今日の京都6月7日(金) | 都のかほり日記

都のかほり日記

京都、奈良、滋賀、神戸、東京。私のテリトリーです。
そこでのさまざまな出会いを綴っています。
仏像が大好きで、美味しいもの、スィーツ、美しいものが大好き。あちこちと出没しています。

おはようございます。
6月の声を聞くと、あちこちで祇園囃子が聞こえて来るようになりますね。
京都の夏には欠かせない祇園祭、今年も近づいてきました。

さて、昨日の6月6日、今年の祇園祭の長刀鉾のお稚児さんと禿さんが決まりました。毎年、5日までには発表がありますが、昨年は6月2日、一昨年も6月2日でした。発表の日程はお日柄をみるのかもと、調べたら、昨年の6月2日は大安、一昨年の6月2日は友引、今年6月6日は大安でした、来年は、このあたりをチェックすると、発表の日がわかりますね。

今年の、長刀鉾のお稚児さんです。
今年の稚児は洛央小6年西川雅基さん(11)で、東山区の料理店「祇園にしかわ」主人、西川正芳さん(49)の長男。禿は京都市立朱雀第七小学校2年生の小川門土君(7才)と京都市立洛央小学校3年生の西淵一登君(8才)が務めます。
三人は祇園さ々木の一門会の息子さんだそうです。
「祇園にしかわ」さん、「おが和」さん、「にしぶち飯店」さん。
「さ々木一門会」とは
https://www.kiwamino.com/articles/interviews/12644

昨日の長刀鉾のお稚児さん発表の様子です。
京都新聞の動画です。
https://youtu.be/QJBbE8Ok7F0?si=Wotg1Xc6Z1pDiaGi

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そこで、今日は祇園祭長刀鉾のお稚児さんのお役目についてご紹介していきます。

【祇園祭でのお稚児さん】



祇園祭は山鉾巡行と宵山が注目されて、それだけが祇園祭というイメージがありますが、それだけではありません。そして、山鉾だけが祇園祭でもありません。そのあたりは、少しずつお話していきます。

祇園祭は7/1の吉符入(きっぷい)り(神事始め)に始まり、1ヶ月間に渡り繰り広げられます。一般には前祭の17日の山鉾巡行と、24日の後祭り巡行が有名です。現在、全部で33基の山と鉾が巡行します。中でも、前祭の長刀鉾は天を突くようにかざす三条小鍛冶宗近作の長刀を特徴としています。長刀鉾は毎年巡行の先頭を行く“くじとらず”の鉾で、選ばれた生稚児が禿(かむろ)と共に搭乗します。かつては船鉾を除いた全ての鉾に稚児が載っていましたが、今では生稚児が搭乗するのは長刀鉾だけになっています。天明の大火(1788)で壊滅的な被害を受けた函谷鉾が天保10年(1839)に復興する際、稚児人形を用いたのをきっかけに、他の鉾もそれにならい人形に替えていきました。

現在の稚児です。

⚫ 長刀鉾の稚児:稚児と禿(かむろ=家来役の少年2名)の計3人
⚫綾傘鉾の稚児:正副6人
⚫久世稚児:綾戸国中神社(南区久世上久世町)の氏子から毎年2人
⚫馬長稚児:3人 

さて、この稚児、祇園祭でどのような役割を担い、どのようなことをしていくのでしょうか。

長刀鉾の稚児の夏です。

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⚫6月上旬
八坂神社訪問
稚児家訪問 八坂神社と稚児家へご挨拶。同行した長刀鉾町役員らと今後の
打ち合わせをします。
八坂神社宮司にもご挨拶。

⚫6月上旬から中旬
衣装合わせ 各神事で着用する衣装合わせが鉾町会所で行われます。
カラフルな振り袖や袴に、お稚児さん役達の笑い声。
稚児係が丁寧に着付けます。

⚫6月中旬
京都市長表敬訪問 長刀鉾町の役員、稚児・禿と両親・親族は京都市役所で、
稚児・禿を務める報告をし、市長からは励ましの言葉を頂きます。

⚫6月中旬の大安
結納の儀 稚児役の子を鉾町に迎える大事な儀式。八坂神社より神官を迎え、
稚児家に疫病防除の神「祇園牛頭天皇」を祀り、稚児家が汚されないよう
清祓の儀がとり行わ れます。 この日から稚児家の当主は毎朝祭壇への
お供えを欠かさないよう務めます。
その後、結納の儀がとり行われ長刀鉾町と稚児との養子縁組が成立し、
この日より稚児は鉾町の子供となります。

⚫6月30日
理髪の儀 翌日のお千度の儀に備え、稚児と禿の担当をして約二十六年以上の
理髪店にて、うなじの後ろの毛を“うろこ”に剃り込みます。
この儀は、吉符入の儀、曳初の儀、神幸祭の前日と、
計四回とり行われます。

