ことばの毒……その12『気が利かないなあ』 | みやこのこのみ

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ライター&ライフスタイルコーディネーター、前川みやこのブログです。
日々の生活の中で、心にピピッと響いたもの、こと、ひと、ことばなどを
つれづれなるままに書き綴ります。

先日、グローバルに活躍されている女性達と話していて、
日本人独特コミュニケーション文化の話で盛り上がった。

ポイントは、コミュニケーションに於ける言葉の比重
欧米人は、何事も言葉で伝えるのが当然だと言う。
日本人の場合は、基本的に
言わなくても気付くことの大切さを重んじる

気が利く
気働きがある
気配りができる


は、日本では最高の誉め言葉だ。
『空気が読めない(KY)』
なんて言葉が悪口として流行るのは
まさしく日本ならではの現象というわけだ。

相手の気持ちや、場の雰囲気を考えて動く
というのは、確かに欧米人には理解できないだろうが、
そうやって、他を重んじる心遣い
それを「素敵だな」と感じる日本人の感性
とても素晴らしいと、私は思う。

のだが……
それを自分の基準で相手に押しつけたり
強要したりするのは、これまた本末転倒というもの。

「あいつ、気が利かないなあ」
という言葉の中に、
あなたの傲慢さが潜んでいることに気をつけよう。

隅田の花火

これは、よくある夫婦の話

日曜日は少し遅めの時間に起きて、
夫婦でゆっくり朝食をとる。
リビングに差し込む初夏の陽射しが心地いい。

夫はマンデリンのブラック濃いめ、
妻はミルクを泡立ててカプチーノにした。

新聞を拡げて読む夫は、まだ少し寝足りないような、
ぼんやりした平和な顔をしている。

「そうそう、昨日、横浜のお母さんから電話があって、
お父さん、先週退院したんだって」
「あ、そう。ま、大した病気じゃなかったからな」
「そうね。でも治ってよかったわね」
「しばらくはまだ病院通いだろうけどな」
「様子を見に帰らなくていいの?」
「うん、時間ができたらな。お見舞い送っておいてくれたんだろ?」
「え? 送ってないけど……」

ガチャ! 
夫がカップを荒っぽく置いて、不機嫌そうに妻をにらむ。
「お見舞いぐらい送れよ、気が利かねえなあ!」

いつもの休日のまったりした空気に、
ピリピリと緊張感が走る。
冷めたカプチーノがやけに苦い。


気が利くとは、気配りができるということ。
もちろん、妻が夫に気を配るのは大切なことだ。
しかし、この場合、夫は妻の気配りを、
自分にとって都合良く動いてくれるか否かで判断している節がある。

今回は、お見舞いを自分の代わりに送っておいて欲しかったのに
送っていなかったので「気が利かない」
これれがもし、自分が買ってお見舞いに行こうと思っていたのに
妻が既にお見舞いを送っていたとしたら、
今度はきっと「勝手なことするな!」になるのだ。

気配りはとても素敵な日本人的心だけれど
強要するものではありません

「悪いけど、お見舞い送っておいてくれる?」
夫がひと言そう言ってさえいれば、
その日も、コーヒーのよい香りが漂う、
気持ちのいい休日の朝だったはずなのに。

黄色い花

親しければ親しいほど
「言わなくてもわかってくれるだろう」
と甘えてしまうもの。
会話の大切さを、改めて感じますね。ラブラブ





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