼ四半世紀の使用経験がある良い製品なので、これからはその長所など伝わっていくと良いなと思っています(もちろんもう一つの会社の製品群、ジュビダームシリーズもお気に入りで私は使っています)。

ヒアルロン酸注入製剤はその特徴を知り、患者状態によって使い分けていくことこそ大事です。どの会社が良い、悪いではなく、特性を熟知して使いこなすこと、そういった意味では医師個々に考えが違って当然であり、だからこそ技量の差が出せるのです。

特にレスチレンはその形状保持、馴染みやすさなどでは抜群の力を持ちますので、これを使わずしてヒアルロン酸注入を実施している医師はちょっと残念。

もちろん使いにくさも。シリンジから押し出す力は結構要します。しかしそれは形状保持力の裏返し。押し出しやすいとその凝集性で形を作ることになるので、面で支えることがやや難しくなります。最近主流となったカニューレによる注入のメリットを考えると、面で支えることは必須です。


話をセミナーに戻します。

前日は打ち合わせ。Sebastian Cotofana先生はご夫妻で参加です。

翌日の進行について注入の担当ドクターたちと共に。左から平田玲奈先生、田中亜希子先生、今泉明子先生、私、 Cotofana先生と奥様。

 

さて翌日。セミナー本番です。

 

私はmoderatorとして参加。


Cotofana先生が部位ごとの解剖学的解説をおこない、次いで日本人医師の注入動画と解説。私がここで、初心者、ベテランなどの聞きたいであろう質問、討論を織り交ぜつつ、進行していくという流れでした。基本的に進行は完全に任されていたので、何を質問するかはその場次第。それでも日本人医師、Cotofana先生共に完璧な答えでした。ありがとうございました。

ガルデルマ社の注入の基本はAART、これはAssessment, Anotomy,  Range, Treatmentの略です。決まりきった部位などはなく、しっかり診察して解剖を考え、適切な製剤を正しい治療で注入するという考え。施術者の能力を試される、安全面など含めて医師としては当然の事なのですが、しっかり勉強して患者様の満足度を高めるための概念です。もう一社とは全く異なる組み立てなのが面白いです。日本人はマニュアルのような注入手技が好きなので、ガルデルマ社の考えはやや難解ではありますが、私は大好きです。もちろん使用可能製剤が限定されるなど、日本ではまだまだ伝え切れない話もあるのですが、良い概念であると思います。

 参加者の学びになっていれば良いのですが、参加された皆さんはいかがでしたでしょうか。


最近は歳を取ったせいか、このような仕切りの仕事が多くなりました。美容医療の長年の流れを知り、それなりに経験を積んで、さらに海外事情にも通じているというのが私の取り柄らしいので、もう少しの間は業界のお役に立ちたいと思っています。


私自身も勉強になった会でした。


今回は完全な同業者向けの告知です。

4月28日にヒアルロン酸注入製剤の国内承認品であるRestylaneシリーズの医師向けセミナーが開催されます。

販売会社であるGALDERMA社の最大級のイベント。解剖でご高名なCotofana先生をお迎えして、3名のinjectorのドクターの手技と解剖を交えながら解説する非常に面白い企画です。ヒアルロン酸は国内で2社の製品が承認されていますが、国際標準であるGALDERMA社のコンセプトAARTなどを広く公開して製剤特性を活かした注入手技などを紹介するのは初めてだと思います。特に解剖をベースに危険なゾーンや効果的なポイントなどを討論しながら進めていきますので、きっと初心者からベテランまで満足していただけるものと思います。こんな機会は滅多にありません。

 

私自身はmodelatorとして全体の仕切りをさせて頂きます。

今回は同時通訳もつくようで、お気楽に仕事します。

 

 

私はこのReatylaneシリーズが国内販売を開始した当初からFacultyとして関わらせて頂き、パンフレットやコンセプトの作成にも関与してきたのです。

この製剤、世界的には非常によく知られた製品ですが、国内ではまだまだ認知度が低く、承認製剤であることを知らない医師も多くいます。グローバルな戦略からは日本はちょっと置いてけぼりとなっていますので、これを機に巻き返しを図るようです。私の関わる仕事も増えそうです。

 

もう少しだけ席には空きがあるようなので、医師向けにブログで紹介させて頂きます。

 

お申し込みはこちらから

 

 

 

先週後半は休診とさせて頂き、神戸国際会議場で開催された第67回日本形成外科学会総会・学術集会に参加してきました(会長:神戸大学形成外科 寺師浩人教授)。

今回のテーマは「ニッポンの形成外科へ未来を託す」だそうで、それに関連する様々なセッションが組まれていました。

私は形成外科専門医ですが、美容というのはその中のごく小さな分野です。形成外科の中に美容外科があり、さらに機器や注入を用いるノンサージカル分野というのはその中の少数派。ということで仕事に直結する情報はほとんど得られません。しかしながら現在の形成外科のトレンド、動きを毎年きちんと把握しておく必要があり、参加をしています。

今回の私の仕事は2つ。座長&講演と講演でした。

学会初日は午前診療。夕方に到着し、夜は美容外科医の先生方と会食。

 

学会2日目。

早朝にちょっとランニングしてから学会場へ。午前中は聴講してお勉強。

この日の仕事はランチョンセミナー座長と演者兼任で。

当院で人気のFotona社製レーザーを用いた口腔や下眼瞼結膜の粘膜照射によるたるみ治療のメカニズムについて講演させて頂きました。そして、引き続き長尾沙也加先生、荒尾直樹先生の講演の座長を担当。

 

セミナーは無事終了。満席近くの来場でした。

 