⚫7月1日



お千度の儀 鉾町の役員や稚児係と共に、八坂神社神前に稚児に選ばれた事を報告し、
巡行の安全と神事の無事を祈ります。
稚児と禿は、京都でも三人のみと言われる顔師のお化粧によって
神秘的な美しさに包まれていき、禿を先頭に稚児は八坂神社境内へ。
父・祖父と言えども、稚児 と素手で手をつなぐ事は許されず
白い布越しに手を引きます。
鉾町の役員、稚児・禿、その両親と親戚が揃って本殿を千度廻り
参拝します。
実際には三回廻りますが、役員、お供の数を通算すると
千度廻った事になるそうです。

⚫7月1日
囃子方初顔合わせ 囃子方と、稚児家・禿家との初顔合わせです。稚児と禿も長刀鉾の浴衣に身を包みます。
囃子方がお祝いを込めて、神秘的で崇高な“祇園囃子”を披露します。

⚫7月2日
乗馬練習 社参の儀に向けて、八坂神社参道で乗馬練習。

⚫7月3日
稚児舞稽古 十七日の山鉾巡行の本番に向けて、稚児係の指導で会所二階にて
行われます。 稚児舞とは、山鉾が通る道を清め祓う舞で「太平の舞」と
言うそうです。 稚児の足はお父さんとおじいさんが支え、
稚児係は後ろから支えます。

⚫7月5日



吉符入の儀 
選ばれた稚児が初めて正式に町内の人々に紹介され、神に仕え
奉仕する事を神前に伝える儀式。
1999年までは八坂神社で行われていますが、町会所の新築により
鉾町で行われます。
理事長は、今年の稚児と禿の名簿を吉符として神前に納めます。
稚児は、蝶とんぼの冠と、青海波に鶴模様の藤紫色の振り袖に、薄緑紗の肩衣袴を着用します。
稚児家、禿家も正装して儀式に参加。
町会所の四条通に面した窓際で、時折、前に身を大きく乗り出しながらゆったりと太平の舞を舞い、天下太平と五穀豊穣を願います。

⚫7月5日
禿家訪問 太平の舞を無事披露した後、一同は禿の家へ。禿の親族一同も暖かく
お出迎えします。

⚫7月7日
綾傘鉾の稚児社参 保存会員の推薦を受け、綾傘鉾の稚児に選ばれた子供達が八坂神社を社参します。稚児達は山鉾巡行で傘鉾の先頭を歩きます。
綾傘鉾町内の子供に迎えられる結納の儀を済ませた稚児は、
水干を身に付け朱傘を差されて八坂神社の南楼門から境内に入ります。
本殿で神木の杉の葉を入れた「杉守り」や、稚児であることを認められる
宣状を神職から受け取り、本殿を3周し、本殿の正面と背後で手を合わせます。

⚫7月10日
清祓の儀
八坂神社から神官を招き、祭事の無事を祈願する儀式が鉾町で行われます。
稚児・禿の衣装、冠、扇子に、鉾建て、鉾の周り、蔵に至るまで
全ての物を清めます。
三条小鍛治宗近の打った大長刀で肩をさすると魔除けになると
言い伝えられ、全ての参列者も魔除けを行います。

⚫7月12日
曳初の儀
完成した鉾に巡行当日と同じ盛装で音頭取、囃子方が乗り込み、
町内を試し曳きします。 稚児と禿は初めて動いている鉾に乗れる日です。 
祭壇に柏手を打ち、曳初の安全を祈願してから鉾に乗ります。 
四条通りの鉾町より富小路通までの往復の試し曳き。
沿道は多くの人達で溢れます。 綱を引くと厄除けになると言われ、この時は女性や子供も曳く事ができます。

⚫7月13日
社参の儀





稚児が大名(正五位少将十万石)の位を授かる大切な日です。
白馬にまたがり大勢のお供を従え、八坂神社へ向かいます。 
お供は武士の家来役なので、全員裃姿で参列します。稚児は蝶蜻蛉の冠と金烏帽子を身に付け、神の使いへとその姿を
かえていきます。 禿もこの日は侍烏帽子の冠を付けます。
稚児を護る武士の役目を担っているのです。
この日から山鉾巡行のお務めを果たすまで稚児は神の使いとされ、
地面に足をつける事も許されません。食事や着替えなど一切の世話も父親が行うとされています。
馬上の稚児はそのまま八坂神社南門前の中村楼へと進み、長刀鉾町理事長から
祝いの言葉を頂いた後、 稚児家主催の「直会」が行われます。
稚児達は厄除けの稚児餅を頂きます。

この日、久世駒形稚児も社参します。
京都市南区久世の綾戸国中(くなか)神社は素戔嗚尊の荒御魂(あらみたま)、八坂神社は和御魂(にぎみたま)を祭り、久世駒形稚児は毎年、氏子の男児から選ばれ、神幸祭と還幸祭でそれぞれ馬に乗って神輿を先導します。

⚫7月14日
松原中之町表敬訪問 古式一里塚松飾りの神事です。中之町には脈々と受け継がれる伝統と
神を敬う心があります。 町家の奥に祀られたお社に疫病を鎮める
お祈りを捧げます。

⚫7月14日~16日
八坂神社参拝
三日間、毎日八坂神社に参拝して巡行の無事を祈り、霊験あらたな
おけら火を頂いて 鉾町へ持ち帰ります。
おけら火を頂いたら末社参り。数多く点在するお社を一つ一つ参拝しながら廻ります。 そのまま一行は、夕闇迫る四条通を鉾町に向け歩みます。
稚児と禿が鉾の上に立つと、拍手が沸き上がります。 宵々々山、宵々山、
宵山と、街は百万人を超す人でごった返し、祭気分は最高潮に達します。

⚫7月16日
注連縄切練習 長刀鉾の最も重要な儀式。注連縄を太刀で切り、結界を解く事が
できるのは稚児だけなのです。

⚫7月17日
山鉾巡行

全国に流行した疫病を退散させるため、災厄の除去を行った事に由来する
祇園御霊会より 一千百年もの間、連綿と引き継がれてきた山鉾巡行です。
絢爛豪華な衣装を身にまとった稚児は強力の肩に担がれて鉾の上に。
禿は先頭を歩きます。 沿道を埋め尽くした見物衆の前にて堂々とした
「見返りの稚児」。その瞬間「いよー日本一!」。観客の声援も一段と
高くなります。



祇園囃子が響き渡る都大路。長刀鉾が巨体をきしませ、注連縄に近づいてきます。 長刀鉾理事長が、奉行役の市長に巡行の許可を頂きます。 多くの観客の前で稚児舞を披露。いよいよ注連縄切。
緊張は最高潮に達します。
一刀両断。注連縄切を成し遂げた瞬間、沿道からはどよめきと
割れるような拍手が沸き起こります。




この注連は厄除けになるそうで、
沿道の観客が我先にと 飛びつきます。
総重量約12t、高さ約25mの巨大な鉾が角を曲がる時、地面に青竹を敷いて、水を撒き、音頭取、車方と五十人の曳き手が心をひとつにして、
豪快に辻廻し を行います。
三十二基の山鉾の先頭を行き、太平の舞、注連縄切りを終えた稚児・
禿は、 大勢の人々に見送られて、静かに鉾を降ります。

⚫7月17日
お位返しの儀 
正五位少将のお位を返上し、全ての大役を成し遂げた稚児・禿は、
これより普通の少年に戻っていきます。
こうして、稚児の熱い夏が終わります。

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さあ、いよいよ祇園祭が近づいてきます。あちこちで、コンチキチンとお囃子が聞こえてきます。

どうぞ、今日もお元気で笑顔で楽しい1日でありますように!
行ってらっしゃい!

【今日の京都令和6年6月7日(金)】(No.3490)


※掲載の情報等が変更になる場合があります。お出かけ前にご確認ください。

中止になっている行事もあります。
お出かけの際にはご確認の上、お出かけください。

https://ja.kyoto.travel/news/format.php?id=143

○ 高祖報恩大会/聖護院門跡



修験道の開祖 役行者は大宝元年(701)6月7日に箕面天上ヶ岳において昇天されました。以来、聖護院ではこの日を宗門の聖日と定め、高祖役行者の遺徳を偲んで法要を執り行っています。
高祖報恩大会は茶道速水流宗匠による献茶式、法華経三味供、採橙大護摩供などが盛大に修され、当日限定の特別祈願札に、諸願成就の御利益を祈祷いたします。
法要当日はライブ配信されます。

10時頃:茶道速水流宗匠による献茶式
13時頃:法華経三味供
15時頃:採橙大護摩供

ライブ配信
6月7日開始
それぞれの行事ごとにご覧ください。
https://www.shogoin.or.jp/annual/kousoe/


アクセス市バス 熊野神社前 徒歩約5分

ホームページ
https://www.shogoin.or.jp/

○ 春の神苑無料特別公開/平安神宮



花菖蒲が咲く6月上旬に1日だけ平安神宮の神苑が無料公開されます。
苑内には、約200品種、2000株もの花菖蒲が咲き誇ります。
日程6月7日(金)
8:30~16:30
アクセス
地下鉄東西線「東山駅」下車、徒歩10分
市バス「岡崎公園美術館・平安神宮前」下車
ホームページ
http://www.heianjingu.or.jp/

○ 春の特別公開(〜6/30)/宝厳院
 
○ 御土居の青もみじ(〜6/30)/北野天満宮

○春の特別拝観(〜6/16)/瑠璃光院 

○ 貴船の川床(〜9/30)

○ 鴨川納涼床(〜9/30)

○あじさい苑開園(〜7/7)/三室戸寺

○ 紫陽花苑の公開(〜6/30)/藤森神社

○ 初夏の庭園特別公開(〜7/10)/建仁寺両足院

○ あじさいウイーク(〜6/30)/柳谷観音

○茅の輪くぐり(〜6/30)/車折神社


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