花 180 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

こわい。





って、思ったのが多分、間違いだった。


そう思った瞬間。飲まれた。俺は。





完全に。


カラスに。





カアアアアアッ………


カアアアアアッ………





カラスは鳴いた。





そして徐々にその鳴き声は増えた。


徐々に………どんどんと、増えた。


曇天の下、あちこちから聞こえた。





しかも増えたのは、鳴き声だけではなかった。





飛んで来た。


あちこちから。カラスが。


その集まって来たカラスたちはまるで俺を見ているようだった。


俺に向かって鳴いているようだった。





気のせいだよ。


そんなこと、あるわけがない。





頭ではそう思うのに、身体と心がそうは思ってくれなかった。





落ちている人形が、さっき落ちて来た、見るも無惨な人形が、5分後の自分のように思えた。





いやいや。


何言ってるんだよ。


カラスが人間を襲うとか、ないだろ。


あいつらが興味を持ちそうなものを、俺は一切何も持っていないのに。





いやでも、もしもあんな尖ったくちばしで眼球とかつつかれたら。


眼球とは言わなくても頭とか、全力で突進されて、全力でつつかれたら。


それも、この数に。





さっきまで10羽ぐらいだったカラスが、20羽30羽と増えて来ている。まだ増えていく。遠くから飛んで来ている。


木の上に。ハウスの上に。ソイ御殿の上に。





そのうちの数羽が示し合わせたようにバサバサと飛び上がり、曇天をバックにぐるぐると旋回を始めた。俺を中心にして。





………俺。





本気で、狙われてる?





バサバサバサバサッ………





新たに飛んで来たカラスたちが、俺を囲うように地面に着地した。


そのまま少しずつ、少しずつ、こっちに向かって来る。無言で。鳴きもせず。





え、待って。これ。





本当に………カラス?





カアアアアアッ………


カアアアアアッ………





カアアアアアッ………


カアアアアアッ………





上空のカラスが、俺の上で鳴く。


さっきより旋回の高度が下がっているような気がするのは気のせい?





カラス型のUFO。


カラス型の宇宙人。





二宮先生の言葉が、カラスと一緒に旋回する。ぐるぐるする。





どんなファンタジーだよ。


ファンタジーってかもはやメルヘンだろ。カラス型のUFOだの宇宙人だの。





自分の突っ込みから、連想ゲームみたいに丸山さん、丸山さんの言葉、オレンジの葉っぱを思い出した。





いつもやたら、あちこちに、あり得ないところにまで落ちているオレンジの葉っぱ。


『オレンジくんの』葉っぱ。





いつまでも俺の中で魚の小骨みたいに引っかかっている『盗聴器』って言葉。





ドッドッドッドッドッ………


ドッドッドッドッドッ………





もうすでに早くなっていた鼓動が、さらにスピードを上げる。





もし、オレンジくんの葉っぱが本当に『盗聴器』で、俺や闊歩していた5号くんが気づかない、事務所のどこかにさっき落ちていたとしたら。





脳内で勝手にリピートされる、今さっき『タイミングよく』落ちて来た無惨な人形。


前にハウスの外に出た後、『タイミングよく』シんだ鳥。





今、完全にひとりの………俺。





カアアアアアッ………





上空のカラスの、それはまるで、号令。





ザアアアアアアア………





号令に従うかのように、続く風。





そこに。





ザッて。


何かの、地面を踏みしめる音が後ろで。





「………っ」





恐怖に全身を縮めながらも、反射的に振り返った俺の視界に。





「うわああああああああああああああああああああっ………」





今までの俺の人生で、リアルで、現実で、一度たりとも見たこともない、得体の知れないモノが。





………うつった。










翔さん何見たのおおおおお⁉︎って方は米ください🌾

しかし。

イマイチこわく書けないのよね。

こわいのってむずい。