広島原爆記念日 2010 / 潘国連事務総長挨拶 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

広島原爆記念日 2010 / 潘国連事務総長挨拶

慰霊碑と原爆ドーム

国連事務総長メッセージ

私たちは今、この神聖な場所に身を置き、自らの目で見て、感じ、吸収し、そして深く考えます。

私は初の国際連合事務総長として、この平和式典に参加できたことを栄光に思います。

そして今、深い感動に包まれています。

広島と長崎に原爆が投下された当時、私はまだ1歳でした。

私がここで何が起きたのかを十分に把握したのは、しばらく後になってからのことでした。

私は少年時代を朝鮮戦争のさなかに過ごしました。

炎上する故郷の村を後にして、泥道を山中へと逃れたことが、私にとって最初の記憶の一つとして残っています。

多くの命が失われ、家族が引き離され…、後には大きな悲しみが残されました。

それ以来、私は一生を平和のために捧げてきました。

私が今日、ここにいるのもそのためです。

私たちは65年前に命を失った人々、そして、その一生を永遠に変えられてしまった更に多くの人々に対して追悼と敬意の念を表するため、一堂に会しているのです。

命は短くとも、記憶は永く遺ります。

皆さんの多くにとって、あの日はまるで、空を焼き尽くした閃光のように、また、その後に降り注いだ黒い雨のように暗く、記憶に遺り続けていると思います。

私は皆さんに、希望のメッセージを送りたいと思います。

より平和な世界を手にすることは可能です。

皆さんの力は、それを実現する助けとなります。

被爆者のみなさん、あなた方の勇気で、私たちは奮い立つことができました。

次の世代を担う皆さん、あなた方はよりよい明日の実現に努めています。

皆さんは力を合わせ、広島を平和の震源地としてきました。

私たちは共に、グランドゼロ(爆心地)からグローバルゼロ(大量破壊兵器のない世界)を目指す旅を続けています。



それ以外に、世界をより安全にするための分別ある道はありません。

なぜなら核兵器が存在する限り、私たちは核の影に怯えながら暮らすことになるからです。

そして、私が核軍縮と核不拡散を最優先課題に掲げ、5項目提案を出した理由もそこにあります。

私たちの力を合わせる時がやって来たのです。

私たちには至る所に新しい友や同志がいます。

最も強大な国々もリーダーシップを発揮し始めました。

国連安全保障理事会でも、新たな取り組みが生まれています。

また、市民社会にも新たな活力が見られます。

ロシアとアメリカは、新しい戦略兵器削減条約に合意しました。

私たちはワシントンでの核セキュリティサミットで、重要な進展を遂げることができました。

その成果を踏まえ、2012年には次回のサミットが韓国で開催される予定です。

私たちはこの勢いを保たねばなりません。

私は9月にニューヨークで軍縮会議を招集する予定です。

そのためには、核軍縮に向けた交渉を推し進めなければなりません。

それは包括的核実験の禁止に向けた交渉です。

また、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)に向けた交渉でもあります。

また、被爆者の証言を世界の主要言語に翻訳するなど、学校での軍縮教育も必要です。

地位や名声に値するのは核兵器を持つ者ではなく、これを拒む者であるという基本的な真実を、私たちは教えなければならないのです。

皆さん。

65年前、この地には地獄の炎が降り注ぎました。

今日、ここ平和公園には、一つのともしびが灯っています。

それは平和のともしび、すなわち、核兵器が一つ残らずなくなるまで消えることのない炎です。

私たちは共に、自分たちが生きている間、そして被爆者の方々が生きている間に、その日を実現できるよう努めようでありませんか。

そして共に、広島の炎を消しましょう。

その炎を希望の光へと変えようではありませんか。

核兵器のない世界という私たちの夢を実現しましょう。

私たちの子どもたちや、その後の統べての人々が自由で、安全で、平和に暮らせるために!


2010(平成22)年8月6日 

国際連合事務総長 潘 基文

広島平和記念公園にて



参列国


アイルランド
アメリカ合衆国
アルゼンチン共和国
アンゴラ共和国
イエメン共和国

イスラエル
イタリア共和国
イラク共和国
イラン・イスラム共和国
インドネシア共和国

ウガンダ共和国
ウクライナ
ウルグアイ東方共和国
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)
エジプト・アラブ共和国

エチオピア連邦民主共和国
エルサルバドル共和国
オーストラリア連邦
オマーン
オランダ王国
カザフスタン共和国

ガーナ共和国
カナダ
カメルーン共和国
グアテマラ共和国
クロアチア共和国

ケニア共和国
コスタリカ共和国
コソボ共和国
コートジボワール共和国
サウジアラビア王国

サモア独立国
ザンビア共和国
シリア・アラブ共和国
シンガポール共和国
スウェーデン王国

セネガル共和国
大韓民国
大リビア・アラブ社会主義ジャマーヒリーヤ
タジキスタン共和国
タンザニア連合共和国

チェコ共和国
チュニジア共和国
デンマーク王国
ドイツ連邦共和国
ドミニカ共和国

ナイジェリア連邦共和国
ノルウェー王国
ハイチ共和国
パキスタン・イスラム共和国
バチカン市国

パナマ共和国
パラオ共和国
バングラデシュ人民共和国
ブラジル連邦共和国
フランス共和国

ブルキナファソ
ブルネイ・ダルサラーム
ベトナム社会主義共和国
ベネズエラ・ボリバル共和国
ベルギー王国

ボスニア・ヘルツェゴビナ
ポーランド共和国
マーシャル諸島共和国
マダガスカル共和国
マラウイ共和国

南アフリカ共和国
メキシコ合衆国
モロッコ王国
ヨルダン・ハシェミット王国
ラオス人民民主共和国

ラトビア共和国
ルワンダ共和国
レソト王国
ロシア連邦

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代読ではなく直接平和式典で述べられた、潘国連事務総長の原稿(和訳)を、掲載させて頂きました。


また、今年の平和祈念式典 参列国(8月2日時点)も併記させて頂きました。


広島の平和式典の正式呼称は"広島市原爆死没者慰霊式 並びに 平和祈念式"です。

下の写真は、秋葉忠利広島市長・菅直人内閣総理大臣・潘基文国際連合事務総長と、平和公園のスナップです。

また、原爆ドームの内部をご覧になりたい方はコチラ⇒  ←☆

式典会場テント内
秋葉忠利広島市長菅直人内閣総理大臣潘基文国際連合事務総長
動員学徒慰霊式爆心地の碑と島外科


May the world be filled with peace and happiness.
(世界が平和と幸福で満たされますように)


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