花 74 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

『にいちゃん‼︎何しとるん⁉︎何で来ぉへんの⁉︎』
「へっ⁉︎」





ソイ御殿から帰還してはやいく日。


禁断症状が余計にひどくなるからと、もはや数えてもいないが、10日ぐらい経っただろうか。いや、この禁断症状からするに、もうちょっといってるだろうか。





今日も今日とて、リーフシードに行けずな1日。





でもでも、腰はもうだいぶよくて、オカモト整骨院は3日に一回になったし、今日は無理だけど今後はもう行ける。………はず。


森田さんにも『相葉んとこの話はどうなってる?』って聞かれたことだ。


だから行かねばねばねば。


今日は金曜日で土日は休みだから、行けるとしたら最短月曜日。





よしよし、じゃあ今日は頑張っちゃうもんねって朝からせかせか働いていた。





俺の、今ここでやっている仕事っていうのが。





①種を開発する。


②その開発した種の発芽具合と胚の状態を調べるため毎日顕微鏡を覗いてデータ取る。


③そのデータを地味に地道にまとめる。





①が森田さん。


②が大野さん。


③が俺。





大野さんからもらってまとめたデータを森田さんに渡すまでが俺の仕事。


一日1万粒の胚のチェックを毎日、だ。





一応、俺が休んだ間のデータは無くても研究には影響は無いけど、それは多少ではあるけど森田さんがやってくれていた。………多少。


それは、俺が来るまでは森田さんがやっていた仕事だった。


俺が来てから俺の仕事になって、余裕ができた森田さんはというと余裕ができた分処理量を増やした。


そこで俺が休んだりしたもんだから………。





せかせか仕事してせかせか仕事して、ちょっと休憩って缶コーヒー飲んでトイレに行って、戻って来たら森田さんに『電話。内線3』って言われて、研究室の電話を取って内線3を押して『お電話かわりました。櫻井です』って言ったらそれだった。





『にいちゃん‼︎何しとるん⁉︎何で来ぉへんの⁉︎』





これはアレだ、この声、この関西弁は、横山さんだ。相葉種苗の。





あああああ、懐かしき横山さん‼︎





って俺はちょっと感動してたんだけど、横山さんは違って。





『まーくんとは一夜限りの関係やったんか⁉︎にいちゃんは純情まーくんを弄んだんか⁉︎』





それはそれは、受話器を耳から離しても聞こえる大音量で。





は、まあ、とりあえず今はいいとして。





一夜限り⁉︎弄んだ⁉︎





急な電話、しかも大学の研究室にってだけならまだしも、俺には全く縁のない、そして身に覚えもない言葉に、はいいいいい⁉︎ってパニック。





「ちょっ………横山さん⁉︎何を言っていらっしゃいます⁉︎」
『だから何で来ぉへんねん‼︎あれから何日経ったと思ってんねん‼︎ってゆうてんねん‼︎』
「ええ⁉︎何でって………ちょ………ちょちょちょちょ、横山さん‼︎あの、一端、落ち着きません⁉︎」





何でって何?俺仕事よ仕事。普通に仕事をしてますよ?


ギックリ腰前にちょくちょく行き過ぎてたから、暇人と思われてたかもだけど、一応あれこれ色々あるのよ?これでも。


でもってあれから何日経ったって、数えてないよ、だって挫けるから。俺だって行きたい気持ちはマウンテンマウンテンのMt.富士だし。





っていうか横山さんは何で怒っていらっしゃる?激怒じゃね?


俺何かやらかしました?





