花 212 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

「まーくん‼︎昨日はごめんな‼︎ほんっまごめん‼︎」





翌25日の夕刻。





雅紀の誕生日をふたりきりで堪能し堪能し堪能し尽くしてからソイ御殿に帰ると、リビングには横山さんが居て、座っていたソファーから飛び上がるように立ち上がって謝りながらどかどかとものすごい勢いでこっちに来た。


そして雅紀のまわりにまとわりついて。





「わざとやないねん‼︎」





必死だ。





「ほんまに‼︎絶対‼︎まじでわざとやないねん‼︎にいちゃんち泊まるってすっかり忘れとったねん‼︎ヤスから荷物受け取って、急ぎやったらまーくんとこ持ったろ思て電話してもうたねん‼︎………ちゅうかまーくんむちゃくちゃツヤツヤになってへん?」





いや、勢いな。





昨日は雅紀から雅紀大好きお三人に電話禁止令が発令されていた。


電源切っとく宣言もされていた。


でも我々は揃って電源を切るのを忘れていて、そこに電話禁止令を忘れていた横山さんが電話をかけて来た。


それも運悪く、今から盛り上がるぜ〜⤴︎なタイミングで。





その言い訳というか、何故電話をしてしまったかの説明の勢いは、思わず身体を反らしたくなるほどの勢いだったのだが、最後が。


最後の、『まーくんむちゃくちゃツヤツヤになってへん?』が、何とも冷静すぎるツッコミで、思わずそれにツッコミそうになった俺である。





「え、まーくんはツヤツヤやのに、にいちゃん何でそんなげっそりなん?ちょっとやつれてんで」





ギクリ。





よ、横山さん?


あの、さっきまでの大慌ては何処へ?





何故あなたは急に雅紀と俺を交互に見比べて、ものすごく冷静にそんな。


しかもしばらく俺をじっと見て、ものすごく分かりやすく『あ』ってお顔をなさって。





ギクリギクリギクリギクリ。





これはもしや。





………バレるパターン?





「『そういうこと』?」
「そう。『そういうこと』」
「まっ………雅紀‼︎」





やばい、バレてる‼︎





っていうか雅紀‼︎


キミは本当どうしてそれを言ったら俺の命が危ないだろうということをぽんぽんぽんぽん言ってしまうかな⁉︎





慌てて名前を呼んで制したけど、バッチリハッキリ横山さんには聞こえてしまった後。





俺‼︎俺コロされるんじゃ⁉︎





「まじか‼︎え、最後までしたん⁉︎にいちゃん、まーくんとヤったん⁉︎」
「えっ………え、そ、それはっ………」





あれ?





俺はてっきり怒られるのかと思ったのだが。





俺の予想に反して、横山さんは驚きとニヤリが混ざった顔で俺に詰め寄っただけであった。





あ、あれ?





「ちょっときみちゃん。何でいちいちきみちゃんにそんな報告しなきゃいけないの?」
「そりゃ、俺の大事な大事なかわいいかわいいまーくんのことやねんから、気になるやろ。心配やろ」
「オレはきみちゃんのものじゃなくてしょーちゃんのものだから気にしなくていいし、心配もいい」
「ぶふっ………」
「はあ⁉︎まーくんにいちゃんのものになったん⁉︎やっぱヤったん⁉︎」
「うるさいよ、もう。オレもうとっくに大人なんだから、ほっといて」
「せやかて、まーくん。大人ゆうてもやな」
「どうせきみちゃんは10代のときにヤっちゃってるんでしょ?それで大丈夫なんだからオレなんか大丈夫に決まってるじゃん」
「………それ言われるとなあ、反論できへんなあ」
「でしょ?で、きみちゃんって何才で初めてだったの?」
「俺か?俺は15や」
「じゅ、15⁉︎」
「彼女と?」
「いや、そん時たまたま遊んでくれとった名前も知らんどっかのお姉さんちゃうか?」
「………え」
「………うわ。きみちゃんさいてー」
「なっ………⁉︎まーくん‼︎自分から聞いといて最低って何や最低って‼︎ひどいやろそれは‼︎」
「何言ってんの?さいてーでしょ。さいてーにさいてーって言って何が悪いの?」
「そんな何回も言わんでええやん‼︎若い頃の過ちや‼︎誰にだってあるって‼︎あるやろ⁉︎過ちのひとつやふたつ‼︎3つ4つ5つぐらい‼︎な⁉︎にいちゃん‼︎」





横山さんの初体験の話には驚いたものの、これはもしかして雅紀がわざと話題をそらしてくれたのかな?と安心していたら、だ。





必死か。


必死過ぎか。


そしてとばっちりか。





顔がくっつきそうな勢いで、俺に助けを求めるのが横山さんで。





「クソ真面目なしょーちゃんがそんな過ちするわけないでしょ」





ぐいっと俺の肩を抱き寄せて、横山さんから俺を救ってくれたのが雅紀。





雅紀って、『ああいうこと』のときは積極的ではあっても全面的に受け側なのに、こういうところは俺より全然男で男前で、俺はこういう雅紀に年甲斐もなくきゅんってしてしまうのだよ。きゅんって。





「………もしかしてにいちゃんがヤられたん?そうかあ。だからそんなやつれとんやな。にいちゃん、ケツ大丈夫か?」
「え?」
「しょーちゃん、オレ今からハウス行くけど、どうする?」
「え?」





えと。


あの。





横山さんがものすごく大きく誤解したのが分かったのだが、俺は本能的に横山さんとここに残ることに危機を感じ、ハウスと聞いて瞬時に行かねばと思い、雅紀とハウスに行くことを選んだ。





俺のケツは何もされていません。


やつれたように見えるのは、おそらく昨日今日と雅紀の手によりカラカラになるまで搾り取られたからです。





とは、言えないまま。





ハウス。


つまりオレンジくんに会いに。





「ヤスから預かった荷物、事務所の方に置いといたでなー」





背中に横山さんの声を聞きながら、俺は雅紀に手を引かれて、久しぶりのハウスに向かった。










米お待ちしてます🌾