花 224 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

「あ、ありがとうございます。すみません、そんなことまで………」
「いえ。何かプレゼントしようにも、まだ櫻井さんの好みをあまり把握してないし、昨日のあの勢いのまーくんならきっと何かすごいものあげるだろうしなあと思って。なら、おれにしかできないことを、と」





にっこり。





いや、風間さん。


にっこりが全然にっこりに見えないのですが。





っていうか何てこった。


パンナコッタ。





『昨日のあの勢いのまーくんならきっと何かすごいものあげるだろうし』って。


当たっててまずこわい。


まだ言ってないけど、長袖の袖で隠れてて見えてないけど、この時計がバレたら俺は一体どうなるのか。





そしてまさか、俺の誕生日プレゼントがそれって。





普通思いつかなくない?そんな。





けど。


元上司があそこまでやって来て、それプラスあの人までってなったら。なっていたら。





そう考えたら。





「もうなあ、こんなこと言うたらあかんのかもしれへんけど、めっちゃおもろかったで」
「え、きみちゃん、風間ぽんが行くところ分かってて一緒に行ったの?」
「そうやで。新しい斧とナタまーくんに見せたろ思て来たところで風間に会うてな、にいちゃんのパワハラストーカー上司の元愛人とこ行く言うから、めっちゃおもろそうやんってついて行ってん」





よ、横山さん。





ちょっと何から突っ込んでいいのやら。





えっと、まず、今その腰からぶらぶら下げているのが、雅紀に見せたかったという斧とナタ?


恐らく雅紀は微塵も興味を示さないと思うのですが………。





それでもいいのか?


ええやろ、カッコええやろって、雅紀に言いたいだけ?


それはそれである意味すごい。





斧は小ぶりの斧だけど、刃の部分に専用の革っぽいカバーがついていて、横山さんみたいな人が確かに好きそうな、プロっぽい感じのものであった。


それがいつも作業道具を入れているウエストポーチ的な道具入れベルトにぶらぶら。


もうひとつはナタで、同じように革っぽいカバーがついていて、それが同じウエストポーチ的な道具入れに。





そのふたつの武器………いや、道具を持ったまま?一緒に行って?それで一体、アナタはナニを………。





「本当やめて欲しかったんだけど、おれが元愛人さんと話してる横できみちゃんずっとカバーを外した斧を持って振り回してて」
「………え?」
「これええやろ?カッコええやろ?よう切れんねんって」
「おい風間、下手な関西弁やめ。しゃあないやん。行ったはええけど、手持ちぶたさんでひまやったんやから」
「………え?ぶ、ぶたさん?」
「ぶたさんや、ぶたさん。でな?暇やなあってこいつ振り回しとったら、『うっかり』玄関とこの植木の枝切り落としてもうて」
「………え?」
「ごめんごめん言うてな」
「全然ごめんって感じじゃなかったけどね」
「だからしゃあないやん。わざとやないし」
「しかもきみちゃん、これ『うっかり』人の頭にあててもうたらシんでまうやろなあって言い出して」
「………え?」
「もしそうなったら俺のことちゃんと無実にしてやーって」
「………え?」
「風間もいいですよ、もちろんってノリノリやったやん」
「………え?」
「そりゃまあ、それぐらいの意地悪は許されるでしょ」
「………え?」
「かわいそうやったなあ?ねえちゃん顔真っ青にして、ぶるぶる震えてもうて」
「………え?」
「かわいそうって、きみちゃん。めちゃくちゃニヤニヤしながら、気ぃつけなあかんで?外歩いとったらどっかからこういうの飛んでくるかもしれへんとか言ってたくせに」
「………え?」
「風間だって言うとったやん。特に夜は危ないから気をつけて下さいって。しかもご家族のみなさんもとか」
「………え?」
「それ言うてから名刺渡して、何かあったらこちらまでご連絡ください。すぐにどこにでもお伺いします言うて。自分めっちゃばっきばきの目ぇしとったで」
「………え?」
「いやいや、そんなことないでしょ絶対。あの時は爽やかな風間スマイルだったはず」





そう言って風間さんは決めポーズ付きでスマイルを見せてくれたのだが。





それ、全然爽やかじゃないですから‼︎


横山さんの言う通り目がばっきばきですから‼︎





でもって想像するとめちゃくちゃこわい‼︎


ちょっとあの人に同情したくなるぐらいこわい‼︎





だって斧を持って振り回す金髪黒つなぎヤンキーと、ばっきばきな目でスマイルしながら物騒なことを言う弁護士でしょ⁉︎





絶対絶対敵にまわしたらダメな人たちじゃん‼︎


絶対絶対目をつけられたらやばい人たちじゃん‼︎





まじでこの人たちは、どこまでが冗談でどこまでが………。





え、本気じゃ………ないよね?


冗談だよね?もちろん。





何やら視界の端にうつったキラリと光るものに、何だろうと視線を向けたら。


横山さんが。





横山さんが‼︎





今しがた話題にしていた小ぶりの斧のカバーを外し、ぶんぶんと振り下ろしていらっしゃった。





え、あれで?


うっかり?


植木の枝を………?


あれがうっかり?


手からすっぽ抜けて頭にあたったら………?





え。





時計がバレて、うっかり俺の左腕に斧が落ちて来たり………しない、よね?





「これできっと、よっぽどのことがない限り何もしてこないと思いますよ」
「ハッ………ハイッ………ソウデスネッ………」
「よかったね、しょーちゃん」
「ハッ………ハイッ………ソウデスネッ………」
「どないしたん?カタコトやで、にいちゃん」
「ハッ………ハイッ………ソウデスネッ………」
「しょーちゃん?どうしたの?」
「………ドドドドドドウモシテマセンッ………ダダダダダダイジョウブ………」
「腹減ったんちゃう?」
「ハッ………ハイッ………ソウデスネッ………」
「いやぁ、我ながらいい仕事したなあ」
「ハッ………ハイッ………ソウデスネッ………」
「しょーちゃーん、だいじょーぶー?」
「ドドドドドドウモシテマセンッ………ダダダダダダイジョウブダイジョウブッ………」
「そんなに腹減ったん?松潤に電話したろか?今どこ?て」
「ダダダダダダイジョウブダイジョウブ………」
「あ、おれちょっと事務所で着替えてくる」
「………」
「しょーちゃん?おーい、しょーちゃーん」
「………ダイジョウブ………ダイジョウ………」
「もしもし松潤?今どこ?」





嗚呼。





この人たちが味方になってくれて良かった。本当良かった。心底良かった。


でも。





でも‼︎





薄れそうな意識の中で、うっすらとそんなことを思ったもちであった。










ふざけてまったく進まないゲラゲラ

Kちゃんと毎日こんな話ばっかしてます💧

楽しそうやろ?

米お待ちしてます✨