『あ、相葉種苗の横山です』
「え、今」
『何やにいちゃん。ちょっとはつっこめるようになったやん』





え。





落ち着きません?とは言ったけども確かに。


でも、さっきまでの、受話器からご本人が飛び出んばかりの勢いはどこへ。いずこへ。





横山さんはぼそぼそって言ってから、うひひって笑った。





………あの。


………ひとつ、いいですか。


ひとつだけよろしいでしょうか。





横山さんって絶対‼︎絶対俺で遊んでいらっしゃいますよね⁉︎


絶対絶対そうですよね⁉︎


そんなに面白いですか俺は⁉︎





と、ふがふがと言いたいのもマウンテンマウンテンであるが、なんせ今は仕事中。


ここは森田さんも大野さんも居る研究室。





こほんって咳をして、どうしたんですか?って聞いた。





『腰はどうや?にいちゃん』
「あ、おかげさまでだいぶいいです。相葉くんに紹介してもらったオカモト整骨院に通ってます」
『ああ、健一さんとこな。ええやろ、あそこ。健一さんゴットハンドやからな。じゃあ何や?忙しいんか?』
「ええ………はい、休んだらちょっと、えげつないことになってます」
『そうかぁ。けどなぁ、忙しくても、そろそろ来てくれんと』
「何かありました?」
『まーくんがちょっとな』
「え⁉︎相葉くん⁉︎相葉くん、何かあったんですか⁉︎」
『最近元気ないねん』
「げ………元気が、ない?え、何で?」
『そんなん、にいちゃんが全然来ぉへんからに決まっとるやろ』
「いやいや、そんなバカな。やだなあ、横山さん。また俺を揶揄おうとして………」





相葉くんの元気がないことは心配だけど、その原因が俺なんて、またそんな。


何度もその手には乗りませんよ。





って、ふって笑ったのに。





『何や⁉︎まーくんとのことはやっぱり一夜限りやったんか⁉︎弄んだんか⁉︎』
「なっ………だから何でそうなるんですか‼︎」





だからそれ‼︎


それは俺には全く縁のない、そして身に覚えもない言葉だって。


しかも相手が相葉くんて。


何でそうなるのかが分からない。


パルプンテのパルパルだって。





『え、もしかしてにいちゃん、他にええ人おるん?』
「いやいやいや、いませんし」
『できたんちゃう?』
「できてませんよ」
『まーくんと仕事どっちが大事なん?』
「………それ何かちょっと聞く相手間違ってません?」
『まーくんのことなんてもうどうでもええんか?』
「ちょっと横山さん⁉︎」
『嫌いなら嫌いってはっきり言うてや‼︎』
「いやいや俺、相葉くん大好きですよ⁉︎」





思いっきり叫んでから気づいた。我に返った。





俺は何を言ってるんだ?


言わされているんだ?





しかもここは職場だ。俺は仕事中だ。そいでもってここは研究室で。





『言うたな』
「え」
『聞いたで』
「え?」
『にいちゃん、明日休みか?』
「あ、はい。土日は休みで、ちょうど月曜日にお伺いしようかと」
『明日来たらええやん』
「え?だから明日は俺休みで」
『休みやと来られへんのか?やっぱりデートか?』
「はい⁉︎違いますよ‼︎そんな相手いませんって‼︎」
『ほんなら明日な。来るときフィナンシェ買うて来てな。まーくんフィナンシェ大好きやねん。あ、にいちゃんとこ大学近くにあるやろ?洋菓子屋。あそこのやつな。あそこ言うたらフィナンシェや。あ、何なら泊まりの用意して来てもええで。絶対やで。ええか?もし来んかったらそっち乗り込んでしばき倒すで』





言うだけ言って、電話は切れた。


え?え?ってパルパルしている間に切れた。





えと。あの。だからね?


俺明日休みなのよ。


仕事じゃないのよ。


相葉くんとは、仕事絡みで知り合ったのであって、個人的なお付き合いをしているわけでは。


ギックリ腰で仕事絡み以上にお世話になったけども。


会えないと禁断症状だけども。





「櫻井」
「は、はい」





やべ。


だから今俺仕事中で、ここは研究室で。





俺さっき思いっきり相葉くん大好き発言しちゃったよ。





森田さんに呼ばれて、ぷーぷー言っている受話器を置いて、恐る恐る振り向くと。





「車使え」
「は、はい?」
「明日、相葉んとこ行くんだろ?車、使っていいから。城島さんには俺から言っとく」
「………は、はあ」





えと。あの。





いや。





まあ、いいけど。


いいんだけど。相葉くんと会えるなら。


いいんだけど。





いいの?





何だかよく分からない展開に、俺の頭がイマイチついていかなかった。









昨日は米をたくさんありがとうございます✨

今日もお願いします❤️💚


関西弁&翔さんお仕事監修:プロデューサーK