今日の京都5月28日(火) | 都のかほり日記

都のかほり日記

京都、奈良、滋賀、神戸、東京。私のテリトリーです。
そこでのさまざまな出会いを綴っています。
仏像が大好きで、美味しいもの、スィーツ、美しいものが大好き。あちこちと出没しています。

おはようございます。
今日から明日にかけて、台風1号や前線の北上もあり、広い範囲で、線状降水帯の発生の可能性もあり、JR西日本では、大雨の状況によっては運転とり止めもあるそうです。雨の状況、交通機関の情報に注意してください。

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さて、今日は「業平忌」です。

「業平忌」は京都の十輪寺と奈良の不退寺で行われます。



京都十輪寺



奈良不退寺

【在原業平とは】




在原業平
出典Wikipedia

[生]天長2(825)
[没]元慶4(880).5.28.
平安時代前期~中期の歌人。六歌仙、三十六歌仙の一人。平城天皇皇子阿保 (あぼ) 親王の第5子。母は桓武天皇皇女伊登 (いと) 内親王。天長3 (826) 年在原姓を賜わり、従四位上、右近衛権中将にいたった。在中将、在五中将とも呼ばれる。『伊勢物語』の主人公に擬せられ、その奔放な行動と情感のあふれた歌によって小野小町と並称される。『古今集』以下の勅撰集に 90首近く入集。家集『業平集』が『三十六人集』中に収められている。二条后高子 (たかいこ) や斎宮恬子 (てんし) らとの恋愛、東下り、惟喬 (これたか) 親王との親交などが虚実入り交って伝えられ、謡曲『杜若 (かきつばた) 』『井筒』をはじめ多くの文芸作品の素材となった。その子に棟梁 (むねやな) 、滋春 (しげはる) 、孫に元方 (もとかた) らの歌人がいる。容姿が美しく、後世、美男の代名詞とされた。

出典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

【なうてのプレイボーイ】
六歌仙・三十六歌仙の一人で、容姿端麗で情熱的な和歌の名手だったため『伊勢物語』の主人公とされています。枕を共にした女性は若い娘から上は99歳まで、その数は3733人と伝えられ、才女の小野小町も名を連ねています。

どうして、3733人の女性とってわかるのでしょうか?日記にでも記していたのでしょうか?この数字がすごいのかどうかはわかりませんが、名うてのプレイボーイであったのは間違いなさそうですね。

このあたりのことについては面白い記事を見つけました。

http://www.sankei.com/smp/west/news/150213/wst1502130051-s.html

http://www.sankei.com/smp/west/news/150226/wst1502260007-s.html 


【百人一首の在原業平】
昨日の投稿で百人一首を取り上げましたが、百人一首に収められた業平の歌をご存知の方もいらっしゃるでしょう。
⚫ちはやぶる神代もきかず龍田川 から紅に水くくるとは(十七 在原業平阿朝臣)

(訳)
不思議なことの多かった神の時代でさえ聞いたことがありません
龍田川が水を鮮やかな赤にくくり染めするなんて 

そうです。あの映画「ちはやふる」の歌です。




【伊勢物語】

全百二十五段からなる『伊勢物語』は、在原業平の物語であると古くからみなされています。

それぞれの冒頭が「昔、男……」と始まり、その多感な「昔男」の恋愛、友情、流離、別離など多岐にわたる内容が、和歌を中心に語られる小編の物語集。その章段は、流布本(定家本(ていかぼん))で125段だが、伝本によって多少増減がある。この「昔男」は在原業平に擬せられてもいて、その「初冠(ういこうぶり)」(元服)の段から、死を自覚した「辞世」の段に至る一代記的な構成をとっている。しかし配列上、厳密な年代順でもなければ、各章段相互の関連も緊密でない。詠まれている和歌が業平の実作という点から、とくに業平の実話ともみられる章段に、「西の対(たい)」「芥河(あくたがわ)」などの段の二条后高子(にじょうのきさきたかいこ)との許されぬ恋、「狩の使」などの段の斎宮(さいくう)との禁断の恋、また「渚(なぎさ)の院」などの段の落魄(らくはく)の惟喬(これたか)親王との主従関係を超えた親交、「東下(あずまくだ)り」などの段の東国への漂泊に生きる者のわびしく孤独な話、あるいは「さらぬ別れ」の段の老母との死別を悲嘆する話などがある。しかし近時の研究では、実際の業平は東国に漂泊したこともなければ、二条后や斎宮との恋愛関係もなく、惟喬親王との親交も姻戚(いんせき)関係以上ではなかったとして、その実像と虚像が峻別(しゅんべつ)されるようになった。したがって、この物語は、業平実作の和歌を主軸にしながらも、業平の実像をはるかに超える虚構の広がりをもっている。たとえば、田舎(いなか)の少年少女の恋とその結末を語る「筒井筒(つついづつ)」の段の話、夫の出奔後に再婚した女が元の夫に巡り会う運命の皮肉を語る「梓弓(あずさゆみ)」の段の話など、地方的、庶民的な章段も含まれている。この物語には和歌が209首(流布本による)含まれているが、そのうち、業平実作とみられるのは35首。ほかは『万葉集』『古今集』『後撰(ごせん)集』『拾遺(しゅうい)集』『古今六帖(ろくじょう)』などの、業平以外の和歌を「昔男」の作に仕立てていることになる。しかし部分的に業平実作の和歌が含まれるところから、「昔男」が業平その人であるという印象を与える。また、この「昔男」という呼称が不特定の人称であるところから、一面では業平に即しながらも一面ではその実像から離れることもできるという独自な方法たりえている。それと関連して、一段一段の話も一面では関連しあいながら、一面では独立性をもちえてもいる。また作中の和歌は、単に情緒を添える程度ではなく、物語の中心に据えられて主題性を担い、作中人物たちが和歌を詠むという行為に重大な意味が込められている。しばしば、和歌を詠み上げるという行為自体が、その人物の存在の証(あかし)とさえなっている。したがって散文(詞章)も、和歌の叙情性を極限的に高めるべく、時と人と事柄の推移を的確に語り進める簡潔な表現となっていて、歌集一般の詞書(ことばがき)が詠歌の経緯を説明する固定的な文体であるのとは異なっている。ここでは、中心をなす和歌へ向かって推移する求心的な文体を形成している。[鈴木日出男] 