その後は企業ブースを巡って、夜は神戸牛の鉄板焼き。

Fotona Japanの代表、Bjelic Mileとともに。

 

学会3日目。この日もランチョンセミナーで講演。私が開発に関与したJeisys medical社製の高周波たるみ治療機器Densityについて、そのメカニズムの詳細、先行機種の国際特許を紐解いて機器の物理的な話をさせて頂きました。ちょっとマニアックすぎたかな。

ということで無事終了。金曜夜に帰京となりました。

 

 

そして週末はちょっとのんびりのはずが、日曜日はinmode社のセミナーに参加。座長の仕事でした。

inmode社は高周波の技術に優れた会社で、日本ではあまり知られていませんが、ニードルRFのMopheusは大ヒット商品。今国内に流通しているメーカーのものより世界では遥かに知られた優れた製品です。海外に行かない医師にとっては全くの初耳のような話ですが、このようなことが昨今の日本では沢山起こっています。

 

inmode社が設立されて最初の大きなイベント。海外から同社のkey opinion leaderのドクターたちを招いてフォーシーズンズホテル大手町で大々的に開催されました。

 

 

座長席からパチリと。結構な参加者数でした。

 

座長なのでお気楽。しかし長時間のお仕事でやや疲労困憊。

 

海外のドクターはポーズも決めます。。。。アジアンなおっさんは立ち尽くすのみ。

 

そして夜は懇親会ということで屋形船へ。

インターナショナルな1日となりました。

 

ということで、ややバテ気味ですが今日からまた診療再開。

 

 

 

 

 

 

当院で導入した新しいたるみ治療器デンシティDENSITYですが、患者様の評価が高く、連日施術希望者がいらっしゃる状況が続いています。やや予約が取りにくくなっておりますが、何卒ご容赦ください。

 

少し前にもブログで少し理論には触れましたが、ちょっと今回はマニアックなお話。

 

デンシティは従来のモノポーラ容量結合型RF機器サーマクールと同じ機構を持ち、深部まで作用して三次元的にたるみを引き締めますが、それだけではなくバイポーラ(双極式:2極間に電流を流す)という浅い部分に熱を生じさせるチップ(Hi-Tip)を有しており、ちょうどウルセラなどのHIFUが筋膜(SMAS)と皮下や真皮を焼灼するのと同じく2層に熱作用を及ぼします。2つのレイヤーを加熱することでよりダイナミックに引き締めること、直後の作用が強いことが特徴です。高周波機器で2つの層へアプローチできるのはデンシティだけです。いわゆるサーマクールコピー製品ではないのです(だからこそサーマクールとの使い分けもでき、引き立てられます)。新しいたるみ治療機器の分野になり得ます。

施術を受けられたほとんどの患者様は直後から顔が引き締まったのを自覚されますので、鏡でお見せしています。

真皮や皮下の一次収縮という熱によるダイレクトな線維組織の収縮と軽い炎症によるものであり、この炎症が収まると少し効果は落ち着きますが、引き続き生じる創傷治癒機転(傷を修復する作用)によってコラーゲンなどが増加し二次収縮が生じ、引き締め効果を得ます。

 

サーマクールをはじめとしたこれらモノポーラの容量結合型RF機器の特徴は電流としての高周波(RF)を深くまでしっかりと流して主に線維性結合組織をジュール熱で引き締めることです。これによって他では得られない三次元的な収縮を生じさせるのです。

ではなぜデンシティは浅い層に熱を生じさせる必要があるのでしょうか。そしてこれらは従来のバイポーラ高周波機器やソフウェーブなどと何が違うのでしょうか。

 

2つの特徴があります。

 

ひとつめ、容量結合型という構造への理解が必要です。容量結合型はインピーダンス(電気抵抗みたいなもの)の合致によって表面に電流を流さず深部に電流を生じさせます。これがないと深部へ高周波は電流としては流せません。モノポーラの容量結合型RF機器の最も重要な構造が容量結合というものを生み出すコンデンサ:誘電膜です。

さて、本来バイポーラ機器というのは最短距離を通るので、通常皮膚表層は少し濡らしてもインピーダンスが高く体表を電流が流れがちです。ここに容量結合が生じると従来バイポーラで通るべき電流の道よりも深い層に流れていくことになります。深さ、つまりは真皮を含めた深層を確実に加熱するバイポーラ。

二つめ、単純にバイポーラで照射しているのではなく、モノポーラとバイポーラ両方を1つの照射でおこなっています。電流をいくつかのパルスで発振して、モノポーラでの照射ののち最後にバイポーラ照射をおこなっているのです。このパターンが組織学的に最も深部へ熱が発生することがわかっています。

以上によって通常のバイポーラよりかなり深く電流が発生、加熱します。さらにはソフウェーブのように限局した層への強い熱ダメージではなく、広がりを持つので即時の三次元的な引き締め効果が生じます。これは肌質の改善も期待できるはずです。

 

難しい話となりましたが、理論はこんな感じです。

 

具体的にどれくらいのエネルギーで、どういうパルスの組み合わせで発振するのかの設定などを、昨年依頼されて試行錯誤しつつテストしてきました(今はソフトウェアの設定上簡便に表記されブラックボックスになっています)。

また構造的な問題についても初期からアドバイスして、トリートメントハンドピース、チップの改良を進めましたが、機器オタクの私にとって、まだまだ改良の余地はあると確信しており、実際に使用して新たな発見をしていきたいなと思います。

 

来月の形成外科学会総会・学術集会におけるランチョンセミナーでこの辺りの話はもっと分かりやすく、そしてさらにまだまだ書ききれない(一般の人には難しすぎる)特徴などを講演予定です。

オタクマインドがくすぐられる〜