論語ブログ拾遺章(28)
雍也第六 ①仲由は政に従わしむべきかⅰ
季康子問う、仲由は政に従わしむべきか。
子曰わく、由や果なり。政に従うに於て何か有らん。
曰わく、賜は政に従わしむべきか。
曰わく、賜や達なり。政に従うに於て何か有らん。
曰わく、求は政に従わしむべきか。
曰わく、求や藝あり。政に従うに於て何か有らん。
雍也第六 仮名論語68頁5行目
伊與田覺先生の解釈です。
季康子が尋ねた。「仲由(子路)は政治に当たらせることができましょうか」
先師が答えられた。「由は決断力があります。政治に当たるのに問題はありません。「賜(子貢)は、どうでしょうか」
先師が答えられた。「賜は何事にも通達していますので、政治に当たるのに問題はありません。「求(冉有)は、どうでしょうか」
先師が答えられた。「求は多芸多能ですので、政治に当たるのに問題はありません。
この章では、弟子が三人出てきました。仲由(子路)、賜(子貢)、求(冉有)です。三人共「孔門十哲」です。仮名論語142頁1行目ですね。言語に優れた子貢、政治に優れた冉有と子路です。
「季康子問う」この章は、魯の宰相であった、季康子が、仲由すなわち子路、賜すなわち子貢、求すなわち冉有の三人の弟子について、その政治家としての能力を孔子に問うた時の孔子の答えを書かれています。
孔子が魯の国を離れ14年間の放浪の旅をしました。そのきっかけを作ったのが、当時の魯の筆頭家老の季桓子です。その息子が季康子です。季桓子が死ぬ時、孔子を呼び戻せという遺言を残しました。それを実行して孔子を呼び戻したのが、季康子でした。
その季康子への孔子の答えが、「由や果なり」。由は果断・決断力があります。「賜や達なり」。賜は何事にも通達しています。「求や藝あり」。求は多芸多能・秀才です。「政に従うに於いて何か有らん」。政治をするくらいの事は何でもありません。
孔子は、弟子たちの才能に対する自信と愛情を語っています。
つづく
宮 武 清 寛
論語普及会
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