出典
小学館日本大百科全書(ニッポニカ) 

【折句とは】
この『伊勢物語』の中で、折句という、
暗号のような手法を使った和歌があるのをご存知でしょうか。

東国の方へ、友達としている人一人二人を誘って行った。三河の国八橋という所に行 ったとき、その川のほとりに、かきつばたの花が面白く咲いているのを見て、木蔭に 馬から下りていて、かきつばたという五文字を句のはじめにおいて、旅のこころを詠もうとして詠んだ歌 

⚫から衣きつゝなれにしつましあれば はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
(古今集 羇旅 在原業平阿朝臣)
(訳)唐衣を着慣れるように親しんだ妻が都にいるのではるばる遠くまでやってきた旅をしみじみ思うことだ

折句(おりく)の見本といわれる歌です。
折句は句の頭に何かの言葉を折り込むものです。
五つの句の頭を順に読むと
「か・き・つ・は・た」(かきつばた)となります。

か らころも
き つつなれにし
つ ましあれば
は るばるきぬる
た びをしぞおもふ

このように各句の始めに詠みこんだ言葉を「冠(かぶり)」、
各句の終りに詠みこんだ言葉を「沓(くつ)」と呼びます。

そうすると、この歌の場合、「かきつばた」は「冠」になります。また、各句の終りに、古い由緒のある八橋と、流れに揺らぐ川藻のことが、「ふるはしも⇒古橋・藻」と詠みこまれている
と見るならば、これは「沓」になります。



この句を題材として描かれたのが、
尾形光琳の 
『燕子花(かきつばた)図屏風』です。

光琳展より

暗号的な和歌。
奥が深いですね。
言葉遊び、楽しんでみませんか? 

参考

http://www.geocities.jp/yasuko8787/z019.htm 

【十輪寺について】



業平忌の行われる十輪寺は天台宗の古刹です。850年(嘉祥3)文徳天皇が染殿皇后の安産祈願のため伝教大師作の延命地蔵を安置したのが起こりです。在原業平晩年閑居され、塩焼きの風情を楽しんだと言う、塩がまの旧跡と宝篋印塔があります。毎年5月28日は業平忌三弦法要。又、花山法皇が西国観音霊場を再興された時に背負った草分観音があります。6月第3日曜日午後1時より「声明と三弦を聞く会」、8月23日本尊地蔵尊秘仏ご開帳午前10時から、11月23日午後1時より「塩がま清めの祀り」があります。
こちらの十輪寺には業平桜と呼ばれる樹齢200年の枝垂れ桜があります。



こちらの十輪寺の見どころの一つとして、本堂の屋根が「お神輿」の形をしているところです。
この屋根の形は「鳳輦形(ほうれんがた)」と呼ばれています。



本堂の裏山には業平のお墓と塩竈があります。

在原業平の墓



塩竈



また、十輪寺では、ひと月ごとに御朱印か変わります。特に、業平忌のある5月は特別な御朱印の授与があります。御朱印を集めていただいている方には珍しい御朱印をいただく機会かと思います。



十輪寺は京都の町中からだと遠いです。
善峯寺へ行く途中にありますので、善峯寺にお参りに行かれる時にお立ち寄りになられてはいかがでしょうか。

日本の文化は、奥が深くて楽しいと思わせてくれますね。ストレートではない言葉の用い方。
四季の美しさを織り込んだ芸術の数々、
また、楽しんでいきたいですね。

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どうぞ、今日もお元気で笑顔で楽しい1日でありますように!
行ってらっしゃい!

【今日の京都令和6年5月28日(火)】(No.3480)


※掲載の情報等が変更になる場合があります。お出かけ前にご確認ください。

中止になっている行事もあります。
お出かけの際にはご確認の上、お出かけください。

https://ja.kyoto.travel/news/format.php?id=143

○業平忌/十輪寺

平安時代の六歌仙の一人、在原業平が晩年を過ごした十輪寺で、業平の命日にちなみ、同寺伝統の三弦法要が営まれます。法要は三弦による読経。献花、声明舞、一弦琴、京舞などの奉納があります。
十輪寺は、別名「なりひらでら」とも呼ばれ、6月第3日曜に「聲明と三弦を聞く会」、11月に「塩竈祭」と、業平にちなんだ行事が行われます。
日程5月28日 
法要は12時より
拝観料 1000円
アクセス
JR京都線「向日町駅」・阪急「東向日駅」から「善峰行」の阪急バス「小塩十輪寺」~徒歩1分

ホームページ
http://narihiratera.seesaa.net 

○ 春の特別公開(〜6/30)/宝厳院

○ 伏見名水スタンプラリー(〜5/31)

○ 春の特別拝観(〜6/2)/相国寺
 

○ 御土居の青もみじ(〜6/30)/北野天満宮

○ 霊宝館春季特別公開(〜5/31)/清涼寺

○春の特別拝観(〜6/16)/瑠璃光院 

○ 新緑特別拝観(〜5/31)/妙覚寺

○ 貴船の川床(〜9/30)

○ 鴨川納涼床(〜9/30)

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