花 178 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

うぃんうぃんうぃんうぃん………





5と書かれたテープが貼られたル◯バくんがのんびりと闊歩する事務所。





に。





カタカタカタカタカタカタ………





風間さんの超高速タイピングの音。





リーフシードの事務所に、今俺は風間さんとル◯バくんの三人である。





ちなみに1と4が貼られたル◯バくんはソイ御殿1階。


2と3が貼られたル◯バくんはソイ御殿2階をうぃんうぃん闊歩している。


ちなみにちなみに、番号の振り分けに特に意味はないらしい。


1から5の中からひょいっと抱えたのがたまたまそれぞれの階担当になったらしい。


ちなみにちなみにちなみに、雅紀はル◯バくんたちを『◯号くん』『◯号くん』と呼んでいる。





今朝もいつも通り、ソイ御殿に横山さん風間さん松本さんが来て、いつも通りわちゃわちゃして、さあ今日も仕事仕事って相葉種苗組のふたりが出勤した。


風間さんはここ2日ほど横山さんとふたり、俺の手紙、イタ電、車案件で留守だったのだが、今日は居るとのことで、雅紀が風間ぽん居るからちょっと潜らせてと地下にもぐら。


1時間したら迎えに来てと言われている。地下に。


今日はオレンジくんが居ない方のハウスでオレンジを収穫する予定なのだ。





大学の研究室は休職。


リーフシードでの俺の仕事はキスだと言われているが、誰も居ない広すぎるソイ御殿にひとりなんて無理ということで、無理のない程度に作業はやっている。





雅紀がもぐらってから、事務所に行くと言う風間さんについて俺も事務所に移動。


だからと言って風間さんの仕事は手伝えないから、とりあえずリーフシードにレンタルされてから与えられた赤いつなぎに着替えてスタンバっているところだ。





オーダーメイドだというこのつなぎ。


恐ろしく着心地が良くて、最初に着たとき驚いた。


またしてもここでちなむと、横山さんがいつも着ている黒つなぎも、風間さんが時々着ているペールオレンジつなぎも、基本着ていないけどかなりの枚数を持っているという噂の松本さんの紫つなぎも、色が違うだけで同じつなぎだそうだ。





『にいちゃんももらったん?ええやん、赤。そうかぁ。にいちゃんの色は赤なんやな』





大学卒業以来久しぶりに着たつなぎに、横山さんが言った。


俺の色?って不思議に思ったのが分かったのか、『色はまーくんが決めとんねん』と教えてくれた。





いや、俺の場合、大学時代に赤のつなぎだったって言ったからだと思うけど。





あともうひとつ。





『まーくんからの誕生日プレゼント、いつもこれやねん』という情報も。





え。


誕生日プレゼントがつなぎ?


え。


みんな?お三人とも?





『俺は毎日着るし、何なら1日2枚とか3枚使うから嬉しいんやけど、松潤と風間はあんま着ぃへんからな………』





え。





あまり着ないと分かっているのに、毎年つなぎのプレゼント。





それはもしかしてもしかすると、『考えるのが面倒くさい』というやつであろうか。





うん。雅紀なら言いそうである。





と、いうことは、もしかしてもしかすると、俺の誕生日ももれなくこのつなぎなのだろうか。


すでに5枚ほどもらっていて、ソイ御殿と事務所に置いてあるのだが。





いや、待て。


それ以前に、雅紀は俺の誕生日を把握していないのでは………?





『まーくんな、毎年ちょっとずつ改良してくれてんねん。だからもしこうして欲しいってリクエストあったら、まーくんに言うてみ』





おいおいおい。


まじか。





つなぎがオーダーメイドってだけでもびっくりなのに、毎年改良って。


たかがと言ってはつなぎに失礼なのは十分承知で言わせて頂くと、たかがつなぎに一体どれだけお金をかけてるんだここの会社は。雅紀は。





やはり雅紀の金銭感覚は年季の入ったバカっぷりだ。





うぃんうぃんうぃんうぃん………





5号くんがまたこっちの方に戻って来た。





それを視界の端にうつしつつ、時計を見る。





雅紀を迎えに行く1時間まで、まだ30分以上。





「風間さん。俺ちょっと外でコンテナとか準備してますね」
「え?大丈夫ですか?あとちょっと待っててくれたら、おれもやりますよ」
「いえ、風間さんは。ひとりで大丈夫です」
「………櫻井さん。言わなくても、でしょうけど、無理したらダメですからね。メンタルだけじゃなく、腰も」
「はい。ありがとうございます。気をつけます。腰も」





『しょーちゃんをひとりにしないでね。しょーちゃんはひとりにならないでね』





という雅紀のありがたい御触れにより、俺はここでひとりになることはほとんどない。


今みたいに雅紀がもぐらって居なくても、誰かが居てくれている。





けどな。





俺以外のお人たちは、なかなかに忙しいお人たちなのだ。


それに、コンテナをちょっと運ぶだけで、ハウスには入らない。


ハウス前まで運ぶぐらいなら、大丈夫だろ。





ということで、ものすごく軽い気持ちで、やはり支給された作業用上着をつなぎの上から羽織って、ちょっと行ってきますって、カタカタ風間さんとうぃんうぃん5号くんに告げて、俺は事務所の外に出た。





12月。





冬の冷たい空気が漂う空は、どんよりと曇っていた。










ル◯バくん久しぶり〜🖐️って方は米ください🌾

番号の振り分け方‼︎って方も米ください🌾