花 203 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

今日は12月24日。


雅紀の誕生日。





俺的にはそれなんだけど、世間的にはそうではなく、クリスマスイブ。


しかも日曜日。





舐めてた。


クリスマスイブの日曜日を俺たちは舐めすぎていた。





行こ行こって、雅紀が運転する淡い緑の社用車で動物園に着いたはいいが、まず駐車場に停めるまでが長かった。つまり激混み。


30分ほど待ってやっと停められて、行こ行こってチケット売り場が行列だった。


やはり30分ほど並んでやっとチケットを買って、行こ行こって中に入ったら人人人人人だらけ。





動物を見ようにも必ず視界には人人人。人人人。





動物園動物園って、ウキウキと家を出たはずなのに、雅紀の顔はすっかり曇っていた。





「キリンにご飯あげたかった………」





しゅんと肩を落とす雅紀に、世間の冬休みが明けたらまた来ようと約束した。





それでも何とか園内を一周して、最後売店ででかいキリンのぬいぐるみと小さいリスのぬいぐるみを買った。


キリンは50センチはあるだろうか。





「昔キリンを飼いたかったんだよね」
「キリンをかう?ぬいぐるみを?」
「違う違う。本物を」
「え?生きてるキリンを?」
「そう。オレ小さい頃からずっと種ばっかだったから、パパンが心配して動物でも飼うか?って」
「それでキリン?」
「そう。キリンならいいけどキリンじゃないならいいって」
「犬とか猫じゃなくてキリンなの?」
「うん。犬とか猫じゃなくてキリンが良かったんだよ」





さすがと言うか何と言うか。





天才の発想は凡人にはナゾである。





ちなみにリスは俺がリスっぽいからだそうだ。





俺の何がリスなのだろうか。





やはり天才の発想はナゾである。





「他にも何かある?誕生日だし、何でもいいよ」
「ゾウも欲しいけど………あんまり増やすとベッドから落ちちゃうよね」
「え、もしかしてキリンとリスも一緒に寝るの?」
「うん。一緒に寝ようよ」
「そこにゾウもってなると………ベッドにはチンアナゴも居るから誰かが犠牲になるかも」
「そうなんだよね。どうしようかなあ」





………かっ。





かわいい。ねぇ、ちょっと待って。


この子本当にかわいいんだけど。





24ですよ?


本日めでたく24になった男が、キリンとリス持って、さらにゾウとか言ってるんですよ?


しかも一緒に寝るとか。





ちなみに、その『一緒に』に、俺もしっかりカウントされてるところが俺としてはめちゃくちゃ堪らなかったりしている。


顔なんかゆるむに決まっている。でろんでろんでどぅるんどぅるんだ。


職員の方に不審者と間違われて連れて行かれないようにせねば。





っていうか何故ぬいぐるみなのだろうか。


他の何かではダメなのか?





100歩譲ってキリンは昔飼いたかった、リスは俺っぽいでいいとして、ゾウの理由は?





………っていうか、一番ナゾなのはベッドにいらっしゃるチンアナゴであるが。





………いや。





いい。


かわいいからいい。


もういい。かわいいから許す。


かわいいは正義だ。


そう、つまり雅紀は正義なのだ。





「とりあえず今日はキリンとリスだけにしとく。また来るから、ベッドのスペース見て考える」
「うん。そうしよう。ちなみにうちのベッドじゃそのリスぐらいしか寝れないよ」
「あ、そっか。今日はしょーちゃんちだ」
「キリンも一緒に寝たかったらソイ御殿に………」
「やだ。今日はしょーちゃんち」





ぐっほうぅっ………





だからボディーブローだって。





そんな、俺が言い終わるより先にやだって。


しょーちゃんちって。





「ねぇ、しょーちゃん。お腹すいた」





俺がボディーブローによろよろしていると言うのに、このお天使はまた無邪気に。





やばい。





今日は俺、ずっと顔が直らないかもしれない。





どこで食べる?って聞きながら、どうしてもゆるむ顔を必死で引き締めた。










キリンと言えばプロデューサー🦒

が、分かる人は古参さんよね(笑)

プロデューサーに提出する時、ぬいぐるみ変更はしません宣言してから提出しました🦒

チンアナゴが元々ラッコだったのをダイオウグソクムシって言われて断固拒否してチンアナゴになった経緯があったからね。

キリンとリスは変えません‼︎って(笑)

『キリンを飼いたかった』はもちろんCMです♪