世界が一つになる場合に、異質的なものに対する理解と寛容ということ、これが絶対に必要だと思います。
中村元(はじめ)
近代の開始と共に宗教の権威は衰えまして、国が力を持ってくる。国家形成において巧みであった民族が世界史のリーダになったわけです。
国が絶対的なものと思われましたけれども、今日になりますと国々を超えた一つの地球共同体というものを、みんなが考えなきゃいけないところまで来ていると思うんです。
何が起きても、地球の上でどこで何が起きても、すぐそれが地球の上のあらゆる国々、さらにその国々の住民の生活にすぐ影響が及んでくるわけですね。
以前には、支配者が非常に乱暴な野蛮な行為をしても、また文明の回復ということが可能だったんです。
つまり、その力の及ばない範囲がありましたから、そちらからまた優れた文明の伝統を取り入れまして活かせばよかった。
ところが、だんだん世界が一つになってきて、何かおきますと、今度はいっぺん破壊してしまったら、もうとりかえしがつかない、この危険はあるわけです。
世界が一つになる場合に、異質的なものに対する理解と寛容ということ、これが絶対に必要だと思います。
貫井投